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量と質の訴求から「新しい価値」を
訴求するビジネスモデルへの転換を

第7ステップ:値段のつけ方から考え直す

  • 今北 純一

バックナンバー

2011年1月25日(火)

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 前回、新しい商品やサービスを企画・開発したり、新規事業や新規プロジェクトを立ち上げたりする時は、顧客が「これが必要だ」と具体的に欲している「顕在需要」、「こんなものがあればいい」と考えている「潜在需要」、そして、顧客自身もまだ気づいていない、これまでになかった「新しい価値」を先取りした「絶対需要」を見据えたビジネスモデルの仮説を立てることが重要だとお話ししました。

 今や量と質を追うビジネスは当たり前となり、時代の流れは「新しい価値」を追うビジネスへとパラダイムシフトしています。日本は“モノづくり大国”と言われるように、モノを「製造」することには長けています。例えば金型などを作る技術は、産業基盤は脆弱になりつつあるものの、今でも世界で断然秀でています。

 金型は象徴的な例として挙げただけで、この他のモノづくりに関しても、世界の最先端をいく、超一級の技術と商品を日本は持っています。

 こうした日本のモノづくりは、侍の「武士道」などに通じる「道(どう)」に体現されています。一番わかりやすい例がラーメンです。日本には全国的にラーメンの激戦区があり、行列ができる店には、その店ごとにラーメンを極めた「達人」や「巨匠」がいます。テレビ番組などでそうした人たちにマイクを向けると、彼らは自分の流儀でラーメン哲学を語ります。もうそれは「ラーメン道」と呼ぶにふさわしい奥義を極めた世界なのです。

 フランス人のシェフにしても、イタリア人のシェフにしても、技術を極めることは極めます。日本人の場合はそこに精神論も入って、ラーメンという麺を素材とした1つの食についてさえも「道」がある。こうした、純粋に哲学的な「道」が、あらゆる日本のモノづくりにもいかんなく発揮されているのです。これは実に素晴らしいことだと思います。

 しかし、モノを「製造」する技術は素晴らしくても、あるモノと別のモノとを組み合わせることによってどのような新しい価値を付加できるかについて、つまり、創造力や想像力を動員してこれまでになかった新しい価値を生み出すことについては、おおむね、日本人の不得手とするところでしょう。日本はこれまで、いいモノを作り、価格競争の中で高品質を保ちながら、世界中に製品を売ってきました。このような成功体験があるために、最近の傾向として、日本企業は一つひとつの商品で勝負する、あえて言うなら“単品のカタログ販売”のマインドからなかなか抜け出せずにいるように思えます。

iPadに敗れた日本のモノづくり

 しかしながら、これまでのように“単品のカタログ販売”のようなことを続けていては、非常に厳しい状況に陥ることは目に見えています。こうしたマインドを脱却して、どのようにしたら、新しい価値を創造できるかという視点に立ってビジネスモデルを設計していくことが、プロジェクトマネジメントにおいても重要です。

 そして、このためには、「創造力」と「想像力」に加えて「構想力」と「感性」が必要となるのです。

 米アップル社の「iPad」などは、まさにハードを売っているのではなく、ユーザーの潜在需要や絶対需要に応えたビジネスモデルを売っていると言えます。iPadのような商品は、技術的には日本のメーカーでも作れたはずです。実際に、iPadの中身として使われている部品や部材には日本製のモノがたくさんあるのです。もちろん日本にも似たようなアイデアやコンセプトはあったかもしれません。

 しかし、それだけでは不十分なのです。これまでになかった新しい価値を、モノとモノとを組み合わせて、どのようにして商品として実現するか、そして何よりも、具体的なグランドデザインを概念設計し、サステイナブルな収益構造をもったビジネスモデルに落とし込むまでのブレイン・パワーとスピードが日本には欠けていたということでしょう。

 これまで日本は、まるでそこに「道」ができるかのように技術を極め、ハードにこだわったモノづくりをしてきました。しかし、そうしたハードの枠組み内で考える限りは、「コスト プラス マージン =価格」で決まる価格しかつけられません。商品を売る側は、これだけのコストがかかるのだから、それをベースとして、ある程度の利益を確保すべく、一定のマージンを上乗せして、価格を設定しようと考えます。この結果価格が高すぎるという事態も当然起きるわけですが、この課題は、生産量を増やして製造単価を下げることによって解決しようと躍起になる、こういったパターンが実に多く見受けられるのです。

モノとモノとの組み合わせで新しい価値を生み出す
<コスト プラス マージン=価格>ではなく、<価格 マイナス コスト=マージン>をベースにした価格戦略を

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