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第4講 顧客が共感するサービスを生み出す知の作法

現場で動きながら、ひたすら考え抜くことから始まる

  • 野中 郁次郎,勝見 明

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2011年1月12日(水)

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 暗黙知と形式知の相互作用による知の創造プロセスをモデル化し、ナレッジマネジメント(知識経営)の世界的第一人者として知られる野中郁次郎・一橋大学名誉教授──。

 その野中氏が、本来持っていたイノベーションのDNAを失い、国際的な競争力を低下させ続けている日本企業の現状を憂慮。イノベーションの創出力を取り戻すための方策を緊急に説く。

 野中氏による緊急特別講義を、同氏とともにイノベーションの事例研究に取り組み、『イノベーションの知恵』(日経BP社)などの共著を世に送り出してきたジャーナリストの勝見明氏が書き下ろしでお届けする。

 第4講の今回は、モノ的発想から脱却し、コト的発想に基づいて顧客の共感を得られるサービスを生み出すために必要とされる、現場で「動きながら考え抜く」という知の作法について解説する。

 知識経営の時代においては、顧客にモノを売るのではなく、顧客が共感するコトを提供しなければならない。そのため、リーダーはモノ的発想からコト的発想への転換が求められる。こうした発想の転換は世界的にサービスの概念の重要性が注目され、モノとサービスの関係をとらえ直す動きとも無縁ではない。

 例えば、マーケティングの世界では「ドリルを売るには穴を売れ」という言葉がよく使われる。メーカーもドリルというモノを売っているのではなく、穴を開けるという顧客にとって価値あるサービスを提供している意識を持つべきであるというわけだ。

 企業は単なるモノづくりやモノの販売から、モノを通してサービスを提供する発想へと転換しなければならない。サービスのあり方が再認識されてきたのは、モノではないコトの価値を顧客に提供し、コトのイノベーションを生み出すケースが近年増えたことによるのだろう。

 自宅でも職場でもない上質な「第3の場(サード・プレイス)」を提供する米スターバックスコーヒーなどはその代表格だ。この場合のサービスとは、コトの1つの形態にほかならない。

自宅でも職場でもない「第3の場(サード・プレイス)」を提供しているスターバックスの店舗(写真:スターバックス コーヒー ジャパン)

 ハイブリッド車にしても、車というモノではなく、「燃費の良い車で燃料を節約し環境負荷低減にも貢献する」というコト、すなわちサービスを提供する。

 例えば、ホンダのインサイトの燃費は、ガソリン1リットル当たり30.0キロメートル(10・15モード)と、トヨタのプリウスの同38.0キロメートルよりモノ的な性能では下回る。そのため、インサイトの開発過程ではトップから「燃費をもっと上げたい」という要請もあった。

 これに対し、開発リーダーはスペックの燃費の数値より、ユーザーの運転の巧拙で実際の燃費が大きく左右されることに着目し、ユーザーが運転しながら車と一緒にエコドライブの技術を学んでいく「エコアシスト」というコーチング&ティーチング機能を追加した。「走りの楽しさ」を重視するホンダらしいコト(サービス)の提供といえる。

コトの価値を感じ取るには、“主客一体”に入り込む

 では、顧客が共感するコトを見いだすにはどうすればいいのか。コトを提供する主体である企業サイドから見れば、顧客は客体である。しかし、顧客はコトの当事者となって価値を生み出す主体でもある。そのため、企業サイドがコトの価値を感じ取るためには、自ら客体である顧客の視線に立たなければならない。ここに主客未分の世界が生まれる。

 主客が一体となった世界に入り、モノの向こうにコトを見抜く。そのため、最も必要な知の作法は、現場で「動きながら考え抜く」ことにほかならない。

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