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発音は努力しないで身につける

勉強より場数が決め手

2011年2月4日(金)

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 発音は重要ですが、わざわざそのために特訓をしても努力の割に実りが少ないです。しかも、面白い練習ではありません。効率的なやりかたは「何もしないこと」。英語を話しているうちに自然とうまくなっていきます。

発音練習は面白くないから身につかない

 発音はとても重要です。なのに、ぼくは「当面は何も対策を講じなくていい」と申し上げています。「大事なのに、対策が要らないなんて矛盾しているじゃないか」と思われるでしょう。

 その理由は発音練習が面白くないからです。本来ならば、中学生のときに徹底的やるべきでした。ぼくが中国語を学校で習った際には、最初の数カ月、発音だけを集中的に習いました。おかげで、初めから綺麗な発音ができました。

 しかし、英語の場合は習い始めて既に相当の年月がたっています。大人になって、発音の特訓なんて「今さら嫌だよ」と思うでしょう。英語をものにした友人たちに聞いても発音の訓練をわざわざ行った人はいませんでした。

 ここまでお話しすると、「発音は何もしなくていいのか。気が楽になった」と思われることでしょう。その通りなのですが、これから先、こちらの言っていることがネイティブに分かってもらえない経験を何度もすることになるでしょう。

 「恥しい思いをするのは嫌だなあ」と思うかもしれません。英語が通じない原因にはいろいろありますが、文法や語順、単語の選び方などよりも発音のまずさが最大の原因です。

 でも、ぼくは今まで「恥ずかしい」と思ったことは一度もありませんでした。通じないことには困ります。だから必死でした。他人が見たら、みっともなかったかもしれません。でも、ぼくには自分を客観視するだけの余裕はありませんでした。失敗するたびに「発音に気をつけよう」と思うことになり、それを実践した結果、実際に綺麗な発音が出てくるようになりました。

もどかしい経験がやる気にさせる

 ぼくのお薦めの英単語スピーキング(「ここまで簡単“!英単語スピーキング」参照)は単語を並べるだけの簡単なものです。しかし、単語そのものの発音が不正確だと全く通じません。単語だけのスピーキングでは前後の脈絡がないので、その単語が分かってもらえないとお手上げなのです。

 英語は母音と子音から成っています。学校の先生によって、その重要度に対する評価は異なります。母音の方が大切だとか、子音の方が大切だとかいろいろ言っているようです。ぼくの経験では両方ちゃんとできないと通じません。ぼくの失敗談を記しましょう。

(1)母音が通じなかった
米国留学中にぼくの叔母が訪ねて来ました。当時日本は香水への輸入関税が高かったので、海外旅行に行くと誰もが必ず香水を買ったものでした。叔母もぜひ買いたいというのでデパートに連れて行きました。

 1階の案内係に行って、ぼくは「香水売り場はどこですか?」と聞きました。ぼくの英語は単語だけ。”Perfume?”(パーヒューム?)」だけです。

 ところが、これが通じません。そんなものはない、と言われてしまいました。しかし、デパートに香水がないわけがない。日本でも米国でも1階のどこかに必ずあるものです。ぼくは自分の鼻を頼りに香水売り場を探し出しました。

 悔しかったので、帰りがけに案内嬢に「これが香水っていうやつだ」と言い、叔母が買った品物を目の前に置きました。すると、「なあんだ」という顔をして、「プーヒューム」と言いました。

 ぼくの発音はパーヒューム、正しい発音はプーヒュームです。「パー」と口を大きく開けたのがいけませんでした。

(2)子音が通じなかった
 MBAでも発音で苦労した経験があります。「これから先、石油、株、金などのうちどの市場が有望だろうか」と友人から聞かれて、ぼくは「銀に注目している」と答えました。

 銀はsilver(シルバー)です。しかし、これが通じません。分かってもらおうとして、「金じゃなくて、シルバーなんだよ」と言ってみたり、「オリンピックで金メダルの次は銀メダルじゃないか」と言ってみたりしましたが、単語を並べるのが精一杯のぼくには荷が重すぎました。最後まで「分からない」と言われ、情けない気持ちになりました。

