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世界各地で何が売れるか、“目的地”を示す「地図」が必要だ

異文化の理解は、ロジックを読み解くところから始まる

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2010年10月20日(水)

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 初めて寿司を食べる外国人の表情を思い出してみよう。こわごわとしていなかったか? それは初めて口にする食べ物はたいていそうだろう。おっかなびっくりだ。

 では、食べた時は? 「うまい!」という喜びの顔だったか? きっと、そうじゃない。「・・・なんだこれ?」と顔に書いてあったことが多いはず。

 では、どうしてあんなへんな顔を強いる寿司が、世界でブームを超えて定着しつつあるのだろう。端的には、「ヘルシー」や「ダイエット」をキーワードとして各市場に浸透していったと言える。

 過剰なカロリー摂取を避けたい。でも、適当なメニューが自国の伝統料理にはない。その間隙を寿司がついた。こんな合理的動機で食べ始めても、食べ馴れれば感想が変わってくる。国籍を問わず、多くの人が「寿司はうまい」と思うようになる。そして、カウンターで大将に「ウニ、握ってね」と頼むのが、粋にさえなっていく。

 馴れや学習が、寿司への態度を変えていくのだ。すなわち、問題は味だけではない。

 明治時代の初め、来日した西洋人たちは、日本古来の音楽を奇妙なものとして受け止めた。同時に、日本人たちも西洋音楽を美しいとは思わなかった。

 よく音楽は「世界共通の言語」と言われるが、本当にそうだろうか。モーツァルトの楽曲を生まれて初めて耳にした時に「素晴らしい!」と感嘆できるのは、それ以前に西洋音階の曲を聴きなれていたという学習の結果だ。美しい夢を打ち破るようで残念だが、事実だから仕方がない。

 味にせよ、音にせよ、経験の種類によって感じ方は変わってくる。早期教育の重要性が語られるのは、上述したことを逆の方向からアプローチしていると理解していいだろう。

 19世紀後半の印象派絵画への当初の冷淡な反応を思い起こしてみる。人は馴れない、あるいは表現のロジックが不明であると、作品に距離を持とうとする。ロジックに納得し表現に馴れると、称賛を始める。

道案内も日本と欧州では異なる

 ロジックは、社会が違えば異なる。生活パターンが違うと、通じるロジックが違うということだ。

 こんな地図を見ると、「ああ、そうか!」と思うに違いない。ミラノに住むイタリア人の描いた地図だ。スイス国境近くの別荘までの道を教えてくれた。目的地までまっすぐの1本の道。NOと書かれているのは、「高速道路のここで出るな!」という指示だ。彼は、出口があるたびに「ここは違う」と、クルマを運転しながら独り言を言っているのだろう。

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 描いた本人はコンピューターエンジニアではない。80代の経営者だ。この種の地図を描く人を日本ではあまり見ない。およそ日本で教育を受けた人は、紙の上を北にし、鳥瞰的な地図を収まりよく描く。

 ところが、ヨーロッパでは、1枚の紙で出発点から目的地まで描き切れない人が珍しくない。住所が、町名ではなく、通り名で成立しているのはご存じだろう。

 そこで、目的地までの経路を、通り名の連続で考える。だからか、そのロジックに従うと道が延々と続き、目的地が紙を越えてしまう。米国の文化人類学者であるエドワード・T・ホール氏は、その著書において、「パリの子供たちは道の名前を銅像や記念碑があるところで変わると覚える」と書いている。日本では考えられない道の覚え方だ。

 そのホール氏は、「違った言語には違った感覚の世界がある」とも書いている。違った感覚とは、人と人が面と向かって話す時に不快に思わない距離感も指す。30cmを親密性の象徴として喜ぶ人と、同じ距離を煩く思う人がいる。

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