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消費者金融業界壊滅!

規制強化で“20兆円産業”が消える

  • 小屋 知幸

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2010年12月14日(火)

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もはや風前の灯

 消費者金融業界が、壊滅的危機に直面している。業界最大手の武富士は会社更生法の適用を申請した。アイフルも私的整理の一種である事業再生ADRの手続きを実施中である。アコム、プロミスなどの業界大手企業も事業を大幅に縮小するなど、必死のリストラを進めている。2010年度上期に大幅な赤字を計上したアコムは、希望退職の募集などによりコスト削減を急いでいる。同じく上期決算が赤字となったプロミスも、有人店舗の全廃や子会社である三洋信販との合併などの構造改革を進めている。

 消費者金融業だけでなく、事業者金融業を含めた貸金業全体が、今や壊滅寸前の状況にある。金融庁の統計によると、2004年3月時点で約2万4000社あった貸金業者数は、2010年10月には2740社に激減した。この何年かの間に貸金業者数は、ほぼ10分の1に減ってしまった。

 2006年度末に20.3兆円あった貸金業の消費者向け貸付残高は、2009年度末には12.6兆円まで減少した。それだけではない。消費者金融の新規貸付は著しく縮小しているので、消費者向け貸付残高は、今後さらに激減する可能性が高い。現状のまま推移すれば、消費者金融ビジネスは消滅同然になってしまうかもしれない。

 このように深刻な状況であるにも拘わらず、消費者金融業界が壊滅し個人に対する無担保融資の担い手が消えることを危惧する声は、あまり大きいとは言えない。

致命傷となったグレイゾーン金利問題

 武富士などの消費者金融業者を追いこんでいるのが、顧客が過去に払い過ぎた利息の返還を求める「過払い利息の返還問題」だ。貸金業法の改正前まで、貸金業者の貸付金利に関して2つの規制が並立していた。利息制限法が定める上限金利(15~20%)と出資法が定める上限金利(29.2%、ただし改正前)である。そして両者の間の金利水準のことをグレイゾーン金利と呼んでいた。

 従来の消費者金融業界は、大半の顧客に対してグレイゾーン金利で貸し付けを行っていた。ところが、「利息制限法が定める上限金利を超えて支払った利息の返還を請求できる」とした2006年1月の最高裁判決を受けて、顧客からの過払い利息返還請求が殺到した。武富士はこの判決を受け5000億円もの利息返還損失を引き当てたものの、過払い利息の返還額は年1000億円にも上り、顧客の返還請求に対する支払い原資は底をついてしまった。

 消費者金融業界最大手の武富士でさえ、過払い利息の返還に応ずる体力はなかった。ましてや中小の貸金業者に、これに応ずる資本の蓄えがないのは明白だ。約9割の貸金業者が淘汰(とうた)されたのは、当然の成り行きだったのである。

崩壊した消費者金融のビジネスモデル

 今回の貸金業法改正により、出資法上の上限金利が20%に引き下げられ、グレイゾーン金利は廃止された。貸出金利の規制強化の背景には、消費者金融業界に対する厳しい批判の声があったことは間違いない。世の中の多くの人が「消費者金融業者はお金に困っている人の弱みに付け込み、高金利融資で暴利をむさぼっている」との認識を持っていたことは確かであろう。またグレイゾーン金利の廃止を決めた国会議員の心象も、ほぼ同様であったと推察する。

 しかしながら金利規制を強化するに当たり、市場における適正な金利水準について、冷静かつ合理的な検証を行った形跡は乏しい。確かに「消費者保護の観点から、金利は低いほどよい」と考える人は少なくないかもしれない。だがその結果、貸金業者のビジネスが成り立たなくなってしまえば、誰もお金を貸さない世の中になってしまう。

 日本消費者金融協会のデータによれば、消費者金融業者の営業貸付金残高に対する利息収入の割合は低下している。金利規制の強化に対応し、2006年度の約22%から2008年度の約19%に下がった。これは業界の貸出金利の水準にほぼ相応している。これに対して2008年度の、営業貸付金残高に対する事業コストの割合は約29%であり、消費者金融業者には大幅な逆ザヤが発生している。この事業コスト29%のうち利息返還費用が約9%を占め、その他の経常費用率は約20%である。

コメント18件コメント/レビュー

法を遵守していなかった会社を適正な状態にしようとしただけでしょう。他の方も書いておられましたが、私の知っている方も一応生活資金として借りていたらしいですが、傍目からは裕福な暮らしをしていました。貧乏な生活でも金を借りずに身の丈にあった生活する方が良いはずです。安易に金を借りられるようになったことで国民全体が堕落したと思います。(2010/12/16)

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いただいたコメント

法を遵守していなかった会社を適正な状態にしようとしただけでしょう。他の方も書いておられましたが、私の知っている方も一応生活資金として借りていたらしいですが、傍目からは裕福な暮らしをしていました。貧乏な生活でも金を借りずに身の丈にあった生活する方が良いはずです。安易に金を借りられるようになったことで国民全体が堕落したと思います。(2010/12/16)

以前の消費者金融に関する記事でも思いましたが、次のボーナスがアテになる程度に安定した社会人であれば、消費者金融でなくてもお金を借りる場所はあると思います。フリーターや無職者でまとまったお金が必要な人がいたとしても、消費者金融は以前の環境だったらお金を貸したのでしょうか?消費者金融でなければいけない階層の具体像がよく分かりません。(2010/12/15)

消費者金融って貧困者ビジネスでしょう。規制の少ない隣国に出て行ってるんじゃないですか。それでいいと思います。(2010/12/15)

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