• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

居酒屋デフレ戦争に勝者なし

業界横並びの価格競争は淘汰を招く

  • 小屋 知幸

バックナンバー

2011年1月11日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

居酒屋デフレ戦争が勃発

 最近夜の繁華街を歩くと、「全品270円」などと激安価格をアピールする居酒屋の看板が目につくようになった。景気の低迷で消費者の懐具合は厳しく、なかなか「パッと飲みに行こう!」という気分にはならないものだ。低迷する需要を喚起する特効薬が“値下げ”だ。激安価格の集客力は高い。このため居酒屋業界各社は、いっせいに低価格業態の開発・出店を急いでいるのである。

 外食業界では、2009年末に「すき家」と「松屋」が牛丼の価格を200円台に値下げし、「牛丼デフレ戦争」(詳しくは「“価格破壊第2幕”の到来を告げる牛丼デフレ戦争」を参照されたい)が勃発した。それに続き、「居酒屋デフレ戦争」も風雲急を告げている。

 居酒屋デフレ戦争の陣頭に居るのが、「月の雫」などを展開する三光マーケティングフーズである。同社は「全品270円」、「全品290円」などの均一価格居酒屋を次々と出店し、居酒屋の価格破壊に突き進んだ。

 今までの居酒屋では、500~1000円程度のメニューが一般的だった。これに対して「全品290円」といった均一価格は消費者から見て分かりやすく、低価格をアピールしやすい。その結果、低価格居酒屋は、集客力の点で従来の居酒屋を圧倒することとなった。

 たまらず競合企業も反撃に出た。「甘太郎」などを展開するコロワイドは、全品を299円(一部店舗は399円)で提供する「うまいもん酒場えこひいき」の出店を急いでいる。モンテローザも、全品268円均一の「268円厨房うちくる」の展開を始めた。さらに「和民」などを展開するワタミフードサービスも、250円均一の「仰天酒場和っしょい」で、低価格居酒屋に参入した。

 居酒屋業界の価格競争は、一時的に市場を活性化させた。低価格業態への転換により、売上高が3割も増加した店舗もあったと聞く。だが現在、業界各社がいっせいに低価格業態の出店に走った結果、低価格居酒屋は珍しくなくなった。消費者は1品200円台の低価格に慣れてしまい、低価格居酒屋の集客力にも陰りが見える。

 低価格業態の集客効果がなくなれば、価格を下げても売り上げが増えず、結局のところ、企業が身を削るだけの状況になってしまう。居酒屋デフレ戦争は、”死屍累々”の結末をもたらすのかもしれない。

なぜ牛丼は儲かって、居酒屋は儲からないのか

 牛丼デフレ戦争と居酒屋デフレ戦争の共通点は少なくない。両者とも消費者の節約志向に対応するものであり、消費者は低価格化を支持している。だが居酒屋デフレ戦争の結末が、牛丼デフレ戦争と同様になるとは限らない。

 牛丼デフレ戦争の勝者である「すき家」の既存店売上高は前年に対して20~30%も増加し、利益も拡大した。低価格化への対応が遅れた吉野家は売上高を落としたものの、業界全体の売上高は拡大した。

 「すき家」の月次売上高データを見ると、牛丼の値下げによって客単価が10%程度減少したものの、客数がそれを補って余りある伸びを見せたことが分かる。牛丼の値下げは、「値下げ→客数・売り上げの増大→店舗の生産性向上→コストダウン→収益性の維持・向上」という好循環をもたらしたのである。

 これに対して居酒屋の値下げが、牛丼業界のような好循環をもたらしたと考えることは困難だ。日本フードサービス協会のデータによると、居酒屋業界全体の客単価の減少は明確であるものの、肝心の客数が全く上向いていない。

コメント9件コメント/レビュー

安ければ客が来るだろうという浅はかさが招いた結果でしょう。筆者の様な市場分析が少しでも出来ている企業は、安売り店の惨状を腹を抱えて笑っているのではないでしょうか? 居酒屋に限らず、安売りに走る企業、安い事だけで飛びつく消費者。この両者を見ていると、あまり賢く見えないだけでなく、哀れにさえ思う。中身の無い物を提供し、そんな商品やサービスをこぞって享受する事で満足しているのだから…。 成熟した経済環境であるここ日本では、今後は物事の本質を見抜けない人々は、企業だろうと消費者だろうと苦境に立たされるということでしょう。昨今聞かれる若者の節約志向も、身の回りの物事に拘りも無いから高価な物を必要とも感じず、日本全体から考えたら消費活動の縮小が、結局は自分達に返って来る事を意識出来ないから、節約が賢いという風潮が生まれるのでは?安物買いを推奨するような特集を組むマスメディアも、それを真に受ける消費者も、自らの売り物を安く売ることを何とも思わない誇りをなくした商売人…。日本人の劣化は止まらないのか…。(2011/01/12)

「小屋知幸のビジネストレンド研究所」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

安ければ客が来るだろうという浅はかさが招いた結果でしょう。筆者の様な市場分析が少しでも出来ている企業は、安売り店の惨状を腹を抱えて笑っているのではないでしょうか? 居酒屋に限らず、安売りに走る企業、安い事だけで飛びつく消費者。この両者を見ていると、あまり賢く見えないだけでなく、哀れにさえ思う。中身の無い物を提供し、そんな商品やサービスをこぞって享受する事で満足しているのだから…。 成熟した経済環境であるここ日本では、今後は物事の本質を見抜けない人々は、企業だろうと消費者だろうと苦境に立たされるということでしょう。昨今聞かれる若者の節約志向も、身の回りの物事に拘りも無いから高価な物を必要とも感じず、日本全体から考えたら消費活動の縮小が、結局は自分達に返って来る事を意識出来ないから、節約が賢いという風潮が生まれるのでは?安物買いを推奨するような特集を組むマスメディアも、それを真に受ける消費者も、自らの売り物を安く売ることを何とも思わない誇りをなくした商売人…。日本人の劣化は止まらないのか…。(2011/01/12)

若者が減って、若者の財布が細って、若者の飲酒頻度が下がる、まさに構造不況だという指摘は尤もだと思います。 でも、ですよ。頻度が下がったということは、一回の飲み会にかけられる飲食代は実はさほど変わらないのではないでしょうか。私は週1・2回の飲酒頻度ですが、その少ない機会を安かろう不味かろうのお店で過ごすつもりはさらさらありません。料理が美味しければ多少高くても構いません。価格はもちろん重要ですが、飲食業なのだから味とサービスで勝負してほしいです。牛丼やファミレスだって、味の落ちたお店には行かないものですよ。(2011/01/12)

価格競争は最後の手段で、結局不毛に陥ることは明らかなのだがやめられない。大学の授業料もこのデフレ下、価格競争をして欲しいのだが、しませんね。大学教授もデフレ物価をエンジョイしているはずだし、資材などもデフレでコストは下がっているだろうに。役所の手数料とか。役所の独占事業は競争がないから、値下げをしないというのは、腑に落ちず。考えてみれば、国の財政もデフレの恩恵を受けるはず。単位当たり支出効果は、インフレ下、より大きいはず。なのに、なぜ、国債を増発するのだろうか。(2011/01/11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長