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第13話「経営に使える原価計算システムがある企業は1割にも満たない」

2011年1月12日(水)

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前回までのあらすじ

 団達也と細谷真理は沢口萌にMTCで一緒に働こうと誘った。萌は自分が裏切った達也と萌と一緒に仕事することなど考えられなかった。

 しかし、真理に「気概を見せてほしい」と言われた萌は、「私にだってできる」、そう思い、もう一度ビジネスの世界に飛び込もうと決心した。

 シンガポールのMTCラボでは金子順平が発明した電池部品「K01」の生産が順調に進み、世界中から注文が入っていた。しかし達也は、これ以上注文を受けないように金子に指示した。達也は運転資金のメドがたたないうちに注文を増やしたら、会社のカネの流れが完全に止まってしまうと考えていたのだった。

 アメリカのUEPC研究所にいるアンディーは、K01の特許は自分が業界雑誌に投稿したことで公知になっていることを吹聴していた。K01を量産できるロボットの制御プログラムの発明は金子だ。そして、ロボットそのものを開発したのは、現在UEPCに籍を置いている三沢であり、特許を持っているのはジェピーだった。

MTC本社

 「ここが本社なのかしら」

 達也にもらった名刺に書かれた住所の前で、萌は足を止めた。そのビルは、天井は低く、エレベーターも見るからに旧式だった。おそらく築40年以上は経っているに違いない。以前、萌や真理たちが勤めていたジェピーは、丸の内の高層ビルにあった。中小企業が本社を構えるには、あまりに場違いのビルだった。

 だが、今をときめくMTCが本社を構えるビルも、別の意味で場違いだった。

 (飯田橋でこのビルか。団さんらしいな)
 萌はなぜかうれしくなった。

 エレベーターが3階で止まると、そこは誰もいない受付だった。小さなテーブルには固定電話が置かれていて「御用の方は経理部までご連絡ください」と書かれていた。

 萌は、受話器を取り番号を押した。受付からは事務所の中が見えた。社員の数はせいぜい数名しかいない。 本当にビジネスをしているのかしら、と萌は不思議でならなかった。

 しばらくして真理が姿を見せて、「待ってたわ」と笑顔で挨拶すると、達也が待つ役員会議室に案内した。

 「あまりにみすぼらしいビルで驚いた?」
 達也は笑顔で萌に話しかけた。

 「そんなことありません。団さんらしいって思いましたけど」
 萌からも笑みがこぼれた。

 「気持ちの整理がつきました」
 萌は達也に一言伝えた。ほかに言葉はなかった。だが、達也も、真理も、それだけで十分だった。

 達也は用意したA4の紙を萌に渡した。

 「萌ちゃんには、こんな形で仕事をお願いしたい」

 何の前置きもなく、達也は萌に辞令を渡したのだ。
 そこにはこう書かれていた。

1. 採用 MTC株式会社
2. 勤務地 シンガポール
3. 職種 管理会計ならびにロイヤルティー管理

「熱血!会計物語 ~社長、団達也が行くseason2」のバックナンバー

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「第13話「経営に使える原価計算システムがある企業は1割にも満たない」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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川野 幸夫 ヤオコー 会長