消える若者市場

消費に背を向ける若者を追うな、中高年に“若さ”を売れ

  • 小屋 知幸

消えた“ブーム”

 大衆消費社会では時折、“ブーム”と呼ばれる圧倒的多数の消費者を巻き込む流行現象が起こる。かつて1990年代には携帯電話が爆発的に売れ、女子高生ブームに浮かれ、「Windows95」や「たまごっち」のために人々は行列をつくった。さらにバブル華やかなりし1980年代までさかのぼれば、DCブランド(デザイナーズブランド、キャラクターズブランド)やイタメシ(イタリア料理)から株式投資に至るまで、あらゆる分野で絶え間なくブームが巻き起こっていた。

 ところが最近は、次のブームがなかなかやってこない。最近のトレンドとして、エコカーやファストファッションもブームと呼べないことはないが、小粒感は否めない。例えて言うならば1980年代の消費の鍋は、何かあればすぐ沸騰するほど熱かった。これに対して近年の消費の鍋は冷え切ってしまい、めったなことでは湯気さえも立たない。

 かつての消費ブームの先頭に立っていたのは、言うまでもなく30歳以下の若者世代だった。しかし現在の消費市場では、若者の存在感が年々希薄になっている。そして若者をターゲットとするビジネスは軒並み低調である。

 今若者たちは消費市場の華やかなステージから、別に後ろ髪を引かれる風でもなく、静かにフェードアウトしようとしている。そして今まで常に消費市場の中心にあった若者市場も、風にあおられた砂上の楼閣のように雲散霧消しようとしているのだ。

 われわれビジネストレンド研究所では、若者市場はただ単に冷えているのではなく、消滅しつつあるという仮説を持っている。その主たる理由は次の3点、若者人口の激減、若者の購買力減退、若者の老成化である。

激減する若者人口

 少子高齢化のトレンドを受け、若者人口は減少している。しかもそのスピードは、「壊滅的」という言葉を用いたくなるほどに急激だ。わが国における20歳代の人口は、1995年には1900万人に迫っていた。それが2015年にはおよそ3分の2の1300万人程度となり、2030年には1100万人程度にまで減少する見通しである。つまりわが国の若者人口は、わずか1世代を経る間に、半数近くにまで激減すると見込まれている。

 これだけ人口が減れば、当然市場も縮小する。また人口構成の点でも、かつて多数派を形成していた若年世代は、もはや完全な少数派に転落してしまった。かつて繁華街や観光地やスポーツ施設などでは、若者たちがあふれていた。だが現在は、どこに行っても目立つのは中高年世代であり、若者の存在感は概して希薄になった。

購買力の衰え

 若者市場が失ったのは、数のパワーだけではない。若者一人ひとりの購買力も、急速に衰えている。国税庁の「民間給与実態統計調査」のデータによると、25~29歳の勤労者の平均年収は、1997年から2009年の12年間の間に、373万円から328万円へと45万円も減少した。前後の世代を含め、若年世代の所得は1997年以降一貫して右肩下がりだ。

バックナンバー

閉じる

いいねして最新記事をチェック

アクセスランキング

記事のレビュー・コメント

レビューレビューを投票する

とても参考になった
 

0%

まあ参考になった
 

0%

参考にならなかった
 

0%

ぜひ読むべき
 

0%

読んだほうがよい
 

0%

どちらでもよい
 

0%

いただいたコメントコメント19件

テレビ及び新聞を盲信してる世代はもう50代以上しかありません。作られたブームに乗っかるのは老人しかいないのでは?TVの広告がカットされてHDDに保存される時代でブームを作るならば、貧者を使ったポイントサイトでの口コミが重要。(2010/11/04)

若者は購買力もなく人口減少の一途だから若者向けマーケティングはやめよと筆者は言う。購買力のある中高年が存命の間は、そんな戦略も良いかもしれないが、中高年がこの世を去った後、購買力に無縁な存在として育てられた元若者が市場を支配する時代はくる。その時に、若者を蚊帳の外に配置した企業は、どのような製品、サービスを彼等に提供するのか。(2010/11/04)

この「消費することは常に正しい。良いことだ。」といった考えは、一体いつまで続いて行くのだろう?今の世の中の衰退の原因は、中高年世代が若者世代の時、本来ならば子供を生み育てるという時期に、無駄な消費を煽る情報を垂れ流し、愚かな消費に振り向けさせた企業やマスコミの責任ではないのか。その結果、今の中高年世代は、本来、次世代へ受け継がさせる為の資産さえ食い潰し、今の若者世代が子供を生み育てるという余力さえも奪うほどの消費をした。この結果何を得たか?ただ単に、消費の回転を上げさせ無駄な消費をし、表面的な活性で日本経済という通信簿上の数字の評価を無理にかさ上げしただけ。喜んでいるのは、投資をしていた諸外国。踊らされていただけの日本。そしてかつての日本のように諸外国からもてはやされ現在踊らされている中国。で、次はベトナムか、もしくはアメリカが何らかの理由を付けて戦争をしかけてボロボロした後の北朝鮮かな?この繰り返し。(2010/11/04)

コメント(19件)を読む/書く

閉じる