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日常の“当たり前”に巨大市場を見出した「B級ご当地グルメ」

2010年10月25日(月)

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 「B級ご当地グルメ」――。この言葉は、なぜか人を魅了し、惹きつける。そして、この言葉が社会を賑わせ、一大ブームになっている。

 このB級ご当地グルメは、かつてのグルメブームとは明らかに一線を画すものである。グルメブームでは、一食が1万円をはるかに超える高価なフランス料理やイタリア料理のレストランが話題となり、多くの老若男女がそこに群がった。今でも銀座や青山には、そのようなコンセプトのレストランが数多くあり、テレビや雑誌でも話題になる。

 レストランの格付け本として有名な『ミシュランガイド』は、そのようなレストランを対象に覆面調査を行い、その評価に従って「星印」を付ける。星をもらったレストランはそれを名誉と感じ、その結果を宣伝してさらに集客する。

 このミシュランガイドの公式ウェブサイトによれば、審査は素材の質、調理技術の高さと味付けの完成度、独創性、コストパフォーマンス、常に安定した料理全体の一貫性の5つの視点で行われる。そして、審査の結果として、各レストランの評価に従って星印が与えられる。

 星の数の目安もミシュランというタイヤメーカーらしく、一つ星がそのカテゴリーで特においしい料理、二つ星が遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理、三ツ星がそのために旅行する価値がある卓越した料理と定めている。つまり、そのレストランに行くこと自身が旅行の目的となりえるかに、それぞれのレストランの評価に力点が置かれていることが分かる。

 つまり、ミシュランガイドの基本となる考えは、「旅行の目的にできるレストランの発掘と育成」にあり、従って毎年出版される『ミシュランガイド東京 2010 日本語版』(日本ミシュランタイヤ)には、名立たる店に星が与えられている。そして、多くの人は高価ではあるが、人生に一度でも、そのような星が与えられたレストランで食事をしてみたいと思うに違いない。

“日常の当たり前”に価値を見出した

 ここで今回取り上げるB級ご当地グルメに目を向けた時、明らかにミシュランガイドで評価しようとしている料理とは路線が異なる。

 それでは、どのような料理をそもそもB級ご当地グルメと呼ぶことができるのか? その定義ははっきりしないが、多くの人が漠然として持つイメージは共通していると思われる。つまり、B級ご当地グルメとは、大衆的で、日常的に地元でローカルに食べる料理で、従って有名ではないが、おいしく、そして安いということである。

 B級ご当地グルメに似たものに、全国各地にある地域特産の郷土料理がある。これは、日本列島が、南北に細長く、山もあり海もあり、地域によって異なる多様な風土を育み、その結果として実に豊かな食文化を各地域が長い歴史の中で持つようになったのである。例えば、土佐の鰹、讃岐のうどん、江戸の寿司、水戸の納豆なども、かつてはローカルな郷土料理であったものが、時代の変化とともに、誰もがその価値を認める日本を代表する料理になっていったのであろう。

 しかし、ここに来て話題となっているB級ご当地グルメは、このようなある一定の地位を確立した料理ではない。地元の人ですら強く意識することがなく、昔から日常の食卓に出され、当たり前のように食べ続けられている料理である。つまり、何か祝いの席に出される“ハレ”の場の食事ではなく、むしろ“日々”の生活の中に埋もれた非常に大衆的な料理なのである。

 B級ご当地グルメであることすら意識することがなく、それを食べている人もあまりにも当たり前の料理であることから、その価値を地元でも見出していない。それどころか、逆にあまりにも日常生活の中にある一つの大衆的な料理であることから、“お客様に出すべき料理ではない”というネガティブなイメージさえも持っているところもある。

 このため、これまでのB級ご当地グルメは一般に地元以外に知られることもなく、また地元にもそのような料理を提供する専門食堂がなく、地域外の人々にその存在も味も知られることがほとんどなかった。

全国各地から集まった「B級ご当地グルメ」に舌鼓を打つ来場者の様子(写真:内藤 耕)

 ところが、そんな“思い込み”を覆したのが、「B級ご当地グルメの祭典! B-1グランプリ」(主催団体は一般社団法人B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会、通称は「愛Bリーグ」)だ。第5回大会が、9月18~19日に神奈川県厚木市で開催された。そこには、八戸せんべい汁研究所(青森県)、横手やきそば暖簾会(秋田県)、厚木シロコロ・ホルモン探検隊(神奈川県)、富士宮やきそば学会(静岡県)、鳥取とうふちくわ総研(鳥取県)などの46団体が参加し、グランプリの栄冠は「甲府鳥もつ煮」を提供したみなさまの縁をとりもつ隊(山梨県)が獲得した。

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「日常の“当たり前”に巨大市場を見出した「B級ご当地グルメ」」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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