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「腑に落ちなくても従う」、パナソニックの欧州白物家電戦略

日本式ロジックを押し通す意味があるのか?

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2010年12月1日(水)

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 ヨーロッパの家電店を歩きながら気づくことがある。テレビなどAV(音響・映像)分野では韓国や日本メーカーの商品が否応なしに目につく。ジャパンブランドの存在感が低下しているものの、高級液晶テレビを中心におなじみのブランドが消えたわけではない。カメラやプリンターあるいはゲーム機器売り場に行けば、それなりの強さを発揮しているのがさらに確認できる。これが世界の家電勢力図かと思えてくる。

 しかし、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電のコーナーに行くと、状況は一変する。日本では目にしないメーカー名がずらりと並んでいる。急に「ローカル色」が濃くなる。「こんなメーカーがあったっけ」とつぶやくことになる。

 確かに通信デバイスやコンピューター関連商品でも知らない名前は多い。中国製や台湾製であっても、ヨーロッパの新興ブランドであることが往々にしてある。が、白物家電の「こんなの、あったっけ」は、欧州の伝統メーカーなのだ。グローバリゼーションで少数の非欧州メーカーに独占されている・・・わけではない。

 「我々日本やアジアの人間は冷蔵庫を家電と思っていますが、ヨーロッパでは若干違った捉え方をしていて、『冷えるキャビネット』と見ます。インテリアの一部なんですね。その意味では新参者でも入りやすいジャンルなんです。ただ、洗濯機は違います。これは機能品質が重視され、おばあちゃんの時代からの信頼性がモノを言います」と語るのは、パナソニックホームアプライアンス社海外マーケティング本部新規市場グループ欧州チームのチームリーダーである斉藤哲志氏だ。

 そう言えば、イタリアのメーカーで冷蔵庫とミニクーパーを一緒に並べたイメージを見たことがある。完全にデザイン優先だ。

 今回は、2009年3月からヨーロッパ市場に大物白物家電を投入したパナソニックの経験談をご紹介する。プロジェクトのゴーサインが出たのが2007年11月。準備期間は1年半に満たず、事業を開始してまだ1年半強。いわば途中経過報告だ。

冷蔵庫と洗濯機で違うブランドの意味

安西 洋之(以下、安西) 欧州におけるパナソニックのブランドをどのように認識していたのですか? 白物家電発売後に、それは修正を迫られましたか?

斉藤 哲志(以下、斉藤) パナソニックブランドは、早くからイギリスやドイツにおけるAV製品を中心に、「ハイテク」「高品質」「信頼」といったイメージを築いていました。また、白物商品の中でも、日系メーカーが市場を創ってきた新しい商品カテゴリーである電子レンジでは、トップブランドの位置づけでした。

パナソニックホームアプライアンス社海外マーケティング本部新規市場グループ欧州チームのチームリーダーを務める斉藤哲志氏

 よって、こうしたブランドのメリットを活用できることを期待しました。しかしながら、AV製品や電子レンジとは異なり、冷蔵庫や洗濯機は伝統的な欧州地場ブランドが市場を抑えているカテゴリーです。そうした業界でも、パナソニックのブランド価値は商品カテゴリーの垣根を越えられるのか、不安を感じながらのスタートでした。でも、結果を見ると、イギリスとドイツを中心に販売は好調です。

安西 なるほど。既に市場に出していた製品群が、白物家電のブランドイメージに有効にリンクしたのですね。

斉藤 その一面はあります。しかしながらより細かく見ていくと、冷蔵庫と洗濯機での違いが現れてきます。冷蔵庫は、デザイン性や収納性などで、商品価値が判断されます。一方、洗濯機は、より品質面での信頼感が重要視されます。同じブランドと言っても、冷蔵庫において重要視されるブランドとは「憧れ」であり、洗濯機のブランドは「信頼感」が大事になります。

 さらに、冷蔵庫と洗濯機を比較した時、よりブランドの重要度が高いのは洗濯機です。欧州では、ミーレ(MIELE)やシーメンス(SIEMENS)、ボッシュ(BOSCH)、AEG(1994年からスウェーデンのエレクトロラックス傘下)という伝統的なドイツブランドが、高価格帯を完全に寡占する状況が続いていました。「おばあちゃんの時代から、洗濯機はミーレ」という価値観があるわけです。100年間近くをかけて築いてきた信頼のブランドに挑むのは簡単ではありません。

「日本の最先端」に欧州は冷ややか

安西 市場リサーチで、白物ゆえの特殊な問題点は浮かび上がってきましたか?

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