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伝票と、稟議と交際接待費

伝票という企業の必要悪の「おもて」と「うら」

  • 斉藤 由多加

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2010年11月11日(木)

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 精算伝票ってのがどこの企業にもあります。
 これをいちいち書くのが実に面倒くさい。

 自分で独立したら、いちいち上司の承認なんか得なくてもモノを購入したり、交際接待の店を選んだり…自分のスピードでものごとを進められるのに…。そんな漠とした動機が脱サラを後押しするケースも少なくないものだ。

 かくいう僕もそう思って独立したわけですが、実際はそうではなかった。もちろん自分で始めた会社に口うるさい上司はいないのですが、その代わりに税務署という、上には上が居る、とでも言わんばかりの厳しい人々が目を光らせていることが分かってくるのです。

 自分で事業をするうちに、社長は、サラリーマン時代に漠然と面倒とキメツケてきたことの一つひとつに理由があることが分かってくる。今日はそういう話です。

銀座のクラブの魅力が独立を後押し

 僕が独立しようと思もったきっかけの一つに、「交際費」ってのがあった。まだサラリーマンだった20代の後半だったころ、銀座のクラブというところに連れて行かれて、そこに繰り広げられている甘美でエグゼクティブな世界を初めて目の当たりにしたのである。

 当時、僕の勤務していた企業は、若い平社員などに交際費などを持たせてくれるはずもなく、接待といえばもっぱらその会社の本社の地下にある会員制のパブ(ここは届け出をしていれば社内伝票で処理できた)か、あとは上司や先方が仕切ってくれる場ばかりだった。
 だから、その銀座のクラブに初めて行ったときは、どういう料金体系なのかさっぱり分からないまま先輩のボトルを借用し、それでもなお目が飛び出るような金額を支払った事を記憶している。

「サラリーマンのままじゃ、いつまでたってもこんなところにはくることができない」。それが独立意識を大きく押したことは間違いない。

平社員をやっていると

 平社員をやっていると、地下鉄や山手線などを利用した際に発生する交通費から、交際接待伝票、タイムカードの残業申請、物品購入にいたるまで、実にたくさんの伝票を書かされるのはご周知の通り。

 伝票を書くというのは、いやが上でも「管理下に置かれているぞ」という気持ちにさせる仕事でありまして、面倒くさい以上に、提出した伝票の内容に関して「あれこれ詰問」されたり「否認」されることも多々ある。これは快いものではない。

 大企業に就職してサラリーマンとしての一歩を歩き始めたばかりのころに、コンピューターの部署に配属になった。僕は理系は理系だけど、専攻が建築だったものだから、今の若者のようにコンピューターを実際にさわったことがないまま、その仕事に携わることになった。時代が時代だから同僚もみな似たようなものだった。部会で「とにかく諸君にはコンピューター技術の勉強を怠らないでいただきたい。会社の費用で勉強できるのだからこんなに貴重な経験はほかにない」と部長が仰せられているのを聞き、「コンピューターが分かる本」みたいな書籍を買って、1000円ほどの金額が記載された領収書を購入伝票に添付し課長の決済箱の中に入れておいた。

 しばらくして、席に戻り一つひとつ伝票に目を通していた課長が僕を呼びつけると「これはなんだ?」と聞いてくる。「書籍を買いました」と言うと「それは分かっている。何の書籍を買ったんだ?」と聞いてくる。伝票に書籍名はちゃんと書いてあるだろと思いながら説明をすると、その課長は「他人の金を勝手に使うな」と怒鳴ったのであります。

 サラリーマン的な視点だけで言うならば、「会社の金で勉強しろと、部長が言ったのに、言ってることが違うじゃん!! このケチ!!」となるのかもしれないが、このときの風景がいまだに脳裏に残っているのは、もう少し別の理由があるから。それは、この(当時弱冠32歳の)課長に「他人の勝手に使うな」と言わせしめた、この会社の管理職の当事者意識の育成環境です。

コメント3件コメント/レビュー

気づいたことは結構だけれど、気づくまでに行った言動に責任を負って欲しいと願う。(2010/11/11)

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いただいたコメント

気づいたことは結構だけれど、気づくまでに行った言動に責任を負って欲しいと願う。(2010/11/11)

「会社の費用でコンピューターの勉強ができる」と言われたからといって、許可なく書籍を購入して伝票をつっこんでおくというのは、マナーとしてどうかと思いますが・・・。金額の多寡に関係なく、会社の経費を使用するのであれば、事前に責任者に了解を得ておくのは当然のことだと思います。ただ怒鳴った課長さんも、「他人の金」ではなく「会社の金」もしくは「みんなの金」と言うべきだったでしょうね。(2010/11/11)

『伝票は社員の行動日誌、だそうで』→つまり、未だに従業員の労働契約は拘束時間のみが対象ということですよね。時間拘束さえ我慢すれば並程度の働きでも給与が保障され、しかもベースアップ等の年功給もある訳ですし、結論としてはいまだに日本型慣行が続いてるということの証左ですねぇ。(2010/11/11)

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