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開国で成長する韓国

自由貿易と外資導入に執念を燃やす

  • 石原 昇

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2010年12月16日(木)

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 「韓国は、国土は狭いが経済領土は世界一。45カ国とFTA(自由貿易協定)を締結しているのはわが国だけだ」。12月3日に最終合意した米国とのFTA(自由貿易協定)を受けて、李明博(イ・ミョンバク)大統領は胸を張った。

鎖国する日本、開国する韓国

 日本は欧米など主要国とのFTA交渉のめどが立たず、TPP(環太平洋経済連携協定)で打開を目指したものの頓挫している。「明治維新、太平洋戦争敗戦に次ぐ、第3の開国」とAPEC(アジア太平洋経済協力)を前に意気込んだ菅直人首相に今や気概は感じられない。黒船を前にひるむ鎖国大国・日本には、21世紀のグローバル競争を先導するリーダーが不在だ。

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 韓国は、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インド、EU(欧州連合)、米国のすべてとFTAを締結した最初の国となる。世界貿易機関(WTO)の多国間貿易自由化交渉が行き詰まるなかで、2003年にFTAを通商政策の柱に据えた。既にASEANやインドなどとはFTAを発効させている。EUとのFTAは2011年7月に発効する予定だ。米国とのFTAも、批准は難航が予想されるものの、早ければ2011年半ばごろに発効する見込みである。

 向こう5年内に米韓は、自動車など95%の工業製品と消費財の関税を引き下げることになる。超大国、米国とのFTA締結は、韓国に輸出の大幅な拡大と、再度の飛躍的成長をもたらすと期待されている。対して日本企業には大きな打撃となる。経済産業省の試算では、韓国製品の対米輸出の増加により、2020年までに日本企業の自動車、エレクトロニクス製品、機械の対米輸出は1兆5000億円、GDPは3兆7000億円減少する見込みだ。

 また米韓のFTAが発効すれば、韓国のTPP参加への可能性も出てくる。現在はTPPに消極的な韓国も、多くの国と個別協定を結んでいる実態から障壁は少ない。加えてカナダ、メキシコ、タイなどもTPPへ関心を示している。そうなると、APEC加盟国の中でTPPに参加しないのは日本と中国だけという事態にもなりかねない。

三重苦にあえぐ日本

 米国の薄型テレビ市場において、シェア1、2位が、韓国のサムスン電子とLG電子の指定席となって久しい。かつてブランド力を誇ったソニー、パナソニックなど日本メーカーは後塵を拝している。LEDテレビや3Dテレビなど次世代テレビでは、さらにシェアの差が広がっている。

 より深刻なのは輸出最大品目の自動車だ。11月の米国の新車販売台数で、韓国の現代自動車は前年同月比で40%の増加を達成した。一方で、トヨタ自動車は上位自動車メーカーの中で唯一のマイナスに沈んだ。関税の撤廃で韓国製品の価格競争力が高まれば、日本製品はさらにシェアを落としかねない。

 現在の日本の自動車に対する関税率は、米国が2.5%、EUが10%、中国が25%。テレビの場合は、それぞれ5%、14%、30%にのぼる。

 法人実効税率は韓国の24%に対し日本は40%、ウォン安に対する急激な円高、そのうえ関税の格差が広がれば、日本企業に圧倒的に不利となる。日本は「三重苦」の状況に陥ると言えよう。技術革新による製品力で打開できるレベルではなくなってくる。

 日本が自由貿易に出遅れた理由は、いうまでもなく農業の保護にある。コメの778%をはじめ農作物輸入には高い関税をかけている。TPPに参加すれば10年間で関税を原則撤廃しなければならない。「日本の農業は壊滅する」との猛反発があるからだ。

 農業問題で同じ悩みをもつ韓国は、9兆円以上の対策費をもって臨んでいる。日本は1995年にWTOへ加盟する際、コメ市場の部分自由化を進めるため、ガットウルグアイラウンド対策費として、6兆100億円の予算を計上した。しかし農業対策そのものには使われず、ほとんどが農業土木に浪費された。そのトラウマからいまだに抜け出せない。「TPP加盟は、一向に進まぬ農業改革を今後10年かけて解決する好機」ととらえる気概のある政界実力者が居ないのが日本の不運だ。

1997年IMF危機からの飛躍

 韓国が自由貿易の先頭に立ち、グローバル市場へ邁進(まいしん)するのは、輸出が成長のいちばんのエンジンであると政府はもちろん、国民も認識しているからだ。昨年のGDPに占める輸出比率は43.4%とG20加盟国のなかで最も高い(2位はドイツの33.6%、日本は11.4%)。今年上半期には史上初めて「輸出7強国」に入った。1~6月の韓国の輸出額は2215億ドルとなり、世界輸出順位は7位で昨年の9位から2つ順位を上げた。今年7月末の外貨準備高は2860億ドルとなり、過去最高を更新した。これは中国、日本、ロシア、台湾、インドに続く世界6位の水準である。

コメント6件コメント/レビュー

現在の日本人は、個人、自分の組織のことしか考えなくなっているので、余程酷い状況になっても、自分の事を棚にあげて他人のせいにするだけで改善出来ないでしょう。大幅な落ち込みを経験してからでないと立ち直れないと思います。これに要する時間は、数十年以上かかると予想します。(2010/12/16)

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いただいたコメント

現在の日本人は、個人、自分の組織のことしか考えなくなっているので、余程酷い状況になっても、自分の事を棚にあげて他人のせいにするだけで改善出来ないでしょう。大幅な落ち込みを経験してからでないと立ち直れないと思います。これに要する時間は、数十年以上かかると予想します。(2010/12/16)

農家が大票田だった過去のトラウマか旧態然としたばらまき・保護政策しか取れない政府、リーダーシップでなんとか、と思っても、岩手が地盤の小沢氏が影のリーダーな民主党と農家地盤の議員も多い自民党では期待薄です。保護するのではなく、開放したらそれを武器に海外に販路を拡大できるような強い農業(農家だけでなく企業にももっと開放して)を育成すべきです。競争力のない商品力もない業者(農家)を延命しても意味はありません。農業の構造を改革でき、開国をひっぱれるリーダーの登場を望みます。第二の小泉首相が望まれます。(2010/12/16)

コンパクトだが、TPP含めた日本の現状(産業界最大のライバル国韓国との対比)を大変適切に説明していると思います。この記事を是非とも全国会議員に送って頂きたいのと同時に、NHKを通じて、全国民の目に触れるように、御社(或いは日本経済新聞)に頑張って頂きたい。今の農業(或いは農水産業)を引続き守る事が、少子高齢化進展で社会福祉コスト増大の日本の将来を崩壊に導く事を全政治家・全国民がきちんと認識して、TPP及び農業改革を真剣に進める決定をし、即実行に移すべきと愚考します。もたもた時間を浪費している暇は無い事を全国民が認識すべきである。日経グループとしての存在価値を発揮して頂きたい。(2010/12/16)

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