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創業者が付ける自分の肩書きについて

「役職名」と「権限」と「自己表現」などに関しての考察

  • 斉藤 由多加

バックナンバー

2010年11月4日(木)

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 15年くらい前からCEOという言葉が急激にはやり出してからというもの、日本の零細ベンチャー企業でも、名刺にこの肩書きを入れる人がずいぶんと増えた。それまでの(日本の車や雑誌の名にもなっている)「プレジデント」という言葉は、このチーフ・エグゼクティブ・オフィーサーの頭文字をとった3文字の肩書きの前に、すっかり影をひそめてしまった。

 でもじゃ、この2者にどういう違うがあるのか?というと、実は誰もよく分からない。分からないまま、「どっちが上でどっちが下か」という序列表現としての肩書きだけが横行しているのは、いかにも日本らしい文化とも思う次第であります。

代表取締役の「代表」の意味ってなんだ?

 ソフトウェア開発を営む某社のK社長は、会うたびに「うちもいよいよ株式公開の日が近づいてきてね」と10年以上言い続けている人物。ペテン師というよりも夢想家というべき好人物ではあるが、「そろそろうちの株を君も持たないか」という話をあちこちで持ちかけるもんだから (現実はいつも零細企業状態)、僕は、行きつけの某スナックのママをはじめとする“一山当てようという人”からこの件で何度か相談されるはめになった。

 そうこうしているうちに、K社長の会社にすっかり詳しくなってしまった。言うまでもなく、この会社が公開するなんて僕でもあり得ないと分かる業態でして、はっきり言うとK社長の願望にしかすぎない。なもんだから後になって出資者たちと揉める、というパターンをK社長は何回も繰り返して生きている。

 このK社長がある日「会社が乗っ取られた。話を聞いてほしい」と電話をかけてきた。西麻布のすし屋で話を聞くと、話のあらすじはこうだ。いつもの調子でベンチャーキャピタルに増資を引き受けてもらったものの、いまひとつ事業が伸びない(当たり前だ)社員も6~7名のまま、拡大する兆しがない。そのうち、しびれをきらした他の役員たちが謀反を起こして役員会でK社長への不信任案を決議した。臨時株主総会でK社長は代表取締役を解任された、という。そのせいでK社長は自分の会社に居れなくなった、というのがこの話の顛末(てんまつ)。K社長は再度株主総会を開いて議論したいが、代表権がなく、株主総会の招集すらできない。株主として定期総会(原則は年に1度)までこの状態を待たなければいけないが、しかしそんなのんきな事を言っていたら会社はどんどん乗っ取られてしまう云々(うんぬん)という話であった。

 このお家騒動の話を聞いて、不謹慎ながら僕は、代表権というものの意味を一つ、とてもリアルに理解したわけです。「臨時株主総会の招集ができる権利」という文脈において…

機能としての肩書き

 「代表取締役」の肩書きを持つ知人に、「ねえ、この『代表』って肩書きがあるのとないのとでは、何がどう違うのか知ってる?」、とウケウリの知識をひけらかすように聞くわけですが、はっきりと答えられた人は居ない。あるいは「会長って何の会の会長なのか知ってる?」なんてこともついでに聞くのだけど、答えられる人はごくわずかなわけ。要するに役員の肩書きの序列に関してはこだわるけれど、その意味に関しては疎い、というのが、日本人の常識レベルの正直なところのようです。

 会社の経営に関する重要事項は「取締役会」という正式な場で決定されるわけで、取締役であれば「代表」だろうが、「専務」だろうが、「平取締役」であろうが、同じ1一票しか持てない。単純に多数決だけで物事を決めると、K社長の例のように、社長の言うことが通るとは限らないわけです。

 おおかたの中小企業の場合は、社長が大株主だったりするわけで、そうなると役員が結託して不信任案を出しても、即座に臨時株主総会を召集され役員解任という逆転劇が起こるわけ。これが抑止力となって、けっきょく、中小零細企業では社長の意見がそのまま通る、となる。このスピード感が成長の起爆剤だったりもするものだから「取締役は全員が1人1票を持つ」というルールなんか忘れててもさして無知にはならない現実があるわけです。

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