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チリの落盤事故から学ぶリーダーの要件

「棒芯」の不在がモノづくりを弱体化させる

  • 常盤 文克

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2010年11月30日(火)

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 今年8月にチリのサンホセ鉱山で起きた落盤事故は、皆さんの記憶に新しい出来事だと思います。落盤によって地下約700mの坑道に33人の作業員が閉じ込められましたが、69日ぶりに全員が奇跡の生還を果たしました。

 この生還の立役者は、閉じ込められた作業員のリーダーとされるルイス・ウルスアさんです。彼は救出を信じて仲間を強いリーダーシップで束ね、パニック状態になった仲間を激励し、ルールを決めて統率を取り、結果として全員が生還できました。

 このウルスアさんの行動から、私たちは学ぶべきことがたくさんあります。リーダーはどうあるべきか、リーダーシップとは何かを、彼は私たちに改めて教えてくれたのです。

 もう少し詳しく説明しましょう。

 まず1つが、極限状態にある中で自ら率先して行動を起こし、全員に安心感と秩序をもたらしたことです。人間は極限状態に置かれると、必ずと言っていいほどパニック状態に陥ります。仮に食料や飲み水があれば、その分配を巡っていさかいが起きるでしょう。統率する者がいない組織は、常にいさかいと背中合わせなのです。

 落盤事故の発生後、ウルスアさんは仲間を1カ所に集めて構内の落盤状況を調べ、まず現状を把握しました。リーダーとしての第一歩、ここが大事なところです。自分たちが閉じ込められたと判断すると、今度は残っている食料を確認し、配給のルールを決めました。新聞記事によると、作業員は48時間ごとにツナの缶詰を小さなスプーンに2杯、牛乳を半カップ、ビスケットを1枚ずつ分け合い、救助を待ったそうです。

 それだけでなく、チームをつくって役割を分担しました。全員を3つの班に分けて班長を決め、一日を仕事の時間と自由時間、休養時間、睡眠時間の8時間ずつに区切りました。そして、それぞれの班長に統率させたのです。ウルスアさんの決めた規律は、しっかりと保たれました。

極限状態で生まれた秩序と連帯感

 ここで私が言いたいのは、誰かがウルスアさんをリーダーに任命したのではないということです。彼は勇気をもって自ら行動し、それに全員がついて行き、結果としてリーダーになりました。そこからは、何がリーダーの要件であるかが見てとれます。

 まず状況を把握し、自らを犠牲にしても仲間のために行動し、人が嫌がる仕事も買って出る。一方、その成果はみんなで分かち合う。結果として、この人についていけば自分は必ず助かる、自分たちのことを第一に考えてくれている、という信頼感が生まれてきます。そして、仲間同士を思いやる気持ちや連帯感、協働の精神の醸成につながるのです。こうした心構えこそ、リーダーとして仲間を率いる重要な要件です。

 ここでもう1つ付け加えると、事故で生き残った作業員が1人や2人ではなく、33人の集団だったということです。集団だからこそ互いに励まし合い、連帯感を育み、生き残ろうとする力がわいてきたのです。

 人は独りでは生きられません。常に集団の中で個と個がかかわり合って生きており、個と集団は一体不可分な存在なのです。今、企業では優れた個がもてはやされていますが、大事なのは個の力を超えた集団の力です。企業の力とは、個ではなく集団の力なのです。今回の全員帰還は、こんなことも教えてくれています。

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