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マーケティングってのは顧客のご機嫌をうかがうことなのか?

人々の期待をばっさり捨て去ることで生まれる市場

  • 斉藤 由多加

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2011年1月13日(木)

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 あけましておでとうございます。
 今回が今年最初の回になります。
 本年もよろしくお願いします。

 さて、今回は、マーケティングってことについて書きます。

 マーケティングって言葉は、今ではいろいろな多岐にわたった意味を持ってきていますけど、基本は、要するに「顧客の様子伺い」ってな意味ですよね。

 でも、そうやって世の中の様子をうかがって、いわゆる「マーケットイン」しているだけの商品って、どうもいつもパッとしない。世界市場では確実に埋もれてしまう。何かそこに、強い意志みたいなものを市場は求めているような、いや、常に何か強いリーダーシップを求めているような気がしてならない。こう思えるのは、私のいるデジタル業界だけの話じゃないはずです。

市場を裏切る

 今となっては笑い話に聞こえてしまうのかもしれないが、わずか3年前、iPhoneが米国で発売されたとき、ケータイ関係者がそのスペックを聞いて一番びっくりしたのは「この電話はバッテリーが交換できないぞ」という話でした。

 iPhoneの「鏡面磨きされた背面」は、日本の下請け企業が職人芸を発揮したという話はすでに有名ですが、要するにアップルは「デザインのために機能を犠牲にした」とわけです。

 ぼくの周囲のケータイ業界の人々の間ではその話がもちきりで、「そんな携帯電話、日本じゃ各キャリアが発売を承認するはずがないよなぁ」と口々に言ったものです。

 ジョブスさんは、出来上がりを商品から発想する人です。現状を延長して考える人ではないから、現場では当たり前のように思われていることであっても、ばっさりと切り捨てる人である。

 例えば初代のマッキントッシュ。その本体には、1世代前のLISAとはうらはらに、ハードディスクも冷却フアンも用意されていなかった。その理由が、「騒音は思考の妨げになるから」という有名な話がある。カラー表示を捨てモノクロ画面にしたのもビットマップをクリアに表示する、つまり紙のノートに近くするためのアプローチだといいます。

 それ以降も、iMacがフロッピーディスクドライブを搭載せず、ただUSBという聞き慣れないポートだけを搭載してデビューしたときも、Airという名で、ドライブ類をいっさい排除したMacのモデルを出したのも、社名から「コンピューター」という文字列をあっさりと取り払ってしまったのも、とにかくジョブスの仕事は、「しがらみをばっさりと切り捨てる」という方法で快進撃を進めたわけでありまして、それがとても面白い。

 禅思想の影響だという説もあるけれど、確かに秋葉原全盛の1984年に、横山大観の水墨画を日本でのMacデビューに使うなんて感性は、なかなかないと思います。日本の国産メーカーが「すべての機能をてんこもり」なフルカラー広告で来たのと対照的でした。

画像のクリックで拡大表示

 かつて、初代Macの開発者たちにロングインタビューをしたことがあって、そのときに彼らが口をそろえて言っていたことがあります。「ジョブスは、革新的であることと、過去の製品との互換性を断つことを同義語と捉えているふしがある…」と。

 これを、いわゆる「しがらみ」って意味でとらえるならば、私たちは確かに、常に、現業のしがらみの延長から新商品を発想している。だからてんこもりなものになってしまうのだろう、とも思えてくる。

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