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「経営のプロ」は自然発生しない

【最終回】「経営のプロ」を増やすための3つの提言

  • 岡島 悦子

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2010年10月14日(木)

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 「経営のプロ」とは何か。なぜ「経営のプロ」が必要か。「経営のプロ」の母集団が、どうして日本では育たなかったのか。これまで9回にわたって、「経営のプロ」について論じてきた。最終回の第10回は、とりわけ日本における「経営のプロ」の必要性について、改めて書き進め、最後に日本における「経営のプロ」を増やすための提言をしてみたいと思う。

日本企業は、燃費の悪い車状態

 日本の組織というのは、いい意味で総力戦を好む、とは先にも書いたことである。米国のように仕事がモジュール化されており、役割に応じて報酬も決まっており、階層によってモチベーションに大きな差があるような組織とは異なる。現場から上層部まで、ほとんどの社員が同じようなモチベーションのレベルで頑張れるのが、日本の組織の特色である。これこそ、欧米のエリートたちが、日本に驚く象徴的な姿である。こうしたスタイルを、日本は否定することも悲観する必要もないし、むしろ堂々と誇るべきだと思う。

 どのような企業に伺っても、それこそ再生中の企業においても、顧客接点の多い現場の方々のモチベーションは高い。誰もが真剣に“馬車馬”のように働いている。現場の能力やモチベーションが問題では実はないのだ。現場が思いっきり働いていることが、効率よく収益に結びついていないところが問題なのである。日本企業は、がむしゃらに働く現場の頑張りに依存し、経営資源が分散されてしまった、まさに、「燃費の悪い車」状態。原因は、経営者の「リーダーシップの欠如」である。

リーダーこそが問われている

 外部環境の変化が激しい時代、今までのやり方の改善だけでは問題解決はできなくなってきている。求められているのは、「変化対応力」である。顧客ニーズの変化に対応して現場が意思決定できるような権限委譲、権限委譲を担保する理念の共有と目標の明確化、既存の成功体験と決別する抜本的な戦略転換。これらのすべてが経営者に求められる「変化対応力=リーダーシップ」である。

 ところが、日本企業において、いわゆる“調整型”で昇格してきた経営者には、今までのやり方を抜本的に変化させるための意思決定が、非常にしにくいのではないか。しがらみがありすぎるからだ。「空気を読み過ぎ」れば、必ず「問題の先送り」へとつながる。カネボウや日本航空にも見られたこれらの現象は、多くの日本企業に存在するリアリティではないか。

 問われているのは、経営者のリーダーシップなのだ。経営者がカルロス・ゴーンという「経営のプロ」に変わっただけで、会社が大きく変わった日産自動車は、その好例である。

 生き残る種とは、強いものでも大きいものでもなく、変化に柔軟に対応できる種、自ら変われる種だ、とはよく言われることだが、さて、日本企業の変わる力はどうだろうか。私はかつての日本企業、全盛期の時代のほうが、日本企業には変わる力があったような気がする。自社で変われない場合には、変える存在が現れた。

日本企業の変わる力が衰えている

 それを誰が担っていたのかと言えば、例えば銀行だった。メインバンク制という言葉があったほど、日本では銀行の力が強かった時代があった。ガバナンスなどという考え方が欧米からやってくる前から、日本企業のガバナンスは銀行がそのほとんどを担っていた。どうしてそんなことができたのかと言えば、銀行は人材を育成していたからである。

 かつてのバンカーは、いろいろな会社に出向し、若い頃から経営を見る機会が作られていた。経営者のすぐ近くで、経営の最前線を学ぶ場を常に与えられていたのだ。だからこそ、アサヒビールの樋口廣太郎さんのような方が、続々と出てこられたのだと思う。バンカーでありながら、優れたリーダーシップと、戦略眼と、マネジメント能力を持つ優秀な人材の予備軍が、かつての銀行にはたくさんいたと思うのだ。

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