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観光ビッグバンが日本を変える

日本独自のソフトパワーが切り開く観光立国への道

  • 小屋 知幸

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2010年11月16日(火)

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観光ビッグバンとは何か

 アジア諸国から海外に向かう旅行者の数が急増している。なかでも躍進著しいのが中国だ。中国の海外旅行者数は、この10年間で1000万人から5000万人へと急拡大した。この勢いが続けば、中国がドイツ・米国などを抜き、世界一の海外旅行大国に躍り出るのも時間の問題だ。

 中国ほど目立たないものの、ASEAN諸国やインドなどの国々でも海外旅行者数が軒並み急増している。このように広範な地域で旅行需要が飛躍的に拡大している現象を指して、「観光ビッグバン」と呼ぶ。

 ちなみに日本では1980年代から90年代にかけて海外旅行ブームが起こり、日本人観光客は世界で大きな存在感を持っていた。しかし近年は、日本の海外旅行者数は減少傾向に転じており、日本は観光ビッグバンの“蚊帳の外”に置かれている。

 観光ビッグバンの背景にあるのが、アジア諸国における新たな富裕層の増大だ。総合研究開発機構のデータによれば、アジア主要国における可処分所得3万5000ドル以上の高所得層の人口は、1990年時点では1100万人程度にすぎなかった。同機構は、この人口が2010年には約6800人となり、2020年には2億人を超えると予測している。つまり海外旅行に行けるだけの所得を持つ人の数が、アジア諸国で飛躍的に拡大しているのだ。

急増する中国人観光客

 前述のように中国の海外旅行者数は急増しており、世界中の観光地に中国人観光客が押し寄せている。もちろん日本も例外ではない。最近は日本各地の観光地や繁華街で、多くの中国人観光客を見かけるようになった。

 とはいうものの中国の観光ビッグバンが、本格的に日本に押し寄せるのはまだこれからだ。2009年における中国からの訪日観光客数は約100万人で、これは中国全体の海外旅行者数のおよそ2%にすぎない。日本はまだ、中国の巨大な旅行需要のほんの一部しか獲得できていないのである。

 確かにこれまで、中国人観光客にとって日本は「敷居の高い国」だった。日本はビザ発給の規制が厳しいだけでなく、訪日旅行のコストも韓国や香港などへの旅行に比べて高かった。また“韓流ブーム”を中国へも波及させていた韓国に比べて、日本からの情報発信は乏しかった。

 だが現在は、トレンドが変わりつつある。日本政府観光局によれば、今年の第3四半期累計期間(1~9月)における中国からの訪日客数は、前年に対して56%も増加した。今年7月に日本政府が中国人へのビザ発行要件を大幅に緩和したことが、中国人観光客の増勢を加速させた。また中国の大衆層が急速に豊かになっていることや、日本の観光地や企業が中国人観光客獲得に本腰を入れて取り組みだしたことも、訪日旅行需要の掘り起こしにつながっていると考えられる。

 この秋は「尖閣問題」の余波を受け、訪日ツアーに大量のキャンセルが出たと報道されている。それでも都心の百貨店などでは、中国人向けの売上高が依然として前年を大きく上回っているようだ。「尖閣問題」による一時的減速があったとしても、中国人観光客が増大する勢いは容易に止まらないと思われる。

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意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員