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潜在ニーズを発掘して選書に反映する公共図書館運営の「リブネット」

2010年12月6日(月)

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 前回の「行政サービスも生産性革命へ! ――公共図書館を運営サポートする『リブネット』」で、学校図書館や公共図書館の運営受託を行うリブネット(三重県伊勢市)を紹介した。そして、激しい市場競争の環境下に置かれていない行政サービスも多くのサービス産業のように生産性革命を実現することができるのか、問題提起を行った。

 この問題提起の回答は「可能である」というのが結論であり、その具体的な事例として、再びリブネットが運営に関わる三重県の明和町ふるさと会館に併設されている公共図書館の取り組みをここで紹介したい。

図書館の生命線は「選書」にある

 図書館は書籍の貸し出しを行う。学校図書館であれば教育サービスの中で、公共図書館であれば行政サービスの中で、書籍は無料で一定期間貸し出される。また、書籍を貸し出すだけでなく、多くの図書館には椅子とテーブルがあり、静かにそこで読書し、調べ物を行うこともできる。このように、一般の小売店であれば、書籍は商品であり、図書館が店舗であり、利用者は顧客である。このように図書館のサービスを見ると、どのような書籍がそれぞれの図書館で揃えられているのかが最も重要な価値となる。

 小売店であれば、POS(販売時点情報管理)レジのデータを分析し、アンケート調査を行い、はたまたはスタッフが来店客の購買行動を観察し、どのような商品を最終的に取り揃えるべきかを日々真剣に考えている。この商品構成を間違えると、その店舗の売り上げは振るわず、長期的に営業し続けることができない。

 仮に顧客が求める商品が取り揃えられていたとしても、商品を探すのに時間がかかるようであれば、やはり顧客の支持を得続けることはできない。さらに、一般の企業であれば、サービスの提供方法が的確であったかは、その日の売上額で瞬時に評価されてしまう。

 少子高齢化が急速に進んでいることから、地域によって世帯構成や年齢構造は大きく変化する。郊外と都市部だけでなく、首都圏と地方都市でもそれらは大きく異なる。このようなことから、食品スーパーでは狭い商圏に住む地域住民にいかに密着して店舗運営できるかが大きな鍵となり始め、そのために食品スーパーでは様々な工夫がなされている。

 ここで議論している図書館のサービスを見た時、書籍を揃えていく選書の作業とは、小売店でいう商品構成を決めていくことと同じで、極めて重要な作業である。もし地域に住む利用者の要望に合った書籍を提供しようとすれば、図書館も食品スーパーと同じように努力しなければならない。一方、食品スーパーと違って、図書館は同じ利用者によって同じ書籍が繰り返し借りられることがないことから、常に在庫していない書籍を新たに購入しなければならず、恐らく小売店に比べより良い書籍構成にしていくには、さらなる努力が必要になる。

 それでは、具体的な事例として、リブネットが運営に関わっている明和町の公共図書館がどのように地域の状況を理解し、どのような方法で選書しているのかを次に紹介する。そして、このような努力の結果、利用者数や貸出冊数、顧客満足がどのように推移してきているのかを明らかにする。

煩雑な書籍管理の効率化を進める

 選書を行うのは、図書館で働くスタッフである。しかし、スタッフの仕事は選書だけでなく、様々な業務を日々こなさなければならない。

 図書館では書籍の貸出や返却の手続きを行っているだけではない。図書館の貸出冊数が増えていけば、それと同じ数だけ返却される書籍が存在する。返却された書籍は、スタッフによって確認され、その手によって書架に戻される。また、貸出冊数が多いということは、一般に利用者が多いということでもある。そして、そのような人々は欲しい本だけを探して借りていくことはしない。書架の間を歩き回って、面白そうな書籍を探し、手に取って内容を確認する。もし読んでみたいと感じなければ、手に取られた書籍は元の場所に戻される。しかし、利用者が確実に、そしてきちんと元の場所に戻す保証はない。

 このことは、図書館の貸出冊数が多くなればなるほど書架が乱れ、書架がきちんと整理されなければ、利用者は書籍を簡単に探し出すことができなくなることを意味している。つまり、利用者が多くなれば、書架整理のようなスタッフがやらなければならない作業が比例して増えていくのである。

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「潜在ニーズを発掘して選書に反映する公共図書館運営の「リブネット」」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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