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“転地先”を決めるのは、経営者ではなく当事者

経営者には別の仕事がある

2010年10月12日(火)

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 会社に寿命はないが、事業には寿命がある。寿命の尽きかけた主力事業、私が編み出した言葉を使えば、既存の事業立地に見切りをつけて、新たに成長が見込める事業立地に乗り換える。すなわち、転地を行わなければ、寿命を迎えた事業とともに企業は倒れかねない──。

 新興国が台頭し、日本企業の多くがこうした危機に直面していることから、「日本企業改造論」と題する本コラムでは、転地を成功に導く人物の要件を数回にわたって明らかにしてきた。さらに前回(“転地”で失敗しないための3つの法則)は、転地先の事業をどのように選べばよいのかに論点を移し、「これをしたら失敗するから、やってはいけない」という3つの経験則を提示した。

 今回は「こうしてはいけない」という否定形ではなく、「こうすべきだ」という肯定形で、転地先の事業を選ぶ際のポイントを論じる。

成功するまであきらめないのは“言い出しっぺ

 最初のポイントは、当事者に選ばせるだ。身も蓋もない言い方に聞こえるかもしれないが、これは極めて重要なポイントである。

 過去の転地の成功例を分析すると、転地先として選んだ新たな事業立地そのものの良し悪しは無視できない要因ではあるが、それよりも大事なのは転地先として選んだ事業を成功させるまであきらめずにやり抜くことだ。新たな事業立地の地盤が良くても、それだけで一筋縄に事が運ぶことはないからである。

 多少の困難にぶち当たっても、あきらめることなく最後の最後まで食らいつく。そうした執念がないと成功を手にすることはできない。では、最後まで食らいつくのは誰か。

 まず当てはまらないのは、「人から言われたのでやっています」という受け身の人だ。必ずと言っていいほど、最初の困難にぶつかった瞬間に「これ幸い」とばかりにギブアップする。

 完全に受け身ではなくても、「本当は自分でやりたかったわけではない」という気持ちが少しでもある人は、やはり長続きせずに脱落する。

 最後まで執念を見せるのは、引くに引けないという立場に追い込まれている人。あるいは本当に新たな事業立地に愛着を持っている人。そして信念を持って挑戦している人である。

 それは誰かと言えば、「言い出しっぺ」をおいてほかにはいない。それも気軽に言い出したのではなく、熟考の末に「やっぱりこれだ」と決断して手を挙げた人だ。

コメント3件コメント/レビュー

大企業に多く見られる、組織の「中」を勝ち上がったトップたち。彼らは自らの成功体験から一般的に「転地」への関心が薄く、そもそもの必要性を感じていません。また当事者へのサポートなどに至ってはほとんど期待できません。彼らはまじめで、想定されるルール内で戦うときには結構ガッツもあるのですが、大局観がありません。本当の勝負や決断ができない人たちの下で、それでも当事者としてどのようにやりぬくか?絶望のふちに立たされながらも、いや、だからこそ今後の連載に期待します。(2010/10/12)

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「“転地先”を決めるのは、経営者ではなく当事者」の著者

三品 和広

三品 和広(みしな・かずひろ)

神戸大学大学院経営学研究科教授

専攻は経営戦略・経営者論。1989年米ハーバード大学文理大学院企業経済学博士課程修了、同大学経営大学院助教授に就任。北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て、2004年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

大企業に多く見られる、組織の「中」を勝ち上がったトップたち。彼らは自らの成功体験から一般的に「転地」への関心が薄く、そもそもの必要性を感じていません。また当事者へのサポートなどに至ってはほとんど期待できません。彼らはまじめで、想定されるルール内で戦うときには結構ガッツもあるのですが、大局観がありません。本当の勝負や決断ができない人たちの下で、それでも当事者としてどのようにやりぬくか?絶望のふちに立たされながらも、いや、だからこそ今後の連載に期待します。(2010/10/12)

 明治維新という「日本の転地」を成し遂げた実力者達は30代どころか20代でそれを成し遂げています。(もっとも、そのせいか「尊皇攘夷」という時限爆弾が70余年後に真珠湾で炸裂してしまったのですが・・・) 「新事業は新世代に任せる」まさに今世紀の金言です。 (2010/10/12)

三品様と同じ年の技術者です。もう、一般論のように語るのをやめにしませんか。できる人間は幾つだろうとやります、やりぬきます。凡庸な人間は幾つだろうとやりません、できません。やりぬくだけの気構えがある人間が、やりぬくのですから。「私は、やる」それが必要充分条件でしょう。(2010/10/12)

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