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M&Aが企業変革のリトマス試験紙になる

2010年10月29日(金)

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「経営レンズ箱」はこちら(2006年6月29日~2009年7月31日まで連載)

 週刊金融投資情報紙「日経ヴェリタス」(2010年10月17日発行)に、気になる記事があった。「企業に眠る200兆円」というタイトルで、日本企業の手元資金積み上げ傾向について書かれていた。特に印象に残ったのは、以下のポイントだ。

― (金融を除く)企業の保有する現預金は、2009年度末で203兆円に達する。

― 東証一部上場企業(金融を除く、1538社)だけをとっても、2000年度の55兆円程度から、2009年度の68兆円に増加しており、実質無借金企業の比率も、同期間に約34%から約46%に増えている。

 この事実が示しているのは、個々の企業ごとに違いはあるにせよ、企業セクター全体として見ると、前向き投資(設備投資、知的財産投資、M&A[合併・買収]など)にお金が向かわず、経済活性化の足かせになっている、ということだ。

 収益機会を探して成長に向けた前向き投資をする、というのが、企業にとっての本来のお金の使い道であることは言うまでもない。現預金として抱え込むしかないのなら、自社株買いや配当の形で投資家に還元したほうが、経済全体としては望ましい。彼らが別の投資に振り向けることで、経済の活性化や成長力アップが果たされるからだ。

 また、企業から預金の形で銀行に預けられたお金は、「預金超過」の状況下、相当な量、国債購入に向けられている。これも勘案すると、生産性の高い分野への投資と資源配分が進まず、デフレからなかなか脱却できないという状況を、デフレに苦しむ企業自身が後押しすることになってしまっている、というふうにも見える。

 リーマンショック後、金融危機のとばっちりで黒字倒産、という自体を避けるべく、多くの企業が手元流動性確保に走ったことは、十分に理解できる。しかし、中期的に、現預金を増やし続けているということになると話は別だ。以前の回でも触れた「日本企業のリスクテイク力の低下」のひとつの表れでもあろうかと思う(参考:「無駄張りがない『規律ある経営』の限界」「『企業のリスクテイク力低下』に異論反論が続々」)。

変われない企業が示す「独特の反応」

 さて、もちろん、これだけ手元に余裕資金のある日本企業のすべてが手をこまぬいているわけではない。

 中には「預貯金リッチ企業」に見えるものの、「次の一手」、特に攻めのM&Aに向けて、粛々と準備を進めている企業も存在する。国内市場の成熟化を受けての、内需型企業の海外展開。既に海外売り上げ比率が高い企業の新興国市場攻略。どちらも、いわゆる「ウチ―ソト」のM&Aを仕掛けているケースが多い。

 また、サステナビリティに関連して、新しい技術の獲得、周辺分野への進出という観点から、M&Aを進めている例もある。M&Aは、相手のあること。時間もかかるし、すべて成功するわけではないが、68兆円のうち、一定程度は、いずれM&Aを通じた成長投資に振り向けられていくことになるだろう。

 ただし、こういったM&Aについて、企業経営層や投資銀行の方々と議論する機会が増えるにつれ、面白いことに気がついた。M&Aに対する姿勢が、企業変革を阻むある要因についてのリトマス試験紙になるのだ。

 我々と長期にお付き合いいただいているクライアントに多いのだが、自己変革に果敢に取り組んできた企業群がある(こういう企業だからこそ、我々のような存在を受け入れ、活用してくださる、ということかもしれない)。こういった企業の多くは、M&Aに対しても、「非常に慎重に検討するが、いったん決めたら一気果敢に動く」例が多い。

 一方、M&Aに対して、(後述する)一種独特の反応を示す企業の一群もある。こう言っては失礼かもしれないが、これらの企業の多くは、(M&A以外の)ビジネスモデルや事業戦略の変革について、長らく社内外からその必要性についての声が上がっているのに、なかなか変われない企業でもある。

 少し「一種独特の反応」の具体的なパターンを挙げてみよう。

 まずは、自分が買う側に立つM&Aには積極的だが、自分の事業の中で本来自社が持っている必要性がないものを売る立場でのM&Aには非常に消極的だというパターン。本来、攻めに出るためには、何かを捨てなければ、経営資源を集中させて、成功確率を高めることはできない。にも関わらず、「買うのは良いが、売るのはどうも気が進まない」となってしまうタイプの企業が存在する。

コメント1件コメント/レビュー

「共同体重視」には異論がないが、株主を優先し、現役社員への配慮が足りないように思う。景気低迷を憂えるのであれば、現役社員への配当を増やして(給与ではなく、賞与への反映で良い)消費促進することがよいのでは。(2010/10/29)

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「あなたの会社は「共同体重視」がシニアやOBのためになっていませんか?」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「共同体重視」には異論がないが、株主を優先し、現役社員への配慮が足りないように思う。景気低迷を憂えるのであれば、現役社員への配当を増やして(給与ではなく、賞与への反映で良い)消費促進することがよいのでは。(2010/10/29)

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