 英語にはSに関する発音はseat(スィート、席)とsheet(シート、紙1枚)の2つがあり、日本語のシは後者に近い発音です。ぼくの発音ではshilverに聞こえていたのでしょう。

 バニラ(vanilla)ジュースを注文したのに、バナナ(banana)ジュースが出てきたこともあります。VとBの発音が区別できていないからでした。

 これらのもどかしい経験を通じて、ぼくは「香水」も「銀」も、通じる発音ができるようになりました。もちろんこの2語だけでなく、同じ発音の単語は正しく言えるようになったわけです。特に、SとShの違いは日本人には区別が難しいので、実践で鍛えられなかったならばできなかったと思います。

コメント7件コメント/レビュー

大意は納得できるのですが、Rの発音の部分に疑問を感じました。Rの発音には、国や地方によって非常に多くのバリエーションがあり、一言でくくれるシロモノではないと思います。日本語のラ行のくだりも、僕なら「関東のラ行を米語のL・Rと比較すれば、Lの方にに近い」という言い方をします。英国には、日本語ラ行に近いRの発音をする地域はたくさんありますし、西日本のラ行は東日本よりずっと巻き舌で、よりRっぽい発音をします(江戸っ子のべらんめぇもやはり巻き舌ですね)。僕はRの発音よりも、国や地域による発音の差の少ないLをしっかり練習する方が、Rとの差異をつけるのにより効果的だと考えてます。また「N」と「ん」の発音が、実はまったく違うという点も、日本人の盲点だと感じます。「sin」と発音したつもりで「sing」と間違えられるのが、日本語訛りのありがちな傾向ではないかと。発音が大事だと念じるだけではなく、このような「盲点」をきちんと意識することが、発音を磨く近道ではないかと考えています。(2011/02/04)

「英語は道具:銅メダル英語を目指せ」のバックナンバー

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「発音は努力しないで身につける」の著者

林 則行

林 則行(はやし・のりゆき)

投資家

投資家。全く英語が話せないのに資産運用のノウハウ修得のため渡米、コロンビア大学MBAにぎりぎり合格。仕事力と日本人の強みを生かすことで、社内最低の英語力ながら海外運用機関で株式運用部長。現在独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大意は納得できるのですが、Rの発音の部分に疑問を感じました。Rの発音には、国や地方によって非常に多くのバリエーションがあり、一言でくくれるシロモノではないと思います。日本語のラ行のくだりも、僕なら「関東のラ行を米語のL・Rと比較すれば、Lの方にに近い」という言い方をします。英国には、日本語ラ行に近いRの発音をする地域はたくさんありますし、西日本のラ行は東日本よりずっと巻き舌で、よりRっぽい発音をします(江戸っ子のべらんめぇもやはり巻き舌ですね)。僕はRの発音よりも、国や地域による発音の差の少ないLをしっかり練習する方が、Rとの差異をつけるのにより効果的だと考えてます。また「N」と「ん」の発音が、実はまったく違うという点も、日本人の盲点だと感じます。「sin」と発音したつもりで「sing」と間違えられるのが、日本語訛りのありがちな傾向ではないかと。発音が大事だと念じるだけではなく、このような「盲点」をきちんと意識することが、発音を磨く近道ではないかと考えています。(2011/02/04)

■私なりの法則 1.発音と綴りは別物。ウォーターではなくわーらー。ウォンテッドではなくわな。 2.自分が聞き分けられなくても区別して発音する。記事中のshとs。earとyear。もっとも、おっしゃるようにそのうち少しは聞き分けできるようになりました。 ■I've got to pronounce better than ten years ago. と、復習・継続も忘れずに。(迷亭寒月)(2011/02/04)

今回も面白く拝読しました。私も、発音を磨くには特訓よりも実践で。ということが身に染みた機会がありました。「クレジットカード」という言葉をイントネーションを変えながら何度発しても通じず、結局相手から「なんだ、クレディットカードのことか」と言われた経験です。発音的には「(クウェ)ディットカー」でした。今後も毎週の連載を楽しみにしています。(2011/02/04)

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