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第22回 日本のレアアースは、“やる気”じゃないですか

ダニエル・ピンクさん、日本人は以前からモチベーション3.0ですよ

  • 武田 斉紀

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2010年12月6日(月)

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日本人にとっては今さらに思える『モチベーション3.0』

 米国のビジネス作家ダニエル・ピンク氏の書いた『モチベーション3.0』(講談社、原題:“Drive”)を読んだ。

 ピンク氏の著書ではその昔、『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか―』(ダイヤモンド社)に共感し、会社と個人が対等な関係で働くことのできる“雇われない生き方”が、早晩日本でも市民権を得ると予感した。2002年のことだ。米国にはインディペンデントコントラクター(独立業務請負人)が既に900万人いると言われる。

 翌年、私の知人たちは日本でインディペンデントコントラクター協会を立ち上げた。あれから10年近くがたった2010年。経済成長のスピードは鈍化し、リーマンショックの余波は消えぬまま、“雇われない生き方”どころか、雇われているだけでも大変な時代になっている。それでも私自身は、“雇われない生き方”は認知されるようになっていくだろうと信じている。

 だが『モチベーション3.0』では読み進めていくにつれて違和感を覚えた。ピンク氏は日経ビジネスオンライン2010年7月27日のコラム(やる気は「お金」では買えない)で次のように語っている。

 モチベーション(やる気)について調べてみたところ、「お金は、我々がふだん考えるほど重要ではない」「大事なのは、内面から出てくる“やる気”だ」ということに思い当たり、驚いたと言う。「今回の本のタイトルにもした“モチベーション3.0”は、“やる気”を意味している」と。

 「“モチベーション1.0”は“生存”すること。“モチベーション2.0”は“アメとムチに基づく動機づけによるもの”だ」「もしビジネスパーソンが、自分の労働に値する十分な報酬を得られていないと感じると、働く意欲は湧いてこない。解雇されない程度に最小限の仕事をするだけだ」「これはルーチンワーク中心の時代には効き目があったが、21世紀を迎えて機能しなくなった」

 「ほとんどの会社が、モチベーション2.0レベルの古い動機づけの方法を使っている。つまりアメとムチを使う方法。創造性を要する高度な仕事に対しても、目の前にアメをぶら下げつつ、ムチを持って後ろに立つやり方をしている。その結果、ビジネスパーソンのやる気をうまく刺激できずにいる企業が多い」

 日本ではどうだろうか。日本にも彼が指摘するような「十分な報酬がないと、解雇されない程度の最低限の仕事しかしない人」はいるだろう。それでも米国ほど多くはない。

 私の知る米国系の企業で働く人たちは、より良い報酬でヘッドハンティングされれば、家族などの条件さえ整えば迷うことなく転職する。直近で大切なプロジェクトを任されていたとしても、目の前のチャンスを逃さない。それは自分への評価であり、断る理由などないと考えるからだ。その一方で一定期間内に期待された成果が出せなければ、たちまち職を失う。

 彼らにとっては、長年にわたって報酬がやる気の素であった。十分な報酬がないと、解雇されない程度の最低限の仕事しかしない。結果、米国メーカーの多くの製品は、品質において日本に負けた。片や法外な報酬で人材を引き抜き合い、成績次第で青天井の待遇を用意していた金融業界では、優秀な頭脳が悪知恵を働かせた。結果、リーマンショックが世界中の経済を一瞬にして冷え込ませてしまった。

 これがピンク氏も指摘する『モチベーション2.0』のアメとムチの実態ではないか。けれども日本人はバブル期を除けば、ずいぶん昔から『モチベーション2.0』を第一の目標として働いてはいなかった。

 同書の言う『モチベーション3.0』に当たる「学びたい、創造したい、世界をよくしたい」あるいは「お客様に喜んでもらいたい」「地域のために、社会のためになりたい」そして「家族に喜んでもらいたい」といった金銭的な報酬以外の動機、『モチベーション3.0』を意識して働いてきたのではないだろうか。

 ピンク氏の主張は、日本人である私にとっては今さらと感じられたのだ。

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