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合成の誤謬が招く就活の悪循環

【中】焦りが生んだ学生、大学、企業の三すくみ

  • 恩田 敏夫

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2010年12月20日(月)

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 「就活問題がこれほど深刻化したのは就活の三大プレーヤーである学生、大学、企業の皆さんがそれぞれ、『互いに変わらない』という前提に立ち、合成の誤謬による悪循環を起こしてきたからです」。10月31日、都内の慶應義塾大学で開かれた「リアル熟議・今、就活のあり方を問い直す」というイベントで鈴木寛文部科学副大臣はこう挨拶した。学生や企業、大学関係者ら70人が集まったこの会合において、鈴木さんは具体的には説明しなかったが、この言葉は「歪んだ就活」を簡潔に表現していると思う。

 どういうことか。私なりの解説を加えよう。

 企業は優秀な人材を他社より早く確保するため採用活動を前倒ししている。しかも「採用選考では勉強よりも熱意や積極性を重視している」というメッセージを学生に送り続けている。

 学生は勉強(就活が始まる3年生は学問・研究にエンジンをかける最も重要な時期)よりも就活を優先

 学生が授業に出ない、勉強しないことによる大学教育の空洞化、人材育成機能の劣化

 学生の質低下、社会に出るための準備が整わない学生の増殖

 少ない優秀な人材の奪い合いによる、更なる採用活動の前倒し

 「大学での勉強は仕事には役に立たない。産業界が求めている人材ニーズに応えていない」と企業の大学教育に対する評価が低い。この評価の低さが採用活動の早期化を招いている。これに対し、大学は「専門教育の知識を学生にしっかり身に付けさせようとしているが、企業の前倒し採用で教育が侵食されている」と危機感を募らせる。一方、職業教育や実践重視の実務に役立つ教育にはあまり熱心でなかった。学生は「企業は採用面接で学業成績より、コミュニケーション能力や積極性など人間力を重視している」と受け止め、授業そっちのけで就活に励む。しかし、企業の採用評価基準が「人間力」では公平な選考が行われない、と不満と不安を抱いている。

 大学、学生、企業それぞれが「相手は変わらない」、例えば、「大学は企業の人材ニーズに合った教育を行ってくれない」など相互不信の上で適当と思われる行動をとっている。それが結果として、三すくみで、自分たちの首を絞めているような状態を作り出し、就活の形を異常なまでに歪めてきたのだ、と。
 鈴木副大臣はこう言いたかったに違いない。

 前回は就職難の要因について日本企業はグローバリゼーションの下で競争圧力が強まる中、正規雇用である新卒採用市場を縮減してきた半面、大学と大学生数が急拡大し、卒業しても就職口が足りない需給上のミスマッチが生じてきたこと。企業の学生に求める能力水準が高くなり、「学生の質」とのミスマッチが広がっているなど、就活学生の側からみて、いくつかの構造的な不運が重なっていると分析してきた。また就職ナビにより、誰もが自由応募できるようになった結果、特定の大企業にエントリーが殺到し、企業・学生双方に効率性やプロセス面で大きな無駄が発生していることについても触れた。

学生、大学、企業三すくみで「負」のスパイラル

 今回はそうした状況の上に、大学、企業、学生が三すくみになって負のスパイラル現象を起こし、就活構造を危機的状況にまで歪めている問題点について説明しよう。

 就活の問題点の1つは何といっても、その開始時期の早さにある。大学3年生になると同時に学内でのガイダンスが始まり、夏にはインターンシップ、秋から企業説明会への参加など就活が本格化する。冬はエントリーシートをせっせと埋め、春を跨いで面接に望む。大学で専門教育が始まり、教育・研究活動で最も力を付けるのは本来3年生なのだが、早い段階から就活準備が始まるため、大学教育に身が入らない。

コメント6件コメント/レビュー

仰るとおりであると思います。しかし、今度は「どんな思いで臨んで来たか」というマニュアルができるのではないかと思うと、やりきれない思いになります。(2010/12/20)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

仰るとおりであると思います。しかし、今度は「どんな思いで臨んで来たか」というマニュアルができるのではないかと思うと、やりきれない思いになります。(2010/12/20)

大学は研究機関であり教員も基本的には研究者です。どんなに綺麗ごとを並べたところで、大学教育は企業社会では役立ちません。大学は研究者の食い扶持を確保するため“仕方なく”学生を受け入れている。そんな大学で4年間を過ごさないと就職出来ないシステムこそが学生の不幸の根本要因です。ビジネスの道に進む大多数の学生は大学に通わずビジネススクールで実践的な教育を受けるべきです。現状日本にはそのような土壌はありませんから、事前の策として海外に留学して企業が唯一期待する専門知識である『外国語コミュニケーション能力』を磨くことを勧めます。(2010/12/20)

就活していたときに思いましたが、これは本当に労働者を採用するための活動なんだろうかという感じでした。同好会や政治結社の同志を集めるための面接ならあれでいいのでしょうけど。こちらとしては働く能力や意欲を示したいのですが、聞かれるのはコミュニケーション能力ばかり。なんだか選抜の順序がおかしい気がします。(2010/12/20)

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