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ベイスターズ買収劇で露呈した日本プロ野球界の“伝統”

球団保有の在り方に透けて見える日米スポーツビジネスの違い

2010年10月28日(木)

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 TBSホールディングスが横浜ベイスターズの売却を検討しており、トステムやINAXを傘下に持つ住宅設備大手の住生活グループと売却交渉に入っていることが今月初旬から度々ニュースで報じられていました。結局、住生活グループは買収を断念したようですが、球団保有をどう考えるかは、リーグ経営の要諦です。

 横浜ベイスターズは、2001年に経営が悪化していた筆頭株主のマルハから第2位の株主だったニッポン放送に球団株式が譲渡されましたが、同じフジサンケイグループのフジテレビがヤクルトスワローズの株式を所有していたことから、複数球団の支配的保有を禁ずる野球協約に抵触するとして頓挫。第3位の株主だったTBSが140億円で球団株式の69.2%を取得し、筆頭株主になったという経緯があります。

 しかし、TBSも近年の広告収入の落ち込みから今年3月期の連結決算が23億円の純損失に陥るなど、本業の経営不振で球団経営が重荷になってきたため売却を検討したと報じられています。

 ところで、米国では日本のスポーツ界以上に球団の売買が頻繁に行われています。例えば、今年だけでも、米メジャーリーグ(MLB)では、先日ニューヨーク・ヤンキースを破って球団創設以来ワールドシリーズ初進出を決めたテキサス・レンジャーズは、公式シーズン中の今年8月にオーナーが交代したばかりです(同球団社長のノーラン・ライアン氏率いる投資家グループが3億8500万ドルで買収)。また、ロサンゼルス・ドジャーズはオーナー夫妻が泥沼の離婚訴訟を繰り広げており、訴訟の行方によっては球団売却が噂されています。

 米プロフットボールリーグ(NFL)でも、セントルイス・ラムズが8月に新オーナーに球団を売却していますし、米バスケットボール協会(NBA)でも、ゴールデンステート・ウォリアーズが7月に4億5000万ドルで売却され、デトロイト・ピストンズの球団売却も今月に入り基本合意されたばかりです。以前「破綻したアイスホッケーチームなら強奪できるのか?」でお伝えした米ホッケーリーグ(NHL)のフェニックス・コヨーテスも、一旦リーグが暫定保有した後、今年6月に売却先が決定しました。

 このように、米国では球団売買は日常茶飯事なのですが、こうした米国の球団買収劇を見慣れている私にとって、今回のベイスターズ売却報道は、日米のスポーツビジネスには改めて大きな違いがあると感じる機会になりました。

 住生活グループによるベイスターズ買収は成立しませんでしたが、今回のコラムでは、ベイスターズ買収劇をケーススタディーに「球団のオーナーシップ」という観点から日米のスポーツビジネスの在り方の違いを見てみたいと思います。

 (尚、本稿で用いるベイスターズ買収情報は報道を通じて知り得た情報であり、必ずしも売買当事者の真意であったとは限らない点を予め断っておきます。)

誰のために球団を保有するのか?

 球団のオーナーシップ要件(どういった人物や組織を球団オーナーとして認めるかという条件)をどう定めるかは、リーグ経営にとって極めて重要なポイントです。リーグ経営というビジネスの在り方、目指すべき方向性を規定するものだからです。そのため、単に球団を購入する財力があるだけではだめなのです。逆に言えば、オーナーシップ要件を見れば、どのようなリーグ経営が志向されているかが分かることになります。

 球団が頻繁に売買されている米国のメジャープロスポーツでは、若干の違いこそあれどのリーグにも厳格なオーナーシップルールが定められており、球団オーナーに求められる最低限の要件が明確に規定されています。頻繁に球団売買が行われるからこそ、リーグ経営の一貫性と永続性を担保するために明確な規定が必要となるのです。

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「ベイスターズ買収劇で露呈した日本プロ野球界の“伝統”」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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