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上司は不完全な方がいい

【第2回】創造性を高めるために“認知コスト”を引き下げる

  • 鈴木義幸

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2011年2月2日(水)

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 前回のコラムでお伝えしましたように、部下に考えさせるには、「正しい答えを与えずに、問いを投げかける」必要があります。「こうあるべきだ」「こうしろ」と教え込むのでなく、「どういうものだろうか」と投げかけてみる。しかも、相手が簡単には答えを出せないような問いであればあるほどよい。

 ところが、こういう話を上司の方にすると、中には、こんなふうにおっしゃる方がいます。

「考えさせているんだよ。でも、なかなか部下は考えないね」

 上司が考えさせようとしても、部下は考えようとしない。もしそれが本当であれば、原因があるはずです。

 よくあるのが“問いの上書き”です。

「売れたか?」の一言で、課題が一変

 一度、考えてほしいことを問えば相手はそのことについて考え続けるのかというと、もちろんそんなことはありません。受け手である部下が考える内容は、「何を一番強く問われていると思っているか」によって変わってくるからです。

 例えば、期初の面談で上司が部下に「今期の部署の強化目標は顧客満足の向上。君も、どうすればもっとお客様の満足度を高めることができるか考えてほしい」と言ったとします。

 これにより、いったんは部下の中で考えがスタートします。「どうすればお客様の満足度を高めることができるだろうか?」「自分の何を変える必要があるだろうか?」と。

 ところが、数日経って、営業先から帰社したとき、同じ上司がこう言います。

「おい、どうだった? 売れたか?」
「いえ、決裁までもう少し時間がかかるようです」
「なんだ、まだかかるのか」

 部下の中で芽生えた、「顧客満足度向上のために何ができるだろうか?」という問いは、この瞬間に消え去ります。そして、「とにかく早く売るにはどうしたらいいか?」に変わります。

「早く売るには」という問いが悪いわけではありません。しかし、考える方向性は明らかにここで影響を受けます。

 翌日、今度は同じ課の先輩社員がこの部下に言います。

「どう? 売れてる?」
「いえ、今期はまだ……」
「おいおい、早く成果を出さないといろいろ言われるぞ」

 こうして、「とにかく早く売るにはどうしたらいいか?」という問いが、よりいっそう脳に突き刺さります。その結果、お客様の満足度をどうしたら高められるだろうかと考え続けた場合よりも、売れるまでの時間を長くしてしまうかもしれません。顧客満足度の向上は販売の効率化につながるのですから。それがそもそもの上司の方針でもありました。

「何気ない問い」にも敏感に

 この話に限りませんが、みなさんの部下は、より日常的に頻繁に与えられている問いを内在化させ、そのことを最優先して考えるというわけです。

 前回もお伝えしましたが、人間には、問いを入力されると、自動的にそれに対して答えをアウトプットしようとする習性があります。

 簡単に答えられない問いが入力されれば、「考える」ということが起こるわけですが、考えている間に別の問いが入力されてしまうと、意識は一瞬そちらに移ります。元の質問を忘れてしまうわけではなく、その後に、どちらを優先的に考えるべきかを判断しようとします。

 そして、その組織の中で生き残るために、「より優先した方がいい問い」を残すわけです。繰り返し上司から問われることは、まさに生き残りのために優先させるべき問いです。当然、頻度高く投げかけられるものが選ばれていきます。

 問題は、頻度高く投げかけられる問いに答えようとすることが、かならずしも成果を創出することにはつながらないということです。

 顧客満足を高める方法について考えてほしいと思って、そのことを問いかけはする。でも、日常的には頻繁に「売れたか?」と問われるため、部下の頭の中は「早く売るにはどうすればいいんだろう?」という問いに上書きされてしまうわけです。

 ですから、上司は、普段から「何気なく投げかける問い」に敏感でなければいけません。「果たして、自分は一番考えさせたいことを、部下に考えさせているのか」と。

 もちろん、実際の仕事の場面で、上司は日々いろいろな問いかけを部下にするでしょうし、部下もいろいろな問題に対する答えを考え出そうとしています。

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