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変革の時を迎えた自動車産業

その2 ものづくり力の時代から経営力の時代へ

  • 小屋 知幸

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2011年1月25日(火)

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安定した世界から流動する世界へ

 自動車産業が変革の時代(とき)を迎えている。前回のコラム(「変革の時代(とき)を迎えた自動車産業 その1-自動車産業を襲う2つの大波」)では、自動車産業に大変革をもたらす2つの大波、市場構造変化と産業構造変化について述べた。

 20世紀後半の数十年間、自動車業界は安定した秩序の中にあった。当時の自動車市場は事実上、米・欧・日の先進国に限られていた。またエンジンをコアとする自動車の製品構造も、基本的に変わらなかった。そして自動車ビジネスの参入障壁は非常に高かったので、プレイヤーも限定されていた。

 20世紀後半の「安定した世界」では自動車ビジネスの枠組みは固定的であり、業界各社はその枠組みの中で既存のビジネスモデルに磨きをかけていればよかった。当時の自動車業界では、自社の企業構造を変えるための経営改革策も、既存の枠組みを乗り越えるための大きな経営戦略”も基本的には必要なかった。

 ところが21世紀に入り、自動車産業における「安定した世界」が急速に流動化し始めた。まず新興国の急速な発展により、市場の構造が変わった。自動車市場では先進国の需要が停滞するいっぽう、新興国の需要が急拡大し、市場の重心が先進国から新興国にシフトしている。

 また今後は、ガソリン車からEVへの世代交代により自動車の製品構造が根本から変わることで、自動車産業の構造が大幅に変わる可能性も高まってきた。電池など基幹モジュールの技術革新は、系列という閉じた世界でなく、市場という開かれた世界で進む可能性が高い。このためEVでは、モーター、電池などの基幹モジュールを市場から調達する水平分業型システムの有効性が高まると予想される。そして新しい技術や新しいビジネスモデルを武器に、ベンチャーや異業種企業が自動車産業に参入する動きも、今後さらに活発化していくであろう。

 こうして自動車業界の経営環境は、「安定した世界」から「流動する世界」に変わりつつある。

環境変化への対応が遅れた日本の自動車業界

 日本の自動車メーカーは、市場構造変化への対応が遅れた。トヨタやホンダなどの日本企業は、先進国市場に依存する事業構造を容易に変えられず、新興国の成長に乗り遅れた。

 特に苦戦を強いられているのがトヨタだ。トヨタは、旧来の市場構造に最も適応していた企業だ。旧来の事業環境では「日本で生産して米国で売る」、メイド・イン・ジャパン型ビジネスモデルの優位性が高かった。日本は高付加価値型製品の生産に適しており、米国は高付加価値型製品が良く売れる市場だった。

 ところが自動車市場の構造が変わったことにより、「世界で生産して世界で売る」、グローバル企業型ビジネスモデルの優位性が急速に高まった。またこの数年で円高が急速に進んだことも、メイド・イン・ジャパン型のビジネスモデルの優位性を損ねる大きな要因となった。現在は自動車業界だけでなく、多くの日本企業がメイド・イン・ジャパン型ビジネスモデルからグローバル企業型ビジネスモデルへの転換を迫られている。

 グローバル企業型ビジネスモデルへの転換に関して、日本の自動車メーカーの中で、一歩先行しているのが日産自動車だ。近年の日産は中国やアジア諸国など、新興国市場での販売台数を急速に伸ばしている。日産にとって中国は、すでに北米や日本をしのぐ最大の市場になっている。日産の今年度販売見通しによると、日産の世界販売台数に占める日本のシェアは、わずか15%にすぎない。

 また日産では、生産体制のグローバル化も急速に進めている。日産の今年度の海外生産比率は、7割を超える見通しだ。特に中国やタイにおける生産台数が伸びており、「新興国で生産し新興国で販売する」体制が確立しつつある。

 これに対してトヨタは、生産体制のグローバル化が日産に比べて遅れている。トヨタは自動車需要の重心が先進国にあった時代に、日本での生産能力を拡大しすぎた。現在はこの過剰生産能力が、トヨタの重荷になっている。トヨタも海外生産比率の拡大を急いでいるものの、日産との差はまだ大きい。

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