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最終回 反攻に転じるラストチャンスを生かせ

カギを握るのは“創業”と“操業”の分離

2010年11月9日(火)

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 今の日本企業の状況は、1980年までの米国企業と酷似している点が多い。

 前回にこう指摘した。その米国企業は80年代に長い低迷に陥ったが、90年代に入って反撃に転じる。

 マイクロソフト、インテル、アップル、デル、シスコシステムズ、イーベイ、クアルコム、グーグル──。IT(情報技術)の分野で新興企業が次々と台頭し、世界的な企業へと成長していった。

 それだけではない。IBMやウォルト・ディズニー、ゼネラル・エレクトリック(GE)といった長い歴史を誇る既存の大企業も息を吹き返し、再び成長軌道を描いている。

 それとは裏腹に、日本企業は90年代に入ると失速していく。それから20年。今なお日本企業の多くは低迷から抜け出せていない。

90年代に息を吹き返した米大企業の共通点

 90年代を境に、日本と米国の大企業で明暗が分かれたのはなぜか。

 分岐点は、本コラムで指摘してきたように、主力事業の寿命に直面する中、成長が見込める新たな事業へと乗り換える転地を成し遂げられたか否かにあった。

米IBMの再建を主導した元CEOのルイス・ガースナー氏

 IBMは、世界最強のコンサルティング会社として知られるマッキンゼー出身の元CEO(最高経営責任者)、ルイス・ガースナー氏の下で、メーンフレーム(大型汎用コンピューター)のメーカーからコンサルティングを中心とするサービス事業の会社へと変貌を遂げていった。

 創業者の没後、長期にわたって低迷していたディズニーを再建したのは、パラマウント映画の会長から同社の会長兼CEOに就任したマイケル・アイズナー氏だ。

 彼は、旧来の本業、アニメーションでヒット作を連発すると同時に、アニメが生み出したキャラクターを活用する多様なビジネスに、ディズニーの収益基盤を移していった。

米GEを躍進させた元CEOのジャック・ウエルチ氏

 GEは、主業を電機関連からノンバンクに移し、業績を拡大していった。その立役者は、同社新規事業部門からCEOまで上り詰めた生え抜きのジャック・ウエルチ氏である。

 転地に成功したこの3社には、1つの共通点がある。それは、マイクロソフトなどの新興企業と同様にIT革命の波に乗った点だ。

 メーンフレームのメーカーからサービス企業へと変貌したIBMはまさにその典型だ。IT革命の波に乗ろうとする他社を助けるところに勝機を見いだした。

 ディズニーのキャラクターグッズの販売事業(キャラクター使用権のライセンス事業ではない)やGEの金融事業なども、その成功の背景にはIT革命に伴う管理コストの劇的な低下があった。

 このことは、IT革命によって90年代に様々な新規事業の機会が生じたことを物語る。だが、日本企業はその好機を生かせなかった。

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「三品和広の日本企業改造論」のバックナンバー

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「最終回 反攻に転じるラストチャンスを生かせ」の著者

三品 和広

三品 和広(みしな・かずひろ)

神戸大学大学院経営学研究科教授

専攻は経営戦略・経営者論。1989年米ハーバード大学文理大学院企業経済学博士課程修了、同大学経営大学院助教授に就任。北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て、2004年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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