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素人は「戦略」を語り、プロは「兵站」を語る

第2次世界大戦はグローバルロジスティクスの闘いだった

  • 大矢 昌浩

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2010年10月19日(火)

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 ロジスティクスという言葉は、軍事用語の「兵站術」をビジネス用語に転用したものだ。軍事や戦史に関して筆者は全くの素人ではあるが、その研究者や資料・文献から学んだことは多い。

 とりわけ第2次世界大戦は、アメリカをはじめとする連合国と日独伊の枢軸国によるグローバルロジスティクスの闘い、「グローバル補給戦」だったと言われている。

 それまでの戦争が基本的に決戦場における指揮官の采配や軍隊の士気に勝敗を左右されていたのに対し、第2次世界大戦では必要な兵隊と物資を決戦場に送り続けることのできたほうが勝った。作戦の優劣以上に兵站術が大きかったという評価だ。

 そのため、戦い方としては、資源の調達から軍需工場での生産、そして決戦場に至るグローバルなサプライチェーンを高度化すると同時に、相手にはそれを許さない、敵のグローバルロジスティクスの弱点を見つけてそこを叩くというやり方が有効だった。

 空港や港湾、軍需工場などに戦略爆撃をかけて使用不能にし、また軍事物資を運ぶ商船や兵隊を乗せた軍船を潜水艦で撃沈する。それによって主戦場に物資を供給できなくさせる。

日本軍になかった「グローバル補給戦」の概念

 ところが、日本軍は真珠湾攻撃の奇襲に成功しながらも、そこにあった艦船を補修するための乾ドックや補給タンクには爆撃を加えずに放置した。そのことが後に仇となった。

 1942年6月のミッドウエイ海戦で日本は大敗北を喫し、その後の主導権をアメリカに奪われることになるわけだが、真珠湾の乾ドックを潰しておけば戦局はまた違ったものになっていただろう。

 日本はミッドウエイ海戦に「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の空母4隻を参加させている。一方のアメリカは、本来なら「エンタープライズ」と「ホーネット」の2隻の空母しか用意できないはずだった。

 ところが当時の米太平洋艦隊司令長官のチェスター・ニミッツ大将は、その1カ月ほど前の珊瑚海海戦で被弾し戦闘不能状態にあった空母「ヨークタウン」を、真珠湾の乾ドッグに入れ、驚異的なスピードで補修して、ミッドウエイ海戦に間に合わせた。

 空母は海戦における主戦力であり、その数的優位性は極めて重要だ。歴史に「たら・れば」はないとは言うものの、ミッドウエイ海戦における日米の空母の数が4対3ではなく4対2であったなら、戦いの様相が大きく変わっていたことは、多くの軍人・研究者の一致する見方だ。

 さらに、日本が「グローバル補給戦」という概念で第2次世界大戦に臨んでいれば、連合国に勝つまでには至らなくても、負けないようにする、引き分けに持ち込むことはできたと分析する戦史家もいる。

 ドイツ軍のクルト・フリッケ海軍軍令部長は1942年春に、当時の野村直邦海軍中将に共同作戦を打診している。連合国の補給ルートを一緒に断とうという作戦だった。

 当時のヨーロッパにおける連合国の主力は、イギリスが中東に置いた65万人の部隊だった。地中海を枢軸国が抑えていたため、その補給ルートは大西洋側からアフリカ大陸をぐるりと回るほかなかった。

 この補給ルートを潰せば、中東のイギリス軍は孤立する。そこで大西洋側のルートをドイツが叩くので、インド洋側を日本が叩いてくれという要請だった。

 日本が担当するインド洋の海戦では、マダガスカル島のディエゴ・スワレスという軍港が決定的な要衝だった。ディエゴ・スワレスを基地にすれば、日本軍が連合国の補給ルートを断つのは容易と考えられた。

 そして当時のマダガスカルはフランス領で、フランスはドイツの占領下にあった。日本軍はディエゴ・スワレスを利用できた。しかし、この共同作戦の申し入れを日本は断っている。

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