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70歳まで安心して働ける給与体系を

中高年の自殺をいかに防ぐか考える

  • 吉田 耕作

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2011年2月24日(木)

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 今回は自殺について取り上げたい。読者の皆さんも色々な情報源から、近年の日本の自殺者の数は毎年3万を超えているという報道を見たり、聞いたりされているだろうと思う。自殺に関して日本は世界の中でどの辺にいるのだろうかという事から始めようと思う。まず表1を見てみよう。

表1 自殺率の国際比較(2009年)

  •  
  • (単位:人/10万人)

1 ベラルーシ 35.1
2 リトアニア 30.4
3 ロシア 30.1
4 カザフスタン 26.1
5 ハンガリー 26.0
6 日本 24.4
9 韓国 21.9
24 香港 15.2
26 中国 13.9
43 米国 11.0
47 インド 10.5
50 シンガポール 10.3

出典:「図録自殺率の国際比較」より作成

 この表から明らかなように、日本は現在、自殺の多さでいうと、多い方から数えて世界で第6位である。日本より上位にある国々はすべて旧ソ連圏にあり、ソ連邦の崩壊で非常に混乱し、困難な時期を経て来た国々である。政治、経済の激変を体験していない国で日本ほど自殺率の高い国はないのである。私は文明国で、しかも中国に抜かれたとはいえGDPで世界第3位の経済大国である日本にとって、自殺率がこうも高いというのは最も恥ずべき汚点だと考えている。

 今回の一文は日本の自殺率がなぜこれ程高いのか、そして日本の指導者達はなぜ長期間この問題を放置してきたのか、それを解決するにはどういう事が求められるのか等に関して、考えてみようと言う訳である。

 まず、この30年ほどの自殺者数の変化を見てみよう。図1の自殺者の暦年統計を見ると、日本はその数が徐々に増えて行ったのではないことがわかる。特に1997年から1998年にかけて急激に増えて年3万人を超えるようになったのである。3万人という数は交通事故死者数の5倍に当たり、1日に90人以上の人が自殺している計算になる。自殺未遂者の増加はより深刻である。自損行為のため救急車が出動した件数は、昭和62年に2万8000件であったのが平成18年には7万1000件と2.5倍になっている。

表2 年齢別自殺者数

~30未満 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80以上
平成18年度 4018 4497 5008 7246 4885 3421 2101
平成19年度 3857 4767 5096 7046 5354 3669 2350

出典:平成20年度版自殺対策白書、内閣府

 さらに、年齢的に言って、どのグループで自殺者が多いのだろうか。表2で明らかなように一番多いのは50歳台のグループである。そして2番目に多いのが18年度では40歳台、19年度では60歳台のグループである。つまり40歳後半から60歳前半にかけてが、自殺の最も危険な年齢であると思われる。

表3 就業有無による自殺死亡率(平成17年度)
(死亡率は人口10万人に対する割合)

 
死亡数(人) 死亡率(%) 死亡数(人) 死亡率(%)
総数 21869 41.5 8176 14.6
就業者総数 9205 26.1 1443 5.7
無職 9803 65.4 5863 19.9

出典:平成17年度人口動態統計職業・産業別調査>死亡>年度次>2005年度;厚生省

 表3は自殺者が仕事に就いていたかどうかをまとめたものである。データが少々古いのだが、大体の状況を把握しよう。無職と言っても学生や高齢者も含まれているのだが、おおざっぱに見て、失業している人々の自殺率は男女とも就業者の自殺率の倍以上であるという事実に注目したい。失業して、収入の道が閉ざされれば、生きていく事が困難になるのは当然の道理である。

 自殺の原因・動機は、平成19年度では、すべての年齢の平均では約60%が健康問題である。次に多いのは経済・生活問題で31%となっている。しかし、年齢別にみると、50歳台では健康問題と経済問題はほとんど同数になっている。しかも経済問題が肉体的精神的に健康に問題を引き起こす可能性が高いことは十分に認識されることから、この年代と60歳はじめにおける経済問題は文字通り死活問題と言えることは明らかである。

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