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2010年の「ブレなかった大賞」は?

ブレると何がいけないのか、ブレないと何が良いのか

  • 武田 斉紀

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2011年1月17日(月)

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私が選ぶ「2010年ブレなかった大賞」は?

 あの人はブレている。あの組織はブレていない──。

 「ブレる、ブレない」という言葉は、流行語大賞にはノミネートされなかったものの、2010年のちまたでは実によく聞かれた。

 本のタイトルにも結構使われている。『絶対ブレない「軸」のつくり方』(南壮一郎著、ダイヤモンド社)、『桜井章一の「ぶれない生き方」』(桜井章一著、 PHP研究所)、『ぶれない人』(小宮一慶著、幻冬舎)、『ぶれない男 熊井啓』(西村 雄一郎著、新潮社)、『岡田ジャパン ブレない「組織脳」』(児玉光雄著、主婦の友社)、そして女優・黒木瞳さんの著書『私の場合 ブレない大人への段階』(講談社)。アマゾンで2010年発刊のものを検索しただけでもこれだけある。

 私自身もこのコラムの中で頻繁に使ったように記憶している。そこで“ブレウォッチャー”の一人として、誠に勝手ながら「2010年ブレなかった大賞」を選ばせていただこうと思う。インターネットアンケートでも無作為抽出による電話アンケートでもない、武田斉紀が勝手にセレクトさせていただいた。「いつの間にそんな賞が新設されたのか」と信じてしまった方、ごめんなさい。

 では早速発表しよう。栄えある「2010年ブレなかった大賞」は、サッカー日本代表の前監督、岡田武史さんにささげたい。先ほどご紹介した本の中にもあったが、この結果には読者のみなさんにとってもそれほど異論がないのではないか。

 岡田さんの代表監督としての一歩は、さかのぼること1998年のサッカーワールドカップ・フランス大会に向けたアジア地区最終予選の途中で前任の監督が更迭され、コーチという立場から昇格して始まった。そして何とかアジア最後の出場枠を勝ち取り、日本にワールドカップ本大会への初出場をもたらしてくれたのだ。残念ながらフランスでの本大会では予選リーグ3連敗。むしろ注目されたのは、当時主力で現在も現役で活躍中の三浦知良選手らを大会直前に外したことだった。

 マスコミやファンからは大いにたたかれたが、岡田さんは自分の信じるやり方を変えずに貫いた。そうだ、この時も彼は周りに流されず、ブレなかったのだ。

 因縁はこれで終わらなかった。2010年のワールドカップ・南アフリカ大会。今度は前任のイビチャ・オシム監督が突然倒れたことで、2008年より再び監督に就くことになる。岡田さんは、本大会での目標を「ベスト4で世界を驚かせる」と宣言した。現実離れした目標だったが、夢を見るのもいいじゃないかという声も少なくなかった。日本代表は2009年、アジア地区最終予選でオーストラリアに次いで2位ながら、早々に本大会出場を決める。だがその後本大会の直前になって、全く結果を残せなくなる。

 2010年4月に行われた国際親善試合で主力のいないセルビアに完敗し、大勢のサポーターから解任要求が日本サッカー協会に寄せられた。次戦の韓国にも完敗。進退伺いとも取れる発言で波紋を呼ぶも、岡田さんは続投する。連敗はイングランド、コートジボアールと続き、バッシングは頂点に達する。それでも彼は自分の信じるやり方を貫いた。

 敵がボールを持ったら2人以上で囲んですぐに奪うという守備重視の戦術。パワーや身長で勝る相手に、日本人ならではの強みで勝負する。岡田さんはどんなにたたかれても「ベスト4」の御旗を降ろさなかった。

 もはやサッカー解説者やサポーターだけでなく、国民の多くが「本大会では1勝だって無理」とあきらめた。ニュースに映る成田空港で選手たちを見送る人影はまばらだった。私の周りにも本大会が始まる前から「ワールドカップは終わった、日本戦は見ない」という人が少なくなかった。しかし結果はご存知の通りだ。

