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「リベンジ就活者」10万人超 採用枠巡り現役と競り合う

【上】 新卒学生が苦しむ本当の理由

  • 恩田 敏夫

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2010年12月13日(月)

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 「就活の形」が異常なまでに歪んでしまった。内定を取れない大量の学生・若者を苦しめ、企業側も早期化・長期化する採用活動で徒労感に襲われている。大学は教育の空洞化、人材育成機能の劣化にますます危機感を抱き、企業は早すぎる就活の「負の側面」が強まってきたことに悩み始めている。歪んだ就活に限界を嗅ぎ取った双方の間に、改革に向けた新たな取り組みが始まった。「上」、「中」では「就活の構造」がなぜこれほどまでに歪んでしまったのか、について徹底分析し、「下」で就活改革のための新たな提言を行う。

就職環境はここ2年で劇的に変化、氷河期下回る過去最悪に

 震える手でメールを開く。つい最近受けた東京の電子部品メーカーの最終面接の結果だ。不合格を通知する「お祈りメール」の言葉がすぐ目に飛び込んできた。東京の私立大学法学部4年生のA君は、3年生夏のインターンシップから始めた就職活動に今も終止符を打てないでいる。大企業中心に40社を超す企業の面接を受けたが、ことごとく落とされた。「受けても、受けても不採用。出口が見えず、今までの人生で味わったことのないしんどさです。卒業時期がたまたま就職氷河期だからといって、先輩たちより不利な扱いを受けるなんて」と青白い顔で話す。大学キャリアセンターの掲示板はすでに3年生向けの2012年春採用情報に切り替わっているが、A君の同級生の約半数は今もリクルートスーツを着たまま、不安と徒労の就活漬けの日々を送っている。

 政府が11月中旬にまとめた「2011年春大卒の就職内定状況調査」によると、10月1日時点の内定率は57.6%と「就職氷河期」を下回る過去最悪となった。氷河期レベルといわれた今春大卒の就職者数は32万9000人と前年より5万3000人も激減したが、来春はさらに深刻化するのが確実な情勢だ。大学関係者は「景気が良くなれば、就職状況は持ち直すのだが」と期待するものの、企業の採用環境はリーマンショック以降、ここ2年ほどで劇的に変化しており、出口の見えない氷河期がしばらく続くと覚悟しなければならない。

重なった4つの構造的な不運

 なぜこれほどまで状況が深刻化したのか。「未曾有の就職難」は単に不景気だけのせいではない。いくつもの構造的な不運、ミスマッチが重なり、学生たちを苦しめているのだ。

 構造的な不運、つまりミスマッチの第1はそもそも新卒求人数に対し、大卒者の数が供給過多になっていることだ。教育機会の拡大と仕事の機会減少がもたらした齟齬である。

 1990年に24.6%だった大学進学率は2010年に50.9%にまで上昇、多様な若者が大学で学ぶようになった。大卒者が1.5倍に増える一方、高卒・大卒の新規採用市場は逆に大きく縮減してきている。バブル崩壊以降、日本企業は人事管理の考え方を大きく転換、新卒採用を抑制し、契約社員や派遣、パートなど非正規雇用に置き換える複線化採用を進めてきたからである。

 構造的な不運の第2は技術革新やグローバル化など企業環境が大きく変化する中で、職業人として求められる知識や技能が高度化し、とりわけリーマンショック以降、大企業の間で、「厳選採用」の潮流が一気に強まったことだ。2009年あたりから大企業は数合わせではなく、優秀な人材しか採らない動きが目立っている。大学生のバブリーな増大は「学生の質の低下」をもたらしており、学力不足や就職準備が整わない学生がこの厳選採用の高いハードルを越えられず、大学を卒業しても就職できない学生が大量発生する現象が急速に表面化してきたのである。

10万人を超す既卒者と留年生が「2年目のリベンジ就活」に参戦

 2010年春の大卒者のうち、進学も就職もせず、「無業」のまま卒業したり、フリーターになったりすることを余儀なくされた若者は合計で10万6000人に上ったが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が6月、500近い大学のキャリアセンターの協力を得て、この10万6000人の追跡調査を行ったところ、うち7万人弱が「リベンジ就活」にいそしんでいることが明らかになった。

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 このほか今春「就職留年」を含め7万2400人が新たに留年したが、この大半も「2年目の求職活動」に挑んでいると見られるから、10万人をはるかに超す既卒者と留年生が、41万人の現役4年生と2011年春の採用ワクをめぐり競い合っているわけだ。

 政府の内定率調査や大学公表の就職率はあくまで現役学生を対象にしたもので、既卒者の就活は一切含まれていない。実はこれまで数字上表面化してこなかった「リベンジ就活者の増大・累増」こそが、就活学生の焦燥感、危機感を倍化させているのである。

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