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秀才の考える戦略はなぜ似てしまうのか

秋山真之と『孫子』に学ぶ戦略と戦術〈2〉

2010年10月27日(水)

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 同じジャンルで競う大企業のやることって、なぜお互いこんなにも似通ってくるのか、と不思議に思うことはないでしょうか。

 車や飲料、金融商品――そして出版界なども端的ですが、どこかの企業が大ヒットを出すと、市場は似た商品で溢れかえって、「オリジナルはどこだっけ」と首をひねらざるを得ない状況が往々にして生まれたりします。また、新規事業への参入にしても、あっちがやればこっちもやる、みたいな記事がマスコミで飛び交い……

IBMのガースナーが指摘したのは…

 当然、大企業だけあって優秀な人材が揃っているわけですから、もう少し違う切り口で勝負できないのかなあ、と筆者などはよく疑問を感じていました。しかし、やはりそうは問屋がおろさないよ、というのが次の指摘なのです。

 《経営コンサルタント業界の小さな暗い秘密をお教えしよう。ある企業のために独自の戦略を策定するのは極端にむずかしいし、業界の他社の動きとはまったく違う戦略を策定した場合、それはおそらくきわめてリスクの高いものなのだ。その理由はこうだ。どの業界も経済モデル、顧客が表明する期待、競争構造によって枠組みが決まっており、これらの要因は周知のことだし、短期間に変えることはできない。
 したがって、独自の戦略を開発することはきわめてむずかしいし、開発できたとしても、それを他社に真似されないようにするのはさらにむずかしい》
 《結局のところ、どの競争相手も基本的におなじ武器で戦っている場合が多い》『巨象も踊る』ルイス・V・ガースナー・Jr 山岡洋一 高遠裕子訳 日本経済新聞

 このガースナーは、1990年代に不振に陥ったIBMを立て直したことで有名な経営者です。彼は実は有名なコンサルタント会社であるマッキンゼーにいたことがあり、その経験から、「大企業というのは、お互い似た戦略しか立てようがない面がある」という事実を赤裸々に述べているのです。

 では、なぜそうなるのか。ガースナーが指摘するのは、「経済モデル、顧客が表明する期待、競争構造」がどの企業も同じという点。つまり、同じ競争環境のなかで、優秀な人材たちが「どう戦えば目指すものが手に入るのか」を考えていくと、その思考の道筋は結局、似たり寄ったりになってくるというのです。

 さらに、この観点には、次の要素が加わって、さらに似たり寄ったりの度合いを濃くしていきます。軍事の世界にも、こんな指摘があります。

 《戦争において、ある手段が非常に有効である事がわかると、それは繰り返されるのが通例である。そしてその手段は次々に模倣されて、ついにまぎれもない流行になる》『超要点解説とキーワードでわかる・使えるクラウゼヴィッツの戦略』(守屋淳著 ベニエ守屋そよ訳 ソフトバンククリエイティブ)

 お互いに、「相手に勝ろう」「ライバルにおいていかれないようにしよう」と努力するために、良い点はすぐ模倣し合う現象が起き、まさしくお互いの振舞いや手段が、そっくりの状態になっていく、というわけです。これは、ガースナーの指摘のなかにある、「独自の戦略を開発することはきわめてむずかしいし、開発できたとしても、それを他社に真似されないようにするのはさらにむずかしい」という部分と、そのまま重なり合ってくるものです。

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