• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

スキルアップのトレーニングはターゲット・セグメントのニーズを見極めて実行する

第8回:消費者の選択のプロセスを解明する

  • 今北 純一

バックナンバー

2011年2月8日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本料理屋でビジネスディナーをするという場合、主催者側の人間が、ゲストに対して発する最初の質問は、「飲み物は何にいたしましょうか?」です。そして、ゲストが「お任せします」と答えるのを見計らって、次に「では、はじめはビールでよろしいですか?」 ここで、大概は、「ではそういうことで」とゲストは同意します。

 選択の必要性が出てくるのはこの直後です。主催者側は、「ビールの銘柄は何がよろしいですか? 生ビールがよろしいですか、それとも壜ビールがよろしいですか?」と続けて尋ねます。銘柄にこだわる人は、この質問に対して、銘柄を指定するでしょうし、生か壜かでも、自分の好みを伝えるでしょう。

 この例は、招待されている側が、ある意味フリーハンドで選択、つまり自由にチョイスをするというケースです。では、一般に、個人個人が、自分自身のために商品を購買するというケースについてはどうでしょうか。

 自動販売機で炭酸飲料を買う、という場合について考えてみましょう。分かりやすくするために、選択肢を単純化します。ブランドがA、B、Cと3種類あって、それぞれ価格が、150円、130円、120円だとします。また、炭酸度がAは強い、Bはふつう、Cは微炭酸だとします。さらに、甘みについては、Aは甘さ控えめ、Bはふつう、Cは甘みを効かせてある、とします。皆さんだったら、どの商品をチョイスしますか? 

 もちろん、これは思考実験にすぎませんから、リアリティーがない、と思う人もあるでしょう。しかし、これだけ単純化したケースについても、人がチョイスするというプロセスにおける本質的な構造が明らかになるのです。

 仮に、炭酸飲料を自動販売機で購入するという行動において、チョイスを決定づける要素(これを属性と呼びます)が、ブランド、価格、炭酸度、そして甘みの4つだとしましょう。そして、3つの選択肢の中からある商品を選ぶというプロセスを想定した時、ブランドだけで決める人もあれば、価格だけで決める人もあるでしょう。

 また、舌を大いに刺激する炭酸度の強いもの、逆に微炭酸を好む人もあるでしょう。甘みについても、健康のことを考えて甘さ控えめのものがいいと思う人もあれば、甘みが効いていなければ物足りないという人もあるでしょう。

 いずれにしても、実際には、これら4つの属性をいっぺんに考慮して、それぞれについて好ましい、好ましくないの評価があるものの、総合的に判断して人はチョイスをするものです。炭酸飲料の例では、価格にそれほど差があるわけではないので、チョイスのプロセスがちょっと見えにくくなっています。

 ですが、靴を買うという行為を思い浮かべれば、この部分が分かりやすくなると思います。ブランド、価格、デザイン、履き心地、商品の寿命といった属性を考慮して、人はチョイスをします。この時、お金に糸目をつけない人は別格として、ブランド物は欲しいけれども、価格が高すぎるから、とどこかで妥協するのがふつうです。

 あちらを立てれば、こちらが立たずではありませんが、このように、ある属性を優先しようとすると、別の属性がネガティブに効いてくるという現象をトレード・オフ(trade-off)といいます。つまり、どんなチョイスも、いいところだけということはあまりないということです。要は、人は、複数の属性を考慮して、その中で、どうしても落とすことはできないという属性にフォーカスし、しかも、それらの組み合わせについて最終判断を下して、チョイスをするという行動を取るということです。

顧客満足度調査の落とし穴

 このロジックをクルマの購入というケースにふえんすると、ブランド、価格、馬力、燃費、デザイン、エコ、アフターサービス等々といった選択プロセスにおける属性の候補がいくつも考えられます。世の中で、「顧客満足度調査」という名の消費者行動分析がよく使われていますが、この調査の問題点は、これらの属性の一つひとつについて、あたかも、それらが相互に独立であるかのごとくに点数をつけ、前年度と今年度を比べて、商品を提供するメーカーごとのランキングを入れ替える、というアプローチそのものにあります。

 また、メーカー側も、例えばブランド浸透力で、競合他社に比べて、ランキングが上がった、あるいは下がったと一喜一憂するといったことが起きています。でも、こういったリアクションにどの程度の意味があるのかもう一度考えた方がいいでしょう。

 というのは、それぞれの属性についてのランキングを云々することは、実際の消費者の選択のプロセスを解明することにはつながらないからです。

 人事考課制度や人事研修プログラムに、このことを反映させて考えてみましょう。本来、セールスにしても、マーケティングにしても、人材のスキルを正当に評価し、またそのスキルアップを目指すのであれば、全員に一様な評価基準を当てはめ、一様な研修プログラムを課するのでは不十分です。顧客の選択に関する属性を勘案した上で、ニーズのセグメンテーションを行い、それぞれのセグメントにおける顧客のチョイスのプロセスを解明することが先決です。

 次に、それぞれのセグメントにおいて、顧客にチョイスしてもらうために必要なスキルを評価します。そして、そのスキルをどのようにしたら向上させることができるか、ということを勘案した、人事考課制度や人事研修プログラムを設計導入することが肝要です。

ターゲットとするマーケットは、ニーズをベースとしてセグメンテーションする
モノを作り、そして売る立場からではなく、顧客がチョイスをするプロセスで判断材料とする属性の組み合わせを見極わめてマーケティングを実行する
プロジェクトチームの人選は、ターゲット・セグメントの攻略に必須のスキルを揃えるという考えのもとに決定する

コメント1

「今北純一のプロジェクトマネジメント実践講座」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

富士山を目標にする人はいつか富士山には登れるでしょうが、エベレストには登れない。

澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長