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えっ人間失格? 若者をマヒさせる“仲間至上主義”

ハンカチ王子と岡田ジャパンと、本物の“仲間”

2010年11月11日(木)

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 やっぱり“王子”は、さわやかだった。

 「僕はずっと何かを持っていると言われてきました。その“何か”が、今日分かりました。それは……仲間です!」

 その瞬間、老若男女を問わず、恐らく日本中の人たちが、「さっすが~!」と、早稲田大学野球部の斎藤佑樹選手の完璧な一言に感心したに違いない。

 だって、実力もあれば、顔も良い。おまけに性格まで良かったのだ。あの場で、あの雰囲気で、“仲間”と言い切ったさわやかさ。文句のつけようがない好青年だ。

 思い起こせば、サッカーのワールドカップ南アフリカ大会でベスト16入りした時の日本代表の選手たちもそうだった。彼らは口々に、“仲間”の大切さを語り、彼らの“仲間”という言葉に、「やっぱり日本人はこうでなきゃ」とオトナたちは感動した。

 そして、PKを失敗した駒野友一選手に寄り添う“仲間”たちの姿に、「仲間っていいよなぁ」と胸を熱くした。

 特に最近は、きずなだ、つながりだ、仲間だと、“失われたもの”を取り戻そうと必死なだけに、“仲間”を大切にする若者に世間は安心する。そんなスポーツ選手たちの影響なのか、何なのか分からないが、最近はやたらと若者たちに“仲間至上主義”なるものが蔓延している。

 「大切な仲間」
 「仲間がいたおかげ」
 「仲間に恵まれた」──。

 そんな“仲間”語録を、学生たちと話していると、やたらと耳にする。

 「仲間」は、確かに大切である。だが、斎藤選手や岡田ジャパンの面々の意味する“仲間”と、少々意味合いが違うような気がしてならない。

 20代そこそこの若者たちが「仲間」という言葉を連発するたびに、「う~ん、また、仲間、か」と思ってしまうのだ。

 そこで今回は、“仲間”について、考えてみようと思う。

採用面接で“仲間の大切さ”をアピールするイマドキの学生

 「採用面接の時の学生の答えは、大きく分けると2つしかない。『一人で○×に海外旅行をした時』の話と、『大学でサークルをやっていた』話のどちらか。あのアピール合戦はどうにかならないものかね」

 こう苦笑するのは、長年、新卒採用の面接を担当してきたという40代後半のA氏である。

 A氏によれば、世間に蔓延するきずな社会へのこだわりなのか何なのか分からないが、ここ数年、やたらと“仲間”の大切さを面接でアピールする学生が多いという。

 「『一人で○×に海外旅行をした時』の話には、必ず○×にアジアのどこかの国が入る。例えば、インドに行って、そこで出会った子供たちが、貧しいながらも前向きに生きている姿に接し、本当の豊かさとはお金じゃないことに気づいた。人を大切にし、人に社会貢献できる仕事をしたい、っていうのがお決まりのパターン」

 「そして、もう1つが、“サークル活動”バージョン。学生時代に〇×サークルで、みんなで1つのものを作り上げることの難しさや、仲間の大切さを学んだ、みたいな話をするんだよね」

 「多分、“僕は仲間を大切にする人間です”とか、“僕は貧しい人たちのために何かできる人間になりたいです”ってのが、自分の“ウリ”だって考える学生が多いんだろうね。僕たちが学生のころは、やたらと自己実現って言葉をウリにしてたから、時代のトレンド? ってことかね」

 自己実現。確かに若い時によく使った言葉だ。

 「自己実現をするために、こちらの会社を選びました!」

 多くのバブル世代は、臆することなくそんなことを言っていた。

 そう。かつての若者は「私は世界を飛び回り、世界で活躍できる人間になりたいと思っています。そんな自己実現のために、御社を選びました」と面接で訴えた。

 そして、「キミが自己実現するために会社はあるわけじゃないんだけどね」と面接官にクギを刺されたりしたものだ。

 同様にA氏も、「僕は仲間の大切さを知っていますので、会社でも仲間を大切にしたいです」という若者に対して言いたかったわけだ。

 「会社ってさ、みんなで仲良しこよしする場所じゃないんだけどね」と。

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「えっ人間失格? 若者をマヒさせる“仲間至上主義”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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川野 幸夫 ヤオコー 会長