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1つの“愛”を失った男性の哀切

好きな仕事と好きな人との相似形とは

2010年11月18日(木)

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 「好きなことを仕事にすべきだ」と言う人と、「好きなことは仕事にすべきではない」と言う人がいる。

 いったいどっちが正解なのか。そもそも、好きなことって、どういうことなのだろうか。

 例えば、私のようにフリーランスでいると、「好きなことができていいねぇ」と言われることがある。

 ところが、私は自分のやっている仕事が好きか? というと、好き、とはなかなか言いきれない。決して嫌いではないのだが、しんどいことが多すぎて、「好き」とは即座に答えられないのだ。

 だいたい学生時代、現代国語は常に赤点で、同学年の生徒365人中364位というブービー賞を2回も取ったことがあるのだから、お世辞にも文章が得意とはいえない。

 おまけにカツゼツは悪いし、「安普請」という言葉を久米宏さんがニュースステーションの放送本番中に言った時、「それって、中国語ですか?」などと本気で聞いたレベルである。どちらかといえば、私の仕事は自分の苦手とする方向に進んでいる。

 そんな私が今では原稿を書き、講演を行い、学生に授業で講義しているのだから、自分でも恥ずかしくて、「はい、好きな仕事です!」とはなかなか言えないわけで。

 だから、「僕は好きな仕事をしています!」と胸を張って話す人に会うと、うらやましいなぁ、などと正直思う。一度しかない人生で、好きなことを仕事にできたなら、幸せだろうと、本当に思うのだ。

 ところがどうやら人間とは、やはりややこしい存在のようで、好きで、おまけに自分に合っていると思う仕事に就いていても、長く続けていると、「好きだ」という気持ちが薄れていくらしい。

 そこで今回は、好きな仕事とは? ということについて、考えてみようと思う。

好きだったSEの仕事を続けているのに……

 「今さらなのですが……」。こう現在の心境を語り始めたのは、IT関連の企業に勤める43歳のA氏。彼は“好きな仕事”だからと、管理職になるのを拒んで専門職の道を選んだが、今では後悔しているという。

 いったい何が彼の気持ちを変えてしまったのか? まずは、A氏の状況を振り返ろう。

 彼は40歳の時に、「システムエンジニア(SE)の仕事が好きだから」との理由で専門職を選択し、今も現場のプレーヤーとして働いている。ところが、好きで選んだ道であるはずなのに、どうしようもない壁にぶつかっているというのだ。

 「僕は今の仕事が好きだったし、自分に合っていると思っていました。それなりに評価されてきましたし、自分でもそこそこイケてると自信もありました。ところが1年くらい前、仕事が遅いと上司から指摘されまして」

 「僕が1つのシステムを仕上げる間に、30代のスタッフは2つくらいは仕上げていると。おまけに、時間をかけた分、僕の納品したものの方が性能面で優れているかといえばそんなこともない、と。まぁ、かなりキツイ指摘ですよ」

 「確かに、若い時は何日徹夜しても、最後まで品質を落とすことなく、仕上げることができた。でも、40を過ぎればそうした体力もなくなります。だいたい気力が続かない。それでも、自分なりにスピードアップするように努力しました。ところが、その時は既に遅かった。気がつくと、僕に任される仕事がめっきりと減っていたんです」

 「前は1つを仕上げると、息をつく暇もなく、次の仕事に取り掛かっていました。最近は完全に窓際です。今さらながら専門職を選んだことを後悔しています。SEの仕事が好きだったのかどうかも分からなくなりました」

 「結局、組織の中では、好きなことをやるのはあきらめて、年齢が来たらマネジャーになるという選択をした方がいいんです。こういう状況になるまで肉体面のことを考えることはありませんでしたけど、管理職というのは肉体的な面でも、40過ぎの働き方に合っているのかもしれないですね」

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「1つの“愛”を失った男性の哀切」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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