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「成長の限界」

自分の分身に「指示の行間を埋めてもらう事」はどこまで可能か?

  • 斉藤 由多加

バックナンバー

2010年12月2日(木)

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 「だから斉藤君はだめなんだよ」というアドバイスを、先輩経営者から指摘された事が2度ほどある。そのどちらもが、「社長ってのはもっと隙をつくらなきゃいかん」という指摘。

 社長というのは本来、完璧を目指さなきゃならないと思い込んでいた僕には意外な指摘だった。

 「君は何から何まで自分でやろうとしているだろ? どーんと社員に任せなきゃダメだよ。何から何まで、全部さ。『中途半端に完璧』な社長だと、『手伝おう』という士気が削がれるんだ」というのが彼らの意見。

 「それって、重要な判断や管理をいっさい放棄して、会社の実印も通帳も預けっばなしにするという意味ですか?」
 「そうだよ。」
 「え!? そんなことして、事故が起きたらどうするんですか!?」
 「いいじゃないか、起きたら起きたで。」
 「ダメですよ、会社つぶれちゃいますよ」
 「つぶれたっていいじゃないか!」
 「は?」

 この突拍子もないアドバイスをしてくれた一人は、当時も現在も某有名企業の台所を預かる上級取締役。あれから10年。いまだにこの人の真意はわかっていない。ただ僕のアタマの中には、このときに聞いた「中途半端に完璧な社長」って言葉がずっと残っているのであります。

 もう一つはいまや立志伝中の人物となった孫正義氏に言われたこと。「斉藤くんは、自分でやれば100できるのに、社員たちは40くらいしかできない、と悩んでいるだろう? でもね40しかできない人でも3人居れば、120できるんだよ」と。

 そのときはなんとなく「なるほど」と思ったけれど、こちらも、15年近くたっているにもかかわらず、40+40+40=120と足し算的に任せてうまくいった大きな成功事例は、僕にはまだない。その理由ってのは要するに、以前に本連載でも語ったことがある「公開してはいけない会社」と同じ理屈。僕が居る業態は産業化できないものだと思って半ばあきらめている。

ワンマン創業者が体験する孤独の理由

 一人で会社を立ち上げたオーナー社長ってのは、「資金繰り」「営業」「制作」「接待術」と一通り何でもこなしてきたわけです。自分自信がミッションそのもので、かつオーナーだから、危機感もモチベーションもスピードも誰よりある。それで最初の小さな成功体験をすることになるのがオーナー社長。

 小さな成功のせいで、時間を買うような気持ちで社員を雇い始める。あくまで自分の「分身」として人を雇うわけだから、そのクライアントへの対応、仕事のやり方、納品物の品質基準、判断基準に至るまで、依頼された社員たちは社長と比較され、その哲学通りにやらないと不満、ということになる。

 しかし、そもそも「分身は本人を越えられるわけがない」、というのは世の道理なわけで…つまり社長を越えろ、というのはしょせん、無理な話なのである。こういうスタイルで起業した会社の社長は、それに気付かないまま(「気付く」というといかにも簡単な過ちに聞こえるが、社長の芸風が会社の原動力である以上、捨てる事はけっこうな困難といえる…)最初は1人だった社員数が二ケタ台に乗ったあたりからだんだんと閉塞感を感じるようになるわけ。

 整理するとこの閉塞感の原因は二つ。

 一つは、「人を雇わない方が効率がだんぜんよかったなぁ」というジレンマ的なあきらめ感。

 もう一つは、社長ひとりという、いわば単気筒エンジンであるが故の「このまま行っても先は見えない…」という成長カーブの限界感と焦り。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官