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秋山真之はなぜサイコロを振ったのか

「期待値」でなくシミュレーションで正確な経営戦略を立てよう

  • 吉田 耕作

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2011年1月20日(木)

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 昨年12月12日にNHKで放映された「坂の上の雲」をご覧になった読者はかなり多いのではないかと思い、この一文を書く事を思い立った。その中で主人公の秋山真之(さねゆき)が海軍大学校教官であった時、海戦の訓練として模擬海戦を指導する場面がある。そこでサイコロを振るシーンが出てきたが、何をしているのか不思議に思われた方もあるのではないだろうか。

 どういう状況下であっても、サイコロを振るという行為は、確率という統計の基本概念を応用しているのである。秋山真之は米国でのメキシコ戦争を視察するのだが、おそらくこの統計手法は当地で目にしたものであろう。

 米国では100年以上も前に、すでにこういった統計を使った訓練が軍隊で行われていたという事に驚くと共に、その意味を短期間で理解し、日本に持ち帰り教授法に取り入れたという真之の能力の高さに、私は感心した。

 こちらが弾を撃っても、当たるか当たらないかは確率で決まるのであり、撃った弾が相手に全部当たるわけではない。しかも相手の弾がこちらに当たるのも確率で決まるのである。これらの確率をサイコロを振って出た数字によって、決めていくわけである。そして、最後にはこちら側の船が何艘残り、相手側の船が何艘残るかも確率で決まるのである。

 この確率に基づく予測法は、不確定要因が多く含まれる今日の状況下で意思決定をする時の経営戦略の訓練として、また、実際の経営戦略立案の一環として、今日でも非常に有益な方法であり、大企業では多く使われている。

 現代ではこの種の方法はシミュレーションと呼ばれ、教授法としてはサイコロを振る代わりに、乱数表から数字を拾って演習をするのが普通である。さらに、実際にはコンピューターで乱数を創生し、ほとんど自動的に、何百回という試行を繰り返し、最終的にどういう分布の結果になるかを見る。

 この一文では、高度のコンピューターを使わなくとも、簡単な計算機と乱数表を使って手動で出来るという事を示し、シミュレーションの成り立ちを理解するとともに、中小企業の経営でもこういう手法を実際の経営に役立てて頂きたいと願い、ここに簡単な例を示してみた。 

例:キャッシュフロは何日目に底をつくか

 多くの中小企業はキャッシュフローの問題を抱えているので、まずこの問題を例に取り上げよう。表1はこの会社の日々の現金の収入金額と支出の金額の頻度の分布を表している。

 表1は、日々の現金収入は200万円から600万円までばらついており、データを取った100日のうち200万円の収入があったのは10日に対し、600万円の収入があった日は20日あった事を示している。そして、その平均値は
μ=(ΣXf)/N=(200X10+300X20+400X30+500X20+600X20)/100=420 となる。

表1 過去100日間の現金収支

日々の現金収入 頻度
2 10
3 20
4 30
5 20
6 20
  100
日々の現金支出 頻度
2 30
4 40
6 30
  100

(金額単位:百万円)

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