• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

部下も、上司も、み~んな“思考停止症候群”?!

便利な“正しい言葉”が逃げ道を用意する

2011年2月24日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「自分で考えて行動できる部下が欲しい」
 「少しは考えてほしいんだよね」

 言われることしかやらない、しゃくし定規にしか働けない。「考えれば分かるだろう?」と言えば、「教わってません」「言ってくれればやったのに」などと言い返す。二言目には『面倒くせ~』とばかりに、完全に思考を停止させる。そんな部下たちを嘆く時に、上司たちがつい口にしてしまう一言である。

 でも、考えていないのは部下だけなのだろうか。ひょっとしたら、上司自身も考えることを放棄している、なんてことはないだろうか。

 “考える”という、実にしんどい作業にさっさとケリをつけたくて、自分でも気がつかないうちに考えることをやめている。

 「1、2、3~」でアホになる! 無意識に発せられる一言。“思考を停止させる”言葉だ。

 そこで、今回は、思考停止させる言葉について、考えてみようと思う。

地方銀行の相談役がつい漏らした嘆き

 「何でもかんでもうまくいかないことがあると、“リーダーシップがない”と言う。その途端に、全員が思考停止するんだよ。何でうまくいかなかったかを話し合えと言ったのに、最後はリーダーシップがなかったと。おまけにリーダーである本人まで、“僕にリーダーとしての能力がありませんでした”なんて言ってくる。考えるってことができないほど、日本人はバカになったのかね」

 これは、ある地方銀行の相談役の方が漏らしていたことである。

 リーダーシップ――。確かに便利な言葉だ。

 チームとしての成果が上がらず、チームとしての一体感に欠ける時、「結局、リーダーシップがないんだよ」という一言が使われる。リーダーシップは大切である。リーダーシップが取れなかったことで、問題が生じたり、問題が解決されないことはあるだろう。

 だが、「“リーダーシップがない”という、大局的には間違ってはいない一言が、今、そこにある、“なぜ?”を消滅させる」と、この相談役は語った。

 “なぜ”起きたかを追求している時に、「結局、リーダーシップがないんだよな」と誰かが言った途端、すべての問題がリーダーのせいになり、「リーダーシップのあるヤツに変えるしかない」と、問題の本質が議論されないままになってしまうというわけだ。

誤解されやすいリーダーシップの本質

 そもそもリーダーシップとは、リーダーのカリスマ性や、決断力だけでもたらされるものではなく、リーダーの資質とそのリーダーに従うフォロワー(=部下)の行動によって決まる現象だ(関連記事:“岡ちゃん”になりたがる、ボスのヒンシュク)。単に、リーダーの責任にすれば、解決する問題ではない。

 そういえば、何人もの総理大臣が“リーダーシップがない”と烙印を押されて去っていった。

 普天間基地の移設問題がクローズアップされた時に、「日本人は今こそ、沖縄にすべてを押し付けるのではなく、みんなで考えなくてはいけないですよね」と言っていた人たち。彼らは、今も考えているのだろうか。

 「そうだよ。総理大臣はもっとリーダーシップのある人じゃなくっちゃ」。そう納得した途端に、普天間の問題を考えることをやめてしまったのではないだろうか。

コメント76件コメント/レビュー

学界権威の言葉を借りるのは、思考停止もあるでしょうし、または「劇場のイドラ」を利用して、自説の正当性を主張するのに便利だからでは。「空は青い」のような決まり文句を使った時点で、それ以上、空の色をどう表現するか考えなくてよくなるラクさは、あちこちで思考停止を起こしています。●3月の震災以降、特に多用されてきている「がんばれ」、「がんばろう」も、ある意味使われすぎている思考停止ワードでは。これを言えば瞬時に気持ちが通じ合い、団結できてしまう、とても便利な合い言葉なのですが。英語にしようとすると文脈に応じていろんな言葉に変身する、というのは蛇足です。(2011/06/13)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「部下も、上司も、み~んな“思考停止症候群”?!」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

学界権威の言葉を借りるのは、思考停止もあるでしょうし、または「劇場のイドラ」を利用して、自説の正当性を主張するのに便利だからでは。「空は青い」のような決まり文句を使った時点で、それ以上、空の色をどう表現するか考えなくてよくなるラクさは、あちこちで思考停止を起こしています。●3月の震災以降、特に多用されてきている「がんばれ」、「がんばろう」も、ある意味使われすぎている思考停止ワードでは。これを言えば瞬時に気持ちが通じ合い、団結できてしまう、とても便利な合い言葉なのですが。英語にしようとすると文脈に応じていろんな言葉に変身する、というのは蛇足です。(2011/06/13)

言わずもがなであるが、「思考停止」ってのは本質に至る手前の段階で思考を終わらせてしまう、ということであって、思考をスタートしていないわけではないですよね。で、思考の過程で「思考停止ワード」が浮かぶとそこでゴールに行き着いたと勘違いしてしまう。当社の場合だと。「商品力不足」がその典型。ここで思考が終わり、対策は?というと「商品力強化」。まったく本質にたどり着いていない。(2011/03/09)

いつも思考停止している自分の姿を記事に見ました。「〇×博士は、『ほにゃらら』と理論の中で、『オッペケペー』と述べている」のくだりは、人を説得する時、私も常套手段で使っています。 しかし、限られた時間で結論を得るために、経験や知識を利用するのは決して悪い事ではないと、じっくりと考える事との間でジレンマを感じています。(2011/03/05)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授