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第21回 完ぺきなリーダーほど、煙たい

リーダー本をまじめに読んでるあなたが一番アブナイわけ

  • 武田 斉紀

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2010年11月29日(月)

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ちまたにあふれるリーダー本が、リーダーに求めていること

 アマゾンの検索窓に「リーダー」と入れるといくつ引っ掛かってくるか試してみた。2万2280件(執筆時点)と、実に2万件以上に及んだ。

 「マーケティング」だと1万7542件、「人事」だと2万6548件。書籍検索による単純比較ではあるが、これらと並べられるくらい世の中の関心を集めているテーマと言えるのかもしれない。

 「リーダー」に関する本をすべて読んだわけではないが、目立つのは「リーダーに求められるスキルや能力」「リーダーがあるべき姿」などの項目を並べている本だ。

 パナソニック創業者で経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏の『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)には、次の5つが挙げられている。

・素志貫徹・・・道を切りひらくために

・自主自立・・・知恵と力を集めるために

・万事研修・・・すべてに学ぶ人となるために

・先駆開拓・・・新たな歴史の扉を開くために

・感謝協力・・・真の発展を目指して

 これは日本のリーダーとなる人材を育成・輩出すべく設立された松下政経塾の行動規準と言える「五誓」でもある。同塾出身者の多くはその後政治家として、経済界においては経営者や役員として、また研究、マスコミ、教育分野などにおいてリーダーのポジションに就いている。彼らは今でもこの5項目を、リーダーに求められる行動規準として大切にしていることだろう。幸之助さん自身の長年の経験則であり、読めば読むほど深い話だ。

 コミュニケーションおよびリーダーシップのトレーナー兼コンサルタントのマリーン・カロセリ氏の『初めて部下を持つ人のためのリーダーシップ10のルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)には、タイトル通り「リーダーとは○○する人である」という表現で10項目が挙げられている。

 「現状を変革する人」「ビジョンを描く人」「問題を解決する人」「チームをまとめる人」「マネージする人」「コミュニケーションをとる人」「力を配分する人」「関係を築く人」「計画を立てる人」「リーダーとはリーダーである!」

 この内容にも私は異論がない。さらにビジネスコーチング企業、コーチ・エィ取締役社長・鈴木義幸氏の『リーダーが身につけたい25のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、やはり「リーダーは○○する」として25項目が取り上げられている。

「1.ビジョンを描く」「2.決断する」「3.エネルギーが高い」「4.やりとげる」「5.スピード感が速い」「6.何かをやめることができる」「7.聞く」「8.人前でうまく話せる」「9.誘う」「10.逃げない」「11.自分を客観視できる」「12.約束を守らせる」「13.部下のリーダーシップに火をともす」「14.組織の全員をリーダーと見る」「15.リーダーを育てる」「16.組織の緊張感をコントロールする」「17.楽観的である」「18.慢心しない」「19.自分に前向きの質問をする」「20.多様性を尊重する」「21.リーダーシップを学んでいる」「22.ストレスをコントロールする」「23.反応を自分で選択する」「24.退路を断つ」「25.情熱を自分で生み出す」

 25項目のどれを取ってもやはり異論はない。というより25項目はまとめれば先の10項目にほぼなるのだろうし、さらには松下政経塾の「五誓」にもまとめられるのではないだろうか。恐らくリーダーに関する良書を何冊か買えば、「リーダーに求められるスキルや能力」「リーダーがあるべき姿」はおよそ網羅できるに違いない。それにしても、「リーダーに求められること」の何と多いことか。

 次第に気持ちが重くなっていくのは私だけだろうか。自分が現在満たしている数を聞かれたら、いくつと自信を持って答えられるだろうかと考える。同時に私は、かつて大きな組織の中で課長に昇進した時のことを思い出した。

 明確に位置づけられた組織のリーダーとして、社会に出て初めて人を率いていくことになった。会社が要望する課としての結果も求められる。まさに5項目、10項目、25項目のすべてがドーンと目の前に置かれた瞬間だった。昇進したことの喜びよりも、緊張感に襲われた記憶の方がよみがえった。

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