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人の成長は「問い」から始まる
リーダー研修には限界と弊害がある

【第1回】人をもう一段伸ばす質問とは?

  • 鈴木義幸

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2011年1月19日(水)

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 好評いただいていたNBOコラム「風通しのいい職場づくり」「リーダーシップは磨くもの、磨けるもの」の執筆者・鈴木義幸さんによる新コラムです。

 新コラムのテーマは「人を動かす問いの力」。

 株式会社コーチ・エィの社長であり、自らコーチングのトッププロとして活躍する鈴木さんは、コーチングにおける「質問」は、質問者が何か情報を手にする場合だけでなく、相手に何かを得て欲しい場合の有効な手段になるといいます。

 新連載「鈴木義幸の人を動かす問いの力」では、上司が部下に「既成概念を破るような思考」を培ってもらうための、上司の「質問」の方法を、隔週で連載します。上司が質問能力を高めれば、部下の問題解決能力はみるみる高まっていくものだ、ということを伝えていきたいと思っています。

 ある若手の経営者に問いかけたことがあります。

「本当は、どうしたいんですか」

 病気で倒れたお父様の会社を、20代後半で突然継ぐことになった彼は、日々窒息しそうな量の仕事を抱えながら、どこか「自分は好きでこの会社を継いだわけではない」という意識を捨てきれずにいました。

 そんな彼に、私はコーチとして、「べき論」や「先人の事例」ではなく、「問い」を投げました。

「本当は、どうしたいんですか」

 彼は、このひとつの問いかけを起点に、自分自身で、自分の過去を整理し、未来を想像し、そしていま何をすべきなのかをその手に掴みました。

 タイミングよく投じられた問いは、相手が自らの成長に対して心からコミットすることを促す力をもっています。

 「問い」についての連載をスタートするにあたり、そもそも、なぜ問うということが人の成長に寄与するのかを、示したいと思います。

考える人は知識・経験と結ばれる

 まず、成長をする人は、つねに考えているものです。

 「どうすればリーダーとして成長できるだろう」と考え続けている人は、“リーダーアンテナ”がつねに高く伸びて感度がビンビンとなっています。

 この日経ビジネスオンラインを読むにしても、つねに考えている人は、「こんなやり方もあるのか。試してみよう」と思うし、お客様と話していても、「こんな立ち居振る舞いを自分もリーダーとして身につけたい」と思うし、映画を見ていても、「この主人公のチームのまとめ方は参考になるかもしれない」と、思うわけです。

 逆に、「どうすればもっとよいリーダーになれるだろう」という考えが埋め込まれていない人は、どれだけ日経ビジネスオンラインを読んでも、記事の内容はただの情報に過ぎず、右から左へと抜けていきがちになります。行動を起こすことに結びつく知恵には転化されません。

 成長する人は、つねに「考えている」わけです。

 哲学者の野矢茂樹さんは、著書『はじめて考えるときのように』の中で、「考える」ということを次のように表現しています。

〈答えの候補が現れたとき、いつでもぼくはそれをつかまえられるように、「チューニング」してるってわけだ。何かが思い浮かんだときに、「これがあの問題の答えかもしれない!」って声が響く。その声に耳を澄ましていること。集中して考えているときには、それを鋭敏に研ぎ澄まされている。他の声に耳をかさず、すべてをその問題に関係させて、「これだ!」という声を待つ。そういうとき、ぼくたちは「考えている」って言うんじゃないだろうか〉

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