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第14回 教えても人は育たない、プレーヤー自身に気づかせよ

現場に任せることの目的を、改めて考えよう

  • 武田 斉紀

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2010年10月4日(月)

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コーチに言われてはっとした「何のために任せるのか」

 今週出張先の仕事が早く終わったので、帰り道に下の娘が週に1度通っている某Jリーグサッカースクールの練習を見に行った。20人ほどのスクール生で紅一点。ネット越しに見ていると、ドリブルでうまく抜けて点を決めたり、突破できずに悔しがったりしながら楽しんでいる様子が分かる。

 彼女は幼稚園でボールを蹴る楽しみを覚え、地元の男子チームに入団した。走ることだけはチームで一番速く、生来の負けず嫌いで突進するも、練習嫌いで技術が伴わずに強みが生かされずにいた。1年ほど前からようやく努力することも覚えて練習の成果も出始め、フォワードとして、毎試合とまではいかないまでもチームの勝利に貢献できるようになってきていた。

 普段は地元のチームで活動しているのだが、「もっと練習したい、うまくなりたい」と本人が言うので、この4月からJリーグのスクールに通わせるようにしたのだ。チームでの通常練習とは別に、基礎技術を徹底的に教えてもらえるのがありがたい。ただ平日の夕方ゆえ、見学したのは今回が2回目だった。

 私は練習後、初めてコーチに声をかけて質問した。「彼女にとって次に取り組むべき課題は何でしょうか」。返ってきた答えは意外だった。

 「こうしろ、ああしろと言いすぎると委縮してしまうと思いますよ。彼女の良さはスピードと攻め続ける積極性です。それを殺してしまってはもったいない。今は本人に任せて強みを伸ばしてあげたいと思っています」

 コーチはしっかりと彼女の強みをつかんでくれていた。そのうえで一方的に弱みや課題を突き付けて求めるのではなく、強みを生かすことを最優先してくれていたのだ。彼は続けた。

 「こうしろと命令したり、教えたりしても駄目なんです。本人も考えなくなるし、言われた通りにしかできなくなる。大丈夫ですよ。やっていれば本人がやがて気づきますから。本人が気が付けば、こちらが何も言わなくてもやりますよ」と。私ははっとした。

 この記事コラムシリーズの『第10回 それでは「権限委譲」ではなく単なる「丸投げ」です』では、権限委譲、すなわち部下や現場に任せることで従業員にとって「行きたくなる会社」に近づけることをお話しした。そこでは権限委譲を進めるための3つのポイントをご紹介した。

(1)考え、行動するに当たっての規準を明示する

(2)あらかじめ評価を約束しておく

(3)適切な人選・目標・権限を用意する

 仕組みとしてはそうだし、いずれも権限委譲を進めて現場を元気にするためには欠かせない要素だ。だが一方で、「それらが大切なことは分かるけれど、それでも任せきれないのが現実なのです」という声もたくさんいただいた。

 権限委譲して任せることが現場を元気にすることにつながると分かっていながらも、なかなか進まない現実。サッカーのコーチの言葉で、私はその原因に改めて気づかされたのだ。

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