米国民主党が近く迎える中間選挙で苦戦をしています。何に苦戦しているかというと、世界最大のSNS(ソーシャルメディア・ネットワーク・サービス)「Facebook」のファンページの登録者数。10月25日時点で民主党が135万1593人に対し、共和党は330万9696人と3倍近く差をつけられています。このファンページは、企業や団体が自由に独自のページをFacebook内に設けられるというもの。たかが、SNS上で負けてて何なんだと思われがちですが、こうしたソーシャルメディアにおける支持数は米国では決してバカにできないのです。
皮肉にも、そのソーシャルメディアの効用を最初に世の中に示したのは民主党米オバマ大統領の陣営でした。2008年における米国大統領選挙はおそらく人類の歴史上、最も効果的に大規模にソーシャルメディアを活用して勝利したと言われています。
日本から見ているとオバマ大統領の誕生というのは初の黒人大統領というインパクトだけが強調されていた印象もありますが、オバマ大統領の選挙キャンペーンは、米国のアドバタイジング・エイジ誌の「Marketer of the year for 2008」で1位に選ばれたり、世界的な権威ある広告祭であるカンヌ国際広告祭でグランプリを受賞したりしたほど。
選挙キャンペーンが広告祭のグランプリを受賞するというのは初の出来事だったということですから、どれだけオバマ大統領の選挙キャンペーンが画期的なものであったかが分かります。

実際、オバマ陣営が活用したソーシャルメディアは、Facebookやマイクロブログサービス「Twitter」、動画投稿共有サイト「YouTube」のような有名なサービスから無名なものまで実に16種類。Facebookでは230万人以上のサポーターを集め、YouTubeには1700本以上の動画を投稿、合計で1800万回以上オバマ陣営の動画が再生されるなど、記録づくしの活用法でした。
ライバルのマケイン氏がFacebookのサポーターで62万人と4倍近い差をつけられ、YouTubeの動画の再生回数では203万回と9倍の差をつけられていることを考えると、いかにオバマ陣営のソーシャルメディア活用が際立っていたかが分かります。(参考記事:「オバマキャンペーン」をマーケティングの観点から分析する(1))
さらにはMyBO(my.barackobama.com)と呼ばれる自前のSNS、携帯向けサイト、iPhoneアプリまでも構築。会員向けのメール送信も効果的に活用し、まさに完璧と言えるネットキャンペーンを展開していました。

なにしろ、オバマ陣営の広報チームには、Facebookの共同創業者も参加しているなど、インターネットやソーシャルメディアを熟知した人材もいたようですから、そういう意味でも、オバマ大統領の勝因にインターネットやソーシャルメディアが良くあげられるのは当然と言えるでしょう。
ただ、ここで気をつけて頂きたいのは、オバマ陣営は必ずしも「ネットだけ」で勝利を収めたのではないという点です。
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