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このままでは日本から遊園地がなくなってしまう!?

事故は社員でなく、アルバイトだから起きたのか

  • 武田 斉紀

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2011年2月14日(月)

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日本の遊園地を支えているのは誰か

 今回のコラムは、安全にかかわる仕事に就いている会社の幹部と従業員の方々、そして遊園地を利用する人にも読んでもらいたい。もちろん安全にかかわる仕事は遊園地だけではない。

 事故は楽しいはずの遊園地で起きてしまった。2週間前の1月30日の午後1時前、日曜日の東京ドームシティ(東京都文京区)。回転しながら走行するアトラクション「スピニングコースター舞姫(まいひめ)」に乗車していた30歳代の男性が、約8メートルの高さから地面に転落し、その後亡くなった。ご本人とご家族には謹んでお悔やみを申し上げたい。

 事故原因の調査は続いており、2月13日時点でまだ結論は出ていない。当時運行を担当していたのは20歳代の女性アルバイトで、「バーが下りているように見えたので大丈夫だと考え、手で触って確認しなかった」。亡くなられた方は大柄で、「体が固定されていなかったとみられ、発車後まもなくバーと体が大きく揺れていたという」(以上asahi.com、2011年2月1日)。

 目視だけによる安全確認は常態化していたようだ。「警視庁のその後の調べで、東京ドームの社員が、“乗客から苦情があり、安全バーを手で触って確認する作業をやめるようになった”と説明していることが、新たにわかった」(FNNニュース、2011年2月6日)。

 「遊園地を運営する東京ドームの管理規定には、コースターの運行担当者は、“原則、社員、もしくは契約社員でなければいけない”と明記されていたという。しかし、実際には、事故があった小型コースターの安全管理などの運行担当業務は、アルバイトが務めていたうえ、ベテランアルバイトが、逆に契約社員などに運行業務の指導をするケースもあった」(FNNニュース、2011年2月7日)。

 会社の決まりを守っていなかったとしたら、それ自体は服務規定違反だ。運行を担当したアルバイトの女性本人、そして管理する上司の責任が問われ、最後は致命的な事故に至った責任を会社が負うのだろうか。

 「実際は約半年前から、女性バイトが座席の安全確認と発車ボタンを押す運転操作を任されていた。巡回していた女性契約社員は10カ所の遊具を担当しており、常駐の社員はいなかった」(時事通信・時事ドットコム、2011年2月7日)。

 これが事実なら、会社は一人の契約社員に10のアトラクションの安全確認をさせるつもりで管理規定を作成したのだろうか。10か所同時になどできるわけがない。できると言われても乗る方としては断わる。契約社員の数とアトラクションの数を比べれば、不可能なことは容易に想像できたはずだ。

 果たして会社は安全確保最優先の姿勢で、ブレることなく、現場と共に真剣に向き合っていたのだろうか。今回の事故の原因は、アルバイトに安全確認をさせていたという現場の服務規程違反であって、本来正社員や契約社員がやっていれば防げたのだろうか。

 東京ドームシティは、東京や近郊にお住まいの方なら何度か訪れたことがあるだろう。敷地内には、プロ野球の巨人戦やコンサートも開かれる「東京ドーム」、おしゃれな大型温泉施設の「スパ ラクーア」、今回事故の起きた遊園地「東京ドームシティ アトラクションズ」。格闘技のメッカと呼ばれる「後楽園ホール」、43階建ての「東京ドームホテル」、多くのショップやレストランなど数え切れない施設がある。施設の合計年間来場者数は3663万人(2009年度)にも上る。

 ちなみにテーマパーク(遊園地)単独では、毎年ダントツ日本一を記録する東京ディズニーリゾート(ディズニーランド、ディズニーシー合算)の年間入園者数は、2581万人(同)だ。同社を運営しているオリエンタルランドは、昨年までキャストと呼ばれるアルバイト数をホームページ上で公開していたが、約2万人いる従業員の約9割が高校生や大学生を中心としたアルバイトだ。つまり私たちがディズニーランドに行って接する人たちの10人に9人はアルバイトということになる。

 むしろ、アルバイトを雇わなければ運営も運行もできないのが遊園地の実態ではないのだろうか。もしも事故を社員か否かの問題にして、国が「運行は社員がやること」と指導してしまったら、遊園地はなくなってしまうかもしれない。

コメント59件コメント/レビュー

ところどころに出てくる鉄道十分安全説のコメントには、現状肯定の意識が強く、根本的に安全とはいかにあるべきかという、本来あるべき姿の認識が欠けているように感じられます。(2011/02/24)

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いただいたコメント

ところどころに出てくる鉄道十分安全説のコメントには、現状肯定の意識が強く、根本的に安全とはいかにあるべきかという、本来あるべき姿の認識が欠けているように感じられます。(2011/02/24)

別に新幹線だけで安全対策が進んでいて、他では手つかずなんてことはありませんよ。例えば、山手線から6ドアの車両が消えたのはドアの間隔を均等にしてホームドアを設置するためですし、JR西日本とその子会社ではドアの間隔が異なる複数の車両に対応するホームドアが開発されています。それと踏切の立体化には道路側を移動させればその箇所だけの工事ですみますが、線路のほうを移動させようとすると全区間を高架か地下線にしなければならず、はるかに多額の費用がかかりますよ。今回の可部線の場合費用の大半は地元負担ですが、それでもよろしいですか? 「鉄道が欲しい」でも「不便になるのは嫌」「危険なのも嫌」「お金を出すのも嫌」では、どうしようもありませんね。(2011/02/21)

↓下の方のコメントの記事についての感想というか。。新幹線で死亡や接触事故は発生度が低いような気がします。それより日常的に誰でもが利用する環状線などにおいて安全柵でもよいから早期の設置や何らかの措置を望みます。自分の意志で注意しづらい酔っぱらいやお年寄りや視覚障害等の方々なども日々利用されている事にもっと目を向け対策を急いで頂きたいです。※記事については先にコメントさせてもらいました。(2011/02/18)

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