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韓国の危機経営~10年後を見据えた緑色成長の野望

サムスンとLGの2020年ビジョン

  • 石原 昇

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2010年12月20日(月)

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 朝鮮半島情勢が緊迫するなか、韓国最大の企業、サムスン電子の株価が上場来の高値水準にある。直近の2010年第3四半期(7~9月)の決算で過去最高の売上高を達成し、営業利益が前年同期比15.2%増の4兆8600ウォン(3,740億円)となったことが背景にある。しかし利益の7割が半導体事業からもたらされており、減速し始めた半導体依存への危機感は根強い。

 こうしたなか、12月3日に、サムスン電子の李健煕(イ・ゴンヒ)会長の長男、李在鎔(イ・ジェヨン)副社長が社長に昇格し、長期の世襲路線がより明確になった。10年後を見据えた成長への布石も打ち始めている。その有力分野がグリーンイノベーションである。

経済に精通した大統領のグリーンビジョン

 「半導体、液晶に続き、環境を産業の第3の柱に育成する」。韓国のある政府高官は、「環境を意味する緑色産業が、2016年に世界全体で半導体産業を上回る規模になる。今は事業を拡大する絶好のチャンスである」と力説する。日本が強みを持つ分野で、官民一体となった韓国の攻勢が著しい。

 2年前の8月15日、李明博(イ・ミョンバク)大統領は建国60周年の節目の日に、低炭素・緑色成長(グリーングロース)を国家の新しい柱とするビジョンを宣言した。これまでの60年は国としての基盤整備の時期、そして今後60年は成熟国家に至る時期と位置づける。今後の60年の成長を支える柱が緑色産業だ。

 過去60年間に韓国は人口が2倍、GDPは660倍に増加した。しかし、2020年には人口減少時代に入る。好調な経済も先行き不透明である。緑色成長は、情報通信、バイオ、ナノテクなどの技術を一つに集約した緑色技術とクリーンエネルギーが牽引するもの。新成長産業と雇用を創出すると期待する。大統領が就任時に掲げた基本方針「747ビジョン」で示す、年平均経済成長率7%、1人当たりGDP4万ドル、世界7大経済大国入りを達成するためには、成長を牽引する新たな原動力が欠かせない。

 李政権は昨年1月に「新成長動力と発展ビジョン」を発表。その産業政策の中でも、緑色技術を重視するスタンスを打ち出した。産業構造の転換、法制度の改正、研究開発のいずれもが、緑色産業の支援に傾斜している。2010年4月には、低炭素緑色成長基本法も施行となった。韓国の産業政策やビジネスの実行力は素早くパワフルである。ただし緑色成長については批判も多い。温室効果ガス削減の実効性などについて疑問点が多く、緑を冠した単なる成長政策にすぎない、というものだ。

 韓国は、中国と日本に挟まれ、北朝鮮と対峙する自国を、nutcracker(くるみ割り)に例える。両大国の圧力の間にあり、北の動き次第で経済が砕けかねないというものだ。日韓併合から100年、朝鮮戦争から60年を数える今年は、朝鮮半島が一気に緊迫化した。足元の危機をバネに、将来の飛躍に結びつける。たとえ絶好調でも危機感を喚起し、競争力を高めるための戦略を矢継ぎ早に実行する。20年にわたり、ゆで蛙状態が続く日本とは対照的に、IMF危機を克服した韓国においては、政府でも企業でも、こうした危機経営が功を奏してきた。

環境分野の大型受注が相次ぐ

 李大統領は2008年2月の就任と同時に、大規模な省庁再編を行った。通商産業を管轄する産業資源部に、情報通信部と科学技術部の一部を統合し、新たに知識経済部を発足させている。2009年1月には、大統領府に緑色成長委員会を設置し、緑色成長に向けた取り組みを省庁横断で行う体制とした。これにより、スマートグリッドなど先端融合分野や海外のプラント受注獲得への素早い対応が可能となっている。

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