自分で起業し、事業が回り始めると、その途中途中で「取締役会ってなんだっけ?」という疑問に直面することがある。
がんばって働いてくれている社員を取りたてているうちに課長、部長、と昇進し、「次は取締役か…」と思ってしまうのは、おそらく日本人の企業観なわけです。
ですけれど、部長や本部長の次のポストが役員、ということになると、取締役会の意味付けがだんだんと曖昧になってくる現象が発生し始める。社員たちの認識が「取締役会と本部長会議の違いは、参加役員の人数が多少違う」程度のものになってきちゃう。意思決定の基準が金太郎飴みたいに、どこをとっても同じようなものになり始め、やか゜てトップは「取締役会ってそもそもなにのためにあるんだっけ?」と迷い始めることになる。
役員とは何か…は自分で定義する
「役員ってのは、いつでも解雇していい役職なんだから」と毅然とした口調で言い切ったのは、日本のベンチャーキャピタリストの草分け的存在のSさんだった。
まだ30代前半だった僕にとって「いつでも解雇していい」ってのは、少し過激な言葉に聞こえたけれど、確かに従業員ではないわけで、確かにその通り、とも思えた。
それから十数年間、そもそも取締役ってのは何をする人なのだろうか?という疑問を持ち続けてきた僕にたくさんの人がアドバイスをしてくれたのだが、それらを通じて結局分かったことといえば、「多くの解釈がある」ってことだけだ。言い換えると、自分で起業するということは、自分なりの「取締役」の意味を定義しなければならない。
各界の専門家が書いた本というのは、デートの必勝本と同じで、「いちばん大切なところ」は何も教えてくれないものです。要は、「自分でかんがえろ」という一言を長々と言っているだけということに気付いてから長い間、その意味を自分で模索するようになったのであります。
で、海外では?上場企業では?
英語では、共同経営者を「パートナー」という。この「パートナー」というのは、取締役を指すのかな、と米国に在住しているときに周囲を観察していたら、どうもニュアンスが違っている。最高権限を持っている人が複数いるよ、という意味なようで、僕の会社の取締役会テーブルを囲む人々がすべてパートナーかとなると、ちょっと違うな、という気がしてきた。

上の組織図は、某有名企業のサイトにあるものです。その他ほとんどの株式会社組織では株主総会の下には必ず「取締役会」と書いてある。知人がやっている小さい非公開の下請けソフト開発会社でも、同じような組織図を掲載していたりするわけです。おそらくこれが「所定の書式」と思ってパクっただけだと思うのですが… そういうのを見るとますます「取締役会」の意味が見えなくなってくる。
社長にしてみれば、つまるところ自分が決めた事はすべて通ってしまう、なのに、なんでわざわざ取締役会を設けるのか?? そんな疑問は、もはや考える必要もない、水や空気のようなものだと思い込んでいる中小の経営者も多い。
僕が、この「取締役会」の意味を分かってきたのはごく最近の事で、それを分からせてくれたのは、ある脚本家の方が書いた1冊の本でした。そこで得た僕の理解が、社会一般でいう正しい答とは思いませんが、少なくとも、大きなヒントがここにはあった。その本に書かれていることを少し紹介します。
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