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菅首相は「もんじゅ」に政治生命を賭けられるか?

――原子炉事故に「政治主導」を問う

2010年11月24日(水)

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 ここ数回、若手経済人の友人たちとの座談が続いたのですが、その間にも大きな事件がいくつも起きました。尖閣諸島の問題、その模様を写したビデオの流出、APEC(アジア太平洋経済協力)関連の様々な話題・・・僕のツイッターにも「伊東さんはどう思いますか?」「源流探訪でぜひ論じてください」とリクエストを頂いたりもしました。

 そんな中で、どうしても触れないわけにいかないと思ったのが、高速増殖炉「もんじゅ」の動きが取れない状況になっている問題です。

 そのほかの問題は、他の方もいろいろお書きになると思うのですが「もんじゅ」については僕が考えるようなことは、ほとんど誰も書かないと思うので。

 「若手座談会」はこの後で結論に当たるようなホットな議論が2回分続くのですが、いったん話を中断して「もんじゅ」の問題について考えてみたいと思います。

プロメテウスの火は消せない

 かつて理学部で物理を学んだ僕は、原子力の平和利用を前向きに考えています。これには様々な理由がありますが、あえてひとつだけ挙げるなら、ジュネーヴなどで核の問題を話す時に必ず出てくる「核軍縮」の問題とセットで考えていることを挙げておきましょう。

 僕は核兵器の実戦使用、ならびに核軍拡に決定的に反対です。日本の大学人、音楽家として国際的な場で「核兵器の行使には絶対反対、核軍縮は決定的に重要」とお話しすると「ということは、核の平和利用には当然、賛成ですね?」と尋ね返されることになります。

 「その通りです」と答えるわけですが、それ以上に話が進む場合、

 「でも日本の社会では、核という存在そのものに対してアレルギーがあり、核兵器も大嫌い、原子力発電所も大嫌い、という感情的な論が最も支配的なのです」などと付け足すと、「なるほど」とも、「困った」とも、あるいは「理解不能」とも取れるような表情をされることがあります。

 論理的に筋道を通す人からは「軍事核がダメなら平和利用しかないでしょう。核は厳然と存在しているんだし」と言われますし、感情に慮ってくれる人には「日本は65年経っても、まだ冷静な議論は無理なのですね・・・」と同情されてしまう。個人的にはこの後者のほうが僕は困惑することが多いです。「要するに日本人は原子力について冷静な議論ができない人たち」と烙印を押されてしまうと、これはこれで話が通じなくなってしまうので。

 ギリシャ神話には人類に火をもたらした英雄「プロメテウス」が描かれます。一度火を手にしてしまった人類は、もはや火以前に戻ることができません。同じように、核という火もまた、一度手にしてしまったら中途半端にほったらかすことができない「力」です。というのも、一度精製した核燃料など、やたらに放置されればそれだけでたいへんなことになってしまうので。

 最初にこんなお話をしたのは、今回の「もんじゅ」の事故、必ずしも国際的に知られてはいないと思いますが、こうした具体的な事例への政府判断が、今後の日本の「原子力平和利用」への姿勢を問われる基本材料として積み重なってゆくだろうと思うからです。

「もんじゅ」で何が起きたのか?

 以下、独立行政法人日本原子力研究開発機構のウェブサイトを基に、「もんじゅ」で何が起きているのか、確認してみたいと思います。

 今年8月26日午後2時48分頃、「もんじゅ」の原子炉建物内では「炉内中継装置」を取り外すべく「引き抜き作業」が行われていました。ところがその作業中、突然「異音」とともに「吊り過重」が急減する、という事態が起きました。

 重いもの(3.3トン)をクレーンで吊り上げていたら、途中で急に軽くなり、ゴギン! といったか何といったか分かりませんが、通常出てほしくない音がした、ということです。要するに、吊り上げていたものが何かの拍子で落下してしまった。状況を見てみましょう。

「もんじゅ」の「炉内中継装置」の装着位置。
独立行政法人日本原子力研究開発機構の公開資料より引用。

コメント12件コメント/レビュー

もんじゅや原子力等とても大きな問題と思いますが、首相がひとつひとつの案件でいちいち政治生命を懸けてどうこうと言っていては、国が成り立っていかないと思うのですが、、、日本はやはり未だにハラキリ精神から抜け出せていないのではないかと思っていました。自民党政権時代からですけど。。また、原子力関連ですが「一度作ってしまったものは、あくまで世の中に残存します。それを安全に処理するための技術を失ってしまったら、誰も手がつけられないことになってしまいます」本当にそうですよね。だからこそ、廃棄物処理や寿命後の対策が何より大事なのにそれも全くままならないまま、CO2にかこつけてどんどん増産されている昨今。本末転倒なのでは?と心の底から思っています。また、これまでのPRも危険性など全くないかの様なイメージ戦略ばかりでとても気持ち悪いものばかりでした。前に行った講演会で某大学教授(元?)が原子力は安全なのに日本のマスコミはちょっとした事故でも報道しておかしい!と言っていました。別の講演会では、インドのエネ関係者が原子力は危険を伴うが我が国ににはトリウム(比較的安全性が高いと言われていますよね。実際はわかりませんが、なぜ日本がこういう研究をもっとしないのか疑問だったりします)もあるし必要不可欠だと言っていました。こちらの考え方の方がしっくり来ます。嘘やインチキを一番やってはいけない原子力政策だと思います。(2010/11/25)

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もんじゅや原子力等とても大きな問題と思いますが、首相がひとつひとつの案件でいちいち政治生命を懸けてどうこうと言っていては、国が成り立っていかないと思うのですが、、、日本はやはり未だにハラキリ精神から抜け出せていないのではないかと思っていました。自民党政権時代からですけど。。また、原子力関連ですが「一度作ってしまったものは、あくまで世の中に残存します。それを安全に処理するための技術を失ってしまったら、誰も手がつけられないことになってしまいます」本当にそうですよね。だからこそ、廃棄物処理や寿命後の対策が何より大事なのにそれも全くままならないまま、CO2にかこつけてどんどん増産されている昨今。本末転倒なのでは?と心の底から思っています。また、これまでのPRも危険性など全くないかの様なイメージ戦略ばかりでとても気持ち悪いものばかりでした。前に行った講演会で某大学教授(元?)が原子力は安全なのに日本のマスコミはちょっとした事故でも報道しておかしい!と言っていました。別の講演会では、インドのエネ関係者が原子力は危険を伴うが我が国ににはトリウム(比較的安全性が高いと言われていますよね。実際はわかりませんが、なぜ日本がこういう研究をもっとしないのか疑問だったりします)もあるし必要不可欠だと言っていました。こちらの考え方の方がしっくり来ます。嘘やインチキを一番やってはいけない原子力政策だと思います。(2010/11/25)

まだ運転はしていませんが、燃料が既に入っています。だからナトリウムを除去出来なくて、修理も出来ず、結局、堂々巡り状態だと思うのですが。(2010/11/25)

政治家も含め、裏目に出た場合のリスクが高すぎるので誰も指示を出したく無いのが正直なところではないでしょうか。誰にとってもリスクは取りたく無いものですが、それではジリ貧路線を行き止まりに向けて突き進むことになるわけで、今日本人のミームが試されてるように思えます。しかし、屈曲して抜けないのだとすればどうするんでしょう。外壁を挿入してストローを隔離し内側からロボットでもいれてレーザーで切断取出などとでもするのでしょうか。物理というより技術的なところで門外漢ながら興味があります。(2010/11/25)

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