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「売り言葉」を買ってはいけない

マネジャーのためのビジネス交渉学「実践編」

  • 一色 正彦

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2011年1月28日(金)

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一色正彦・金沢工業大学大学院 客員教授/パナソニックラーニングシステムズ 顧問

 マネジャーのみなさんは、日常、さまざまな交渉相手に遭遇していることでしょう。自分の主張ばかりを一方的に繰り返す感情的な交渉者、穏やかながら次々にいろいろな選択肢を繰り出してくる手強い交渉者など、いろいろな交渉スタイルに出会っていると思います。話を聞いてくれない交渉相手の対応に戸惑ったり、お互いに価値のある条件を提示しているにもかかわらず、素直に信じてもらえず困った経験は、どなたにもあることでしょう。

 交渉は、事前準備が重要であり、かつ成功確率を上げるためのキーファクターです。しかし、交渉には、必ず相手があり、お互いに取って有益な条件を提案したとしても、その内容が相手に伝わらなければ活かせません。交渉におけるコミュニケーション、特に、相手の情報や考えを有効に引き出せるか、相手の立場に立って自分の考えを主張できるかどうかは、交渉結果に大きな影響を与えます。

 交渉とは、複数の人や組織の間に、利害関係の対立や条件の相違があり、それらの問題を解決するために行うものです。そのため、コミュニケーション力は、交渉における重要な能力の1つです。

 また、ビジネス交渉では、「1対1」よりも、「複数対複数」「3すくみ」「4すくみ」などの多数当事者間の交渉が多いと思います。また、1対1であっても、それぞれが会社や組織を代表して交渉することが多く、背負っている会社や組織のメンバーとの社内・組織内交渉が必要です。これらの交渉シーンでは、どのような交渉シナリオを準備し、何に気を付けて交渉すればよいのでしょうか。

 今回は、ビジネス交渉学「実践編」として、みなさんがよく遭遇する交渉場面から、困難な交渉相手との交渉、多数当事者間の交渉、チーム交渉の3つについて、論理的に交渉シナリオを準備し、心理的な罠を乗り越えて交渉を行うための方法論をご紹介します。

「パワープレイヤー」との交渉は怖くない

 まず始めは、「パワープレイヤー」との交渉です。売主に対する買主の立場や、部下に対する上司の立場のような交渉場面において、上下関係を基準に考えて、交渉相手の話を聞かず、自分の条件ばかりを押し付けてくるような交渉スタイルを「パワープレイ」といいます。そして、このようなスタイルをとる交渉者は、「パワープレイヤー」とか、「パワーネゴシエーター」と呼ばれています。

 私は、社会人の大学院生から、「自分の話を全く聞いてくれず、自己主張ばかり繰り返すお客さんとの交渉に困っているのですが、どうしたら良いでしょうか」とよく聞かれます。いわゆるパワープレイヤーとの交渉です。一見、このような相手との交渉は、難しそうですが、本当にそうでしょうか。

 ビジネス交渉で、良く見られる交渉スタイルとその特徴をご紹介します。

【1】強い自己主張を攻撃的に行う交渉スタイル(攻撃的タイプ)
 いわゆるアグレッシブな交渉スタイルを取るタイプです。パワープレイヤーの多くがこのスタイルを好むようです。この交渉スタイルは、自分の主張を相手に行っていますが、相手の立場は考えないので、交渉相手に不快感や不信感を与えやすく、主張内容を交渉条件として伝えるためには、リスクの高い方法です。

【2】相手に合わせてあまり主張しない交渉スタイル(非主張的タイプ)
 自分を抑え、相手に合わせる交渉スタイルを取るタイプです。一見、相手のことを考えて交渉しているように見えますが、「結局、何が言いたいのか分からない」と言われることが多いタイプです。交渉相手に対して、主張内容がわかりにくく、誤解を招きやすい方法です。

【3】相手の立場を考えて主張的する交渉スタイル(アサーティブな主張的タイプ)
 アサーション(Assertion)という言葉をご存じでしょうか。心理学の用語であり、日本語に翻訳するのが難しい英語ですが、「相手の立場を考えた自己主張(または、自己表現)」という意味です。攻撃的でなく、また、非主張的でなく、相手の立場になって、しかし、自分の意思をしっかり主張する方法です。

 一般に、日本では自己主張するというと攻撃的なスタイルをイメージするのか、あまり良い印象を持たれませんが、交渉では、相手に自分の条件や考え方をきちんと主張する必要があります。ただし、方法を誤ると正しく伝わりません。交渉の成功確率を上げるためには、アサーティブ(Assertive)なスタイルの交渉がお勧めです。

売り言葉を買っても、良いことはない

 「売り言葉に、買い言葉」、は喧嘩など、お互いが攻撃的な心理状態になる際に使われる言葉です。パワープレイヤーは、交渉相手に対して、これから交渉を開始するという場面で、「最初に申し上げておきますが、本件は、御社に○○の条件を受けてもらうことが前提であり、それ以外は考えられません!」、というような攻撃的で限定的な主張をしてくる場合あります。また、クレーム交渉の場合には、「本件は、すべてそちらの責任であり、こちらには全く責任がなく、譲歩することは一切考えられません!」、という一方的な主張から交渉を始めたりします。

 交渉の初期段階で、相手のことがまだ良くわからず、これから相手を理解し、情報を引き出し、条件を伝えようとする段階で、いきなり交渉相手から、攻撃的で、一方的な主張を受けることは、心地よいものではありません。そのため、このような主張を受け取ると思わず、売り言葉に買い言葉で、こちらも強い主張を返してしまいがちです。みなさんは、いかがでしょうか。交渉において、売り言葉を買っても、良いことはありません。

 パワープレイヤーと交渉する場合のポイントは、以下の通りです。

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