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第6話「近い将来バブルが崩壊するかもしれない。でも私の国は必ず立ち直るわ」

2010年11月17日(水)

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前回までのあらすじ

 主人公の団達也が経理課長として新たな一歩を踏み出した会社、それがジェピーだった。ジェピー創業者の未亡人、財部ふみは、自身の遺産を達也に託し、達也はその遺産を元手に真理とMTC(Management and Technology Consulting group)を立ち上げ、その子会社であるMTCラボ(MTCL)をシンガポールに設立した。

 達也は現地のテレビ番組でのインタビューで、日本、そして中国には生産拠点を置かないことを明言した。これを聞いていたリンダは、「話が違う」と憤っていた。

 「K01」発表会の後、達也は高熱を発したが、真理の看病のおかげで回復し、日本に戻った。達也は日本に戻ってから真理に付き添われ、文京病院の上条医師の診察を受けた。

上海 ホテルハイアット

 シンガポールでの新製品発表会で達也が中国国内では「K01」を生産しないことを明言して以来、リンダは不機嫌なのだ。そんなわけで、ジェームスはリンダを食事に誘った。

 レストランのほとんどの男性客は、真っ白のスーツがよく似合うリンダに視線を向けた。俳優かモデルと思ったに違いない。この最高級ホテルに出入りする客でも、リンダの美貌とスタイルにかなう者はいない、とジェームスは誇らしげに思った。だが、席に着くなり、まるで阿修羅のような形相で「約束が違うわ」と吐き捨てた。

 「私の国のGDPは日本を抜いたことはご存じよね。でも、一人当たりに直せば、日本人の1割にも満たないことも分かるでしょ。そして、富が極端に偏在している。このことが何を意味していると思う? 中国には日本では考えられないほどの貧しい人もいる代わりに、想像もつかないお金持ちがたくさんいるということなのよ。

 彼らは、どんどんお金を使うから、これからも経済は発展する。もし近い将来バブルが崩壊したとしても、私の国は必ず立ち直るわ」

 「だから、生産拠点はまず中国国内に置くべきだ、というんだね」
 「そうよ。購買力平価のGDP、つまり、物価や為替の影響を除いたGDPで見れば、中国のGDPは2012年にはアメリカを抜くといわれているのよ。国全体の豊かさは、あと2年でアメリカに追いつくということだわ」

 得意そうな表情で語るリンダに、ジェームスは違和感を覚えていた。中国が経済の優等生として躍り出てから、まだ20年も経っていない。それは、さまざまなインフラが未整備のままに成長したことを意味する。アリの一穴で、膨大な富の山が崩壊してしまうかもしれない。なのに、そんなことはおかまいなしに交通ルールを無視して疾走している。

「熱血!会計物語 ~社長、団達也が行くseason2」のバックナンバー

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「第6話「近い将来バブルが崩壊するかもしれない。でも私の国は必ず立ち直るわ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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