• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「平日にデートを」が示す菅首相の“本気”

時短後進国の汚名返上を何が阻むのか

2010年10月21日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「休むのが怖い」――。そんなふうに思ったことはないだろうか?

 病気や身内の不幸といった「自分ではどうにもならないこと」で休む時には何も言われなくても、プライベートで休むと、とやかく言われる。あるいは、「せっかくの休みを、私用なんかで使ってどうする。急病になった時に困るぞ」などと、上司に脅される。

 「有給休暇を利用して休むだけで、自分の評価が下がりそうなので休めません」。そういう気持ちから、休む権利を放棄する人も少なくない。

日本人の有給休暇取得率は最下位

 厚生労働省が10月14日に発表した「就労条件総合調査」によると、2009年の年次有給休暇の取得率は47.1%(前年比0.3ポイント減、10年連続で50%以下)。企業などが従業員に認めた有給休暇の年間の平均日数は17.9日なので、8日程度しか取得されていない計算になる。

 特に企業規模が小さくなるほど取得率は低くなる。従業員数1000人以上の企業では53.3%なのに対し、100~299人の企業では45.0%。30~99人の企業に至っては41.0%と、10ポイント以上の開きが認められる。

 日本人の有給休暇の取得率が世界的にも低いことは、周知の通りだ。

 オンライン旅行会社のエクスペディアジャパンが、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、オーストラリアの12カ国の男女約1万2000人を対象に行った調査では、日本人の有給休暇の年平均取得日数は12カ国中、3年連続最下位。有給休暇をすべて消化した日本人は全体のわずか6%にとどまっている。ロイターと調査会社のイプソスが24カ国を対象に調査した結果でも、日本の取得率は33%と最下位だった。

 どちらの調査でも、1位に輝いたフランスの有給休暇日数は年平均で37日。取得率は93%(ロイター調べでは89%)で、年間35日も休んでいることになる。

 フランス人はめったに残業しないため、年間の労働時間も日本人より450時間程度も少ない。一週間の労働時間を40時間で換算すると、フランス人は年間2カ月半ほど休んでいる計算になる。日本では子どもたちだってわずか一カ月半の夏休みしかないのだから、いかにフランス人が休みを取っているかが分かる数字だ。

 国際労働機関(ILO)では1988年に、有給休暇の最低日数を従来の6日から10日に増やす条約を締結したが、日本は批准しなかった。

 本来、有給休暇は労働者の権利なので、理由などは一切明確にする必要もなく、それを拒否する権限は特別な場合を除き企業にはない。

 ところが、ほとんどの会社の有給休暇申請書には「理由」の欄があり、「担当者」である上司や人事、または総務の許可が必要とされている。

政府は「取得率70%」を目標に掲げるが

 ちなみに今年6月に政府が閣議決定した新成長戦略には、「2020年までに取得率70%を目指す」という目標が盛り込まれた。

 目標が100%でなく70%というのも考えものだが、「取得率を上げろ! 目標70%だ!」とどんなに言われたところで、「仕事は忙しいし、人もいない。どうやって休めと言うんだ」と怒りを感じる人もいるかもしれない。一方で、先の47.1%という数字に「何だ。半分も取れているなら十分じゃないか」と思う人もいることだろう。

 思い起こせば半年前。まだ菅直人首相が財務相だったころ、「財務省の残業を減らして平日にデートができるようにする」との改革案を作成する見通しを明らかにした。

 その時、「景気がこんな状況で、何寝ぼけたこと言ってるんだ」という意見に加え、財務省の人たちが深夜労働や休日労働をしているのは、就業時間間際に「これ明日までによろしくね」と仕事を命じる政治家のせいという非難が浴びせられた。

 どんなに政府が、70%という目標を掲げようとも、どんなに大臣が変革を訴えようとも、役人の場合は「明日までによろしく」とぎりぎりになって頼む政治家がいる限り、企業ではあーだこーだと理由をつけて許可しない上司が立ちはだかる限り、「取りたいにも取れない」実態がある。

 しかも世代別の有給休暇の取得率は、50代が最も低いとの報告もあり、上司が休んでいない職場で部下たちが休むことが難しい様子がうかがわれる。

 いずれにしても有給休暇取得率の低さは、「本人」の問題ではなく、「上司」の問題、いや、「経営者」の問題であり、それもかなり根深い問題である。

 そこで今回は、昨年、経営者・役員・部長クラスの人たちと行ったワークライフバランスに関する意見交換会での、上司たちの“ナマの声”を参考に、有給休暇について考えてみる(意見交換会には、大手・中小を含む、15人程度の部長以上が参加した)。

コメント62

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「「平日にデートを」が示す菅首相の“本気”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

グローバル市場でいい仕事をしたければ、まず「世界に通用する見識」を磨くことだ。

中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授