コメント17件コメント/レビュー

 国民一人ひとりが、「情報力」と「想像力」をもう少し働かせ、「自分自身のブレない判断規準を持つ」こと。全く同感です。  しかし、これは、周りがどう思い行動するかが、重要な判断基準となっている日本人にとっては、なかなか大事だと思えるのですが。「みんなXXしてるよ」「みんなXX持ってるよ」は子どもの常套句ですが、マスコミ報道やネットの書込みを見て「みんなXX」だと、その情報を表面的に読み取り、安易に信じ判断する。それが習慣化しているし安心できる(したい)。  表現は良くないですが、騙す奴が悪いのではなく、騙される奴の責任なんだ。という位の心構えと危機感を持って、情報に接していないとなかなか変わることはないでしょう。  外国人が自国のマスコミ報道を疑っていることは結構多いです。日本は、年金が消えても、安全といわれていた原発があのようになっても、あまり変わる気配を感じません。 最終的には国民一人ひとりの「自己責任」ですが、情報発信しているマスコミの責任も大きいのではないでしょうか?  ワイドショー化とはいいませんが、誰にでも分かり易く伝えることはいいとしても、国民に分かり易く考えさせる、選択させる、想像力を働かせる様な報道をもっと増やすべきではないでしょうか? 先に卵か鶏か(国民かマスコミか)の議論はありますが、私は武田先生のようなお考えを持った方に、是非「マスコミも」変えていって頂きたいと思います。(2011/05/09)

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 国民一人ひとりが、「情報力」と「想像力」をもう少し働かせ、「自分自身のブレない判断規準を持つ」こと。全く同感です。  しかし、これは、周りがどう思い行動するかが、重要な判断基準となっている日本人にとっては、なかなか大事だと思えるのですが。「みんなXXしてるよ」「みんなXX持ってるよ」は子どもの常套句ですが、マスコミ報道やネットの書込みを見て「みんなXX」だと、その情報を表面的に読み取り、安易に信じ判断する。それが習慣化しているし安心できる(したい)。  表現は良くないですが、騙す奴が悪いのではなく、騙される奴の責任なんだ。という位の心構えと危機感を持って、情報に接していないとなかなか変わることはないでしょう。  外国人が自国のマスコミ報道を疑っていることは結構多いです。日本は、年金が消えても、安全といわれていた原発があのようになっても、あまり変わる気配を感じません。 最終的には国民一人ひとりの「自己責任」ですが、情報発信しているマスコミの責任も大きいのではないでしょうか?  ワイドショー化とはいいませんが、誰にでも分かり易く伝えることはいいとしても、国民に分かり易く考えさせる、選択させる、想像力を働かせる様な報道をもっと増やすべきではないでしょうか? 先に卵か鶏か(国民かマスコミか)の議論はありますが、私は武田先生のようなお考えを持った方に、是非「マスコミも」変えていって頂きたいと思います。(2011/05/09)

私は、福島県や近隣県の農水産物は買っていません。それは、政府や行政の発表する放射能量が、信用できないからです。放射能を少なく見せるために、測定方法を変えたり、隠蔽したりしている現状(*)では、外国や西日本の農水産物を購入するしか自分達の身を守れないからです。筆者のご意見は「政府から公開される情報が正しく、まやかしや隠蔽がない」のならばという前提があると思います。(*)政府による放射能測定の変更や隠蔽:土壌は表面でなく、深さ5センチの穴で測定。大気は、地上15~25mで測定。野菜は、水洗いせずから水洗いに変更。水などの放射能基準値を30倍に変更。WHOの緊急時の放射能基準値より高いのに、暫定規制値は国際的に低いと言った。原子炉状況も海外メディアは燃料溶融を3/12の水素爆発時点で報道したが、政府は最近になって可能性を認めたように、情報を後出し小出しにしていている。ストロンチウムやプルトニウムの数値が一部しか公開されていない。スピーディの情報を2ヶ月間隠していたなど、数え切れません。(2011/05/09)

岡チャンはぶれました。メンバー選考も済んだ後、それまでの戦術を180度転換した結果、新戦術にそぐわないメンバーで望まなければならない事態に陥りました。あのままでは確実だった玉砕の直前に初めて気づいたのか、怯えたのか、あるいは良心の呵責に苛まれたのかは分かりませんが、最後の最後で冷静さを取り戻し、一つしか残っていなかった選択肢に、これまでの全てを捨てて賭けたわけです。リーダーとしては失格でしょう。ベスト16進出という結果は、そのような状況に対する危機感と、リーダーとしてあまりにも無様な選択肢に進むしかなかった岡チャンに対する同情(罪悪感)を原動力に、現場である選手達が結束し、自主改善を図った結果です。リーダーとしての岡チャンを唯一褒めるとすれば、自ら招いた危機的状況にも関わらず選手からは見捨てられなかった人柄だと思います。(2011/01/20)

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三品 和広 神戸大学教授