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窮地において、どれだけ冷静で的確な判断を下せるか

漆 紫穂子 品川女子学院校長

  • 増田 晶文

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2010年11月26日(金)

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 私立中・高のトップ“校長先生”はビジネス面で過酷な条件と直面している。「少子化=マーケット縮小」という揺るがぬ事実は私学運営最大の課題であり、学力と体力の低下対策、人間力の育成、変容する日本人気質にどう対応するかなど、付け刃では対応できない重大な使命もある。まして生徒や教職員、さらには保護者と卒業生らを率いるには高いリーダーシップが求められる。

 私学を牽引する者は「経営と教育」において、企業首脳と同様の決断と実行力、調整力、指導力を問われるのだ。

 校長先生がトライアスロンを泳ぎ、漕ぎ、走ったことで何を学び、得たのか――今回は、品川女子学院の漆紫穂子校長に聞いてみた。

 品川女子学院の漆紫穂子校長は学校改革で大きな注目を集める存在だ。

 漆が先頭に立って推進した、28歳で実社会の中で活躍する女性の育成を目指す「28project」をはじめ、起業体験プログラム、企業との共同企画など斬新な取り組みは、教育界はもちろんのこと、その起業的発想に着目した経済誌がこぞって紹介している。

漆 紫穂子(うるし・しほこ)
品川女子学院校長。1961年東京都生まれ。中央大学文学部卒業、早稲田大学国語国文学専攻科修了後、都内の私立中高一貫校の教師を経て、1989年に品川女子学院へ。学校改革に参加し、7年間で中等部入学希望者数が60倍になった。2006年4月に父の跡を継ぎ、第6代校長に就任。品川女子学院のウェブサイトで「校長日記」を執筆中。著書に『女の子が幸せになる授業』(小学館)、『女の子が幸せになる子育て』(かんき出版)がある。

 漆は5年前、44歳で曾祖母が開学した学校の校長になったが、実際にはそれ以前から校長を補佐して改革をリードしてきた。

 「だけど副校長と校長では受けるプレッシャーが全然違います。校長という立場は、山頂の狭いスペースに1人で立っている感じですね。凄まじい向かい風にさらされ、必死に足を踏ん張っているんですが、周囲にはつかまるものも、よりかかる壁もありません」

 彼女は、「300mくらいの高さの平均台を歩かされているような気持ち」とも語った。

 「“副”という立場でなら、いくらでもアイデアが浮かんだし、提案にも積極的でした。改革案がもたらせてくれるゴールが、はっきりと見えていました。私の提言を熟考するトップに対して、じれったさを感じたものです。だけど、いざ自分が校長の席に就いたら、ゴールよりもプロセスに眼がいって仕方がない。実際、学校改革を成功させるには途中にいろんなリスクが転がっているし、それらをどう処理していくかが大きなテーマになってくるんです」

自分自身に腹が立っていた

 漆はこれまで経験したことのなかったプレッシャーに慄いた。その一方で、難局だからこそ闘志をむき出しにして立ち向かおうという気概も燃える。彼女の内面ではアンビバレントな葛藤が続いた。

 ちょっと寄り道を――私も、かつては中学受験にどっぷりと浸かっていた。わが息子の中学受験の顛末を『父と子の中学受験合格物語』(講談社)で描き、週刊誌に数々の受験レポートを書き散らしたものだ。奇しくもそれは、漆が校長に就任した時期と重なる。私は生来のアマノジャクゆえ、話題沸騰だった品川女子学院に近づかなかったが、そこはそれ、この学校を強く意識していた裏返しであった。

 しかし、もちろんのこと、漆がトップの孤塁を守りつつ苦悩を深めていたとは知る由もなかった。

 漆は続ける。

 「そのうち、自分の軸が揺さぶられ、定まらないと感じるようになりました。でも私は、もっとしっかりしなきゃいけない、動揺するような自分じゃいけないと考えてしまったんです」

 心の不調和は、必ず肉体にフィードバックされ破綻をきたす。漆の場合、それは難聴や胃腸の不具合、果てはぎっくり腰という形で爆発した。いずれも有力な原因として精神的ストレスがあげられる疾患だ。中でも腰痛は怒りの感情が誘発の要因という説もある。そのことを言うと、漆はすかさず返してきた。

 「きっと私は、自分自身に腹が立っていたんです」

 漆は多くアントレプレナーがそうであるように、学校運営という事業に命を賭していた。彼女の強烈なメッセージを聞いてほしい。

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