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第20回 ワークとライフはバランスでなく一体でしょ

イクメン? ワーク・ライフ・バランス問題での私の違和感

  • 武田 斉紀

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2010年11月22日(月)

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ワーク・ライフ・バランスは誰のため?

 明日(11月23日)は言うまでもなく「勤労感謝の日」だ。だがここに、2006年からもう1つの「○○の日」が加わったことをご存じだろうか。

 「いい兄さん」の日でも、「いい爺さん」の日でもない。「ワーク・ライフ・バランス(Work Life Balance)」の日だ。全く知らなかったという方でも、ワーク・ライフ・バランスという言葉自体は耳にしたことがあるだろう。この言葉はそれから4年がたった今でも、「日本社会では思ったほど進んでいないのだが」という枕言葉で語られがちだ。

 政府の旗振り役は、内閣府の「仕事と生活の調和推進室」だ。「ワーク・ライフ・バランス」を「仕事と生活の調和」と訳して、そのまま部署名に掲げている。

 2007年12月以来、総理大臣をはじめとする関係閣僚、日本経済団体連合会、日本商工会議所、連合などの労使代表、全国知事会、有識者からなる「官民トップ会議(正式名称、仕事と生活の調和推進官民トップ会議)」を毎年開催。今年6月には、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定した。

 また関係各方面の実務レベルの人たちを集めて「連携推進・評価部会(正式名称、仕事と生活の調和連携推進・評価部会)」を年に5、6回開催。会の狙いは、憲章と行動指針の点検・評価を行うとともに、仕事と生活の調和の実現のための連携推進を図って公開で議論し、報告することだ。

 憲章では、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会のありようを定義している。ちょっと長いのだが、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」なのだそうだ。具体的なイメージがわいただろうか。

 民間主体の動きもある。2006年8月にスタートし、資生堂・相談役の池田守男氏、第一生命保険・代表取締役会長の森田富治郎氏および大学教授らを代表幹事とする「ワーク・ライフ・バランス推進会議」だ。毎年ワーク・ライフ・バランスを推進した企業を表彰するなどしている。会員企業も増えつつあるようだ。

 ワーク・ライフ・バランス自体は、欧米各国でも浸透してきている概念のようだが、日本で注目されるようになってきた背景には国としての個別の事情がある。少子化と高齢化による人口減少だ。女性が働きたくても働けない、子供を産みたくても産めない状況を何とかしないと、ますます人口減少が進んでしまう。そうなると国の成長も止まってしまうという憂慮だ。

 1992年に施行され、今年改正された育児・介護休業法も、男女共同参画というよりは、男性に取得させて育児や介護における女性の負担を軽くしようという狙いを強く感じる。負担を軽くした分、女性には社会の労働力と未来の労働力を期待したいというのが本音だ。女性は社会で思い切り働き、子供もたくさん産んで育児も頑張れというのか。ワーク・ライフ・バランスはどこへ行ってしまったのか。

 ワーク・ライフ・バランスの趣旨には、働きすぎによって体調を崩したり、組織や人間関係のストレスで精神的に参ってしまう状態をなくす狙いもある。先輩たちは言う。「昔は仕事一色だったけれど、もっとおおらかに働いていたよ」と。競争は国際的になり、時代の変化も激しくなって、仕事に求められるスピードは上がった。労働時間が少々減っても、仕事の負荷はかえって増えているのだろう。

 一方で、職場の人間関係は以前に比べて希薄になっている。上司とのノミニケーションも減り断りやすくもなった。しかし関係が希薄になってしまったが故に、かえってストレスがたまり始めたと言えないだろうか。ノミニケーションを復活させようというのではない。上司と部下、仲間同士が互いをよく知り尊重し合う。励まし合ってフェアに競い、勝者をたたえ敗者をいたわる、互いにねぎらい次に進むといった組織で働く経営スタイルを復活させてはどうだろう。これはワーク・ライフ・バランスだけの問題なのだろうか。

 そして最後に・・・とは言いすぎだが、ワーク・ライフ・バランスのもう1つの趣旨はプライベートの充実だ。仕事≒人生という時代を過ごした男性からするとぜいたくに見えるかもしれないが、人生は仕事だけでは必ずしもないということだ。

 そこまではいい。ところが会社は何を始めたか。一律に残業をしてはいけないといっては、決まった時刻に強制的に消灯する。部下の有給休暇消化率が低い上司をしかり、冷遇する。そうでもしないと現状が変わらないからだと会社は言う。私は残業やハードワークを勧めているわけではないが、仕事が楽しいから頑張りたい、会社のために貢献したいと前向きに頑張っている社員からすれば、理不尽に思えないだろうか。

 個人的にはもう1つ挙げたい。そもそもワークとライフは対立させて考えるべきものだろうかという点だ。これについては最後にお話しする。いずれにしても、私にとってワーク・ライフ・バランスという言葉に対する違和感は深まるばかりだ。

 果たしてワーク・ライフ・バランス問題の“問題”は、どこにあるのだろう。